福井県の気候に適した屋根材を提案する屋根工事のプロ村田浩行

福井県の気候に適した屋根材を提案する屋根工事のプロ

村田浩行

屋根の雪を落ちにくくする屋根材「石付き板金」で雪下ろしの負担を軽減

　屋根は雨風、雪から住まいを保護する重要な役割を持ちます。冬になると数十センチから2メートル程度の積雪がある福井において、二十余年にわたり屋根の補修や瓦の葺き替えを担う「むらた工業」。代表の村田浩行さんのもとでは、落雪対策として、雪が滑りにくい屋根材「石付き板金」を提案しています。

　「ガルバリウム鋼板といった金属板の表面に石粒をコーティングしたもので、細かいストーンチップが雪が落ちるのを止めてくれるので、雪下ろしの頻度を減らせます。屋根の雪が隣の敷地に落ちて迷惑をかけたくない方や、雪下ろしが大変だと感じる方におすすめです」

　石付き板金は、セメント材などから成るスレート・コロニアルといった既存の屋根材の上から施すことが可能。既存の屋根材の処理費用が必要なくなるので、屋根を丸ごと取り換えるのに比べて、工事の費用や日数を抑えられるのが特徴だと説明します。

　「弊社では30年の品質保証と10年の美観保証を用意しています。不具合があれば伺い、末永く地域の皆さまの住まいを守りたいと考えています」

　福井県の気候のもうひとつの特徴は、年間を通して湿度が高いこと。建物の通気性を高めて快適に過ごすには、瓦屋根が適していると言います。

　「木造建築を長持ちさせるには、湿気で腐らないように木に呼吸させる必要があります。瓦は、野地板と呼ばれる下地との間に隙間を作り風の通り道になる上、空気の層が断熱性を発揮します。昔の瓦は重くて崩れやすいイメージでしたが、最近では軽量で強固に緊結する工法も出てきています。色も赤や青、黄色とカラフルで、丸みのある洋風のデザインもあります」

瓦を葺く仕事に魅せられ、自動車整備士から転職して1999年に起業

　起業する前、自動車整備士として7年間勤めていた村田さん。自分で事業を起こしたい気持ちはずっとくすぶっていました。

　「ある日、瓦業者で働いている友達に手を貸してほしいと言われ、1日だけお手伝いをしました。高いところで動き回るのが楽しくて、自分に向いていると感じました」

　その後も何度か瓦業者でアルバイトを経験。やりがいを見いだし、整備士を辞めて3年ほどの修行期間を経て独立します。

　「前職では大きな会社に所属していたため、お客さまの声を直接聞く機会がなかったんです。各家庭に赴く瓦業者は、お客さまに直接『ありがとう』と言ってもらえる事に幸せを感じました」

　瓦業は2代、3代と家業を継ぎ、顧客も先代から引き継ぐケースが多いそうですが、村田さんはゼロからのスタート。起業当初は集客で悩んだものの、誠意を込めた接客により顧客を獲得していきます。

　「当方では、仕事にも人にも「正直」であることを心掛けています。綿密な調査により、その家に合ったプランを適正価格でご提案することで信頼関係を築き、お客さまからご新規さまをご紹介いただくことも増えました」

　村田さんは知人や友人へとつないでくれる顧客の期待に応えるため、技術力も鍛錬しています。

　「1999年の創業から何千件と屋根工事を手掛けているため、職人にノウハウが蓄積されています。また、弊社は『福井県屋根工事業協同組合加盟店』であり、「瓦屋根工事技士」「瓦屋根診断士」も取得しています。また国交省が監修したガイドライン工法に従っているため、耐震性や耐風性に優れた施工ができます」

環境への影響を考え、瓦をリサイクルしたチップ材「テコラ」も販売・施工

　村田さんは資源を有効活用するため、廃棄される瓦を再利用したチップ材「テコラ」も販売しています。

　「長年、工事で出る大量の瓦を処分してきましたが環境のためにも『これでいいのか』と戸惑いがありました。役目を終えた瓦が土に埋められていくのは悲しいし、元々土を焼いて固めたものなので、使い道があるのではと考えました」

　同じ思いを抱く同業者が全国から複数集まり、廃瓦をリサイクルしてチップ材として製品化。全国へネット販売したところ、売れ行きは好調だと話します。

　「テコラは見た目の美しさから、家の周りの化粧砂利として取り入れる方が多いです。また、瓦屋根を採用しているのは山形県あたりまでで、それより北は積雪に耐えられる金属屋根が主流のため、瓦という素材の珍しさからか、北海道から定期的に注文される方もいます」

　村田さんのもとでは屋根をリニューアルする際、古い瓦をテコラにして庭などに敷設することも可能。瓦は小さい穴をたくさん持つ多孔質で透水性や遮熱性があり、水はけがよく、蓄熱しにくいのがメリットとのこと。住宅以外にも公園や遊歩道にも利用されています。

　「『福井で屋根の困りごとを相談するならここ』という存在になりたいので、ドローンによる屋根点検も請け負っています。雨漏りなどは室内にシミが現れた時点で構造材へのダメージが大きいので、トラブルが発生する前にチェックしておくと、小規模の修理で済みます。定期的に診断することで大事なわが家の寿命を延ばしましょう」

（取材年月：2025年3月）

落雪を軽減する石付き板金や、湿気を防ぐ瓦など、福井県の気候に合った屋根を提案

屋根の雪を落ちにくくする屋根材「石付き板金」で雪下ろしの負担を軽減

瓦を葺く仕事に魅せられ、自動車整備士から転職して1999年に起業

環境への影響を考え、瓦をリサイクルしたチップ材「テコラ」も販売・施工

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