生きづらさを抱える人の心をケアするプロ
福本宏
Mybestpro Interview
生きづらさを抱える人の心をケアするプロ
福本宏
#chapter1
福岡市中央区、大濠公園からほど近い場所にある「心理カウンセリングルーム 心の扉」。主宰する福本宏さんは、自己肯定感が低く自信が持てない、漠然とした不安が常にあるなど、生きづらさを感じている人たちに二人三脚で伴走しています。
カウンセリングでは、相談者の話を詳細に書き取り、心の傷の原因を探ります。悩みが深い場面でも、心理テストなどの記述を見返すことで点と点がつながり、心の負担が軽くなる方法が見えてくるのだとか。
「お越しになる方の約9割が、家族の暴力や拒絶など機能不全の家庭で育ったアダルトチルドレンの方です。過去を見つめ、気づきをもたらすインナーチャイルドセラピーやゲシュタルトセラピーなど、ご本人に合った手法をカスタマイズしてケアします」
2018年の開設以来、500人以上を迎え入れ、ラインの友達登録者数は1000人を超えるほど。個々と真摯(しんし)に向き合う原動力は「悔しい」という感情だと語ります。
「皆さんとても頑張っているのに、なぜこんなにつらい目にあわないといけないんだ、何とかしてあげたいと思うんですよ」
福本さんは、カウンセリングに対するハードルを払しょくしたいと、40分間の「お試しカウンセリング」も設けています。
「オンラインでも対応し、東北や東京、大阪など遠方からの申し込みや、子どもが小さくて外に出られない方、対面では緊張するといった方もいらっしゃいます。カウンセラーとの相性もありますし、合わないと思ったらそこでやめていただいて結構です。雰囲気を知る機会として、気軽にご利用ください」
#chapter2
「家庭の事情で3歳になるまでいろいろな人に預けられ、安心できる居場所がありませんでした」と福本さん。小学生以降は、家族からは虐待を、学校ではいじめを受けていたそう。過酷な少年期を過ごしながらも努力を続け、国立大学に進学し、地方銀行に就職しました。
「仕事に打ち込み営業成績も上々。将来を期待されていたものの、自信がなくおどおどしていたのです。言いたいことを口に出せず、今で言うパワハラやモラハラもありました」
理不尽にも耐え我慢して働いていたところ、29歳でうつ病を発症します。
「私の場合は、ひどい倦怠感や胸の苦しさという身体的症状が出たので医療機関を受診したのですが、原因が分からず、いろんな科に回されました。最終的に精神科を持つ病院に入院することになり、自分に心の傷があることを自覚しました」
しかし、精神科でもなかなか合う薬が見つからず、カウンセラーを紹介されました。
「それまで誰にも言えなかった本音を初めて打ち明けることができ、心が安らぐのを感じました」
いったんは回復するも入退院を繰り返し、銀行はやむなく退職。症状が悪化しては仕事を辞めるという日々を15年間過ごしました。
「何のために生まれてきたんだろうと自問自答を繰り返していたある日、自分が悩む人の心のよりどころとなればいいのではと、思ったんです」
福本さんは、45歳でカウンセラーになるための勉強を開始。心理学を学ぶ過程で、自身の心を見つめ直すことができたと言います。
#chapter3
「私は、自分の心の状態を理解し対処できるようになるまでに、長い年月を費やしました。心身ともに痛みを抱えてきたからこそ、一人一人の心に寄り添うことができると実感していて、過去の出来事はすべて受け入れています。しかし、時間は取り戻せないことも事実ですから、早めのご相談をおすすめします」
実は、福本さんはマジシャンとしての顔も持っています。かつては、幼稚園や高齢者施設などにボランティアで訪問したり、市民会館でのイベントに数回出演したりしました。「マジックも人の心を明るくするという意味では、現職と共通点があるのかもしれませんね」と笑顔を見せます。
マジックを披露する場を増やせたらと考えて、芸能事務所に在籍し、CMに出演したことも。レッスンの一環でボイストレーニングを受けたことで感性や表現力が豊かになり、セラピーに役立っているとのこと。「心情に沿って対話を重ねますので、胸の内をお話しください」と呼び掛けます。
「心の扉」という名前は、尊敬する臨床心理学者の河合隼雄さんの著書から。同時に、心の扉を開くことは自分自身にしかできないという思いも込めています。
「カウンセリングを受けてくださったある方は、自分もカウンセラーになりたいと、地元を離れ、養成スクールに通うことを決めました。修了後は、地元で開業していると聞いています。新たな一歩を踏み出す後押しができたことを、大変うれしく思っています」
相談者が自分らしい人生を歩むために、福本さんは今日も心の扉をやさしくノックします。
(取材年月:2024年4月)
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Profile
生きづらさを抱える人の心をケアするプロ
福本宏プロ
心理カウンセラー
心理カウンセリングルーム 心の扉
幼少期のトラウマからうつ病を発症し、長い間苦しんだことからカウンセラーに。自己肯定感が低い、常に不安感があるなど、相談者に寄り添いながら悩みの原因を探り、心の負担が軽くなるカウンセリングを実施します。
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