サイズや目的に合う靴を選び、中敷きで修正する靴のプロ友田康貴

サイズや目的に合う靴を選び、中敷きで修正する靴のプロ

友田康貴

計測で足の状態を確認し、靴を選び、中敷きも調整。オーダーメード品も提供

　「足が元気になり、お出掛けが楽しくなる靴をご提案します」と語るのは、愛媛県今治市にある昔ながらの商店街に店舗を構える「くつ家ともだ」の代表・友田康貴さん。シューフィッターとして、痛みや外反母趾など足の悩みに耳を傾けています。

　「足を測らずに靴を選ぶのは、視力検査なしにメガネを作るようなもの。ご自身の足について知ることが、履き心地のよさをかなえる第一歩です」

　靴を買う時でも、足の幅を3カ所、長さも座った時と立った時の2種類を計測。足裏のプリントを取り、体重のかかり方、指や土踏まずの状態なども細かくチェックします。長さ以外にも、幅の広さや甲の高さなど、足は顔と同じように一人一人違うため、自身のサイズや形を正確に把握することが重要だと言います。

　「まずは足に合った靴を選ぶことが大前提。次に必要に応じて中敷きを作製し、バランスを整えて体感を安定させます。この2段階のアプローチにより、足のトラブルや変形はもちろん、足・膝・腰の痛みなども防ぎます。店内にはウォーキングからビジネス、パーティまで、足によいと厳選した靴を幅広くそろえています」

　オリジナルブランド「友郎 TOMOROW」も手掛け、紳士靴や女性用パンプスのオーダー品も提供。その人その人に合った一足を作り出します。

　「本来、靴店の役割は商品を販売するだけでなく、靴選びをサポートし、中敷きなどで調整し、長く履き続けるためのリペアまでするものだと考えています。当方は“頼れる街の靴屋さん”として親しまれ、広島や香川など隣県から訪れるお客さまも。靴でお困りの方は気軽にご来店ください」

マイスターからシューフィッティングを学び、プロのスポーツ選手もサポート

　「くつ家ともだ」は、明治時代に傘屋として創業しました。番傘を貼ったり、雨具や長靴など防水用品を扱ったりする中で、徐々に履物店へと発展してきた老舗です。友田さんは創業からは数代目、靴店になってからは3代目とのこと。

　「私がシューフィッターとしての道を歩み始めたのは、20代の頃です。店にお越しになる女性のお客さまの多くが、おしゃれを優先しているうちに指が曲がり、外反母趾になったり、浮き指になったりしている様子を目にして衝撃を受けました。でも当時は『どうすればいいのか』という答えを持っていなかったんです」

　足を痛めてしまう原因を解明し、トラブルを減らすため、友田さんはシューフィッティングを学んで資格を習得。靴の展示会で知り合ったドイツ人マイスターの誘いで、マイスターの千葉の自宅に泊まり込んで直接指導も受け、足の構造や機能、採寸の仕方、靴の製法などについて知見を深めました。

　「マイスターは私に、『日本人は目が悪いとメガネ店に行くのに、足が悪いとどうして靴店に行かないの？』と問いかけました。師の言葉に、お客さまに合う靴を提案する重要性を再認識しました」

　友田さんは中敷きで外反母趾といった足の変形や痛みをカバーし、スムーズな歩行を後押し。運動能力を高める知見も深く、愛媛県内のバスケットボールチームやJリーグのプロ選手らも高く評価。足、インソールのケアを任され、パフォーマンスの向上を支えています。

デザイン性と機能性を兼ね備え、鼻緒を選べる下駄が幅広い世代に人気

　「夏にはサンダルのように足元を彩る、『環TAMAKI』というモダンな下駄が人気です」と友田さん。40種類以上の中から好みの鼻緒を選んでもらい、緩さを調整します。左右の違いのない、平面的な和装のタイプと違い、履き始めから足にフィットする立体的で履きやすい造りも特徴です。

　「下駄は日本の気候風土に合った素晴らしい履物です。蒸し暑い日も木に触れる足裏は気持ちよく、私も夏場は店内で履いています。近年はクッション性の高いシューズが多くなり、骨を強くする適度な刺激が足りていません。骨に良い刺激を与え、足裏の筋肉も鍛えられるので健康にも貢献するんです」

　「おしゃれな履物」としてのデザイン性と、「足に良い履物」としての機能性を両立させ、ジーンズスタイルの若者から80代のおばあちゃんまで、幅広い世代から愛されているとのこと。鼻緒は気軽に交換できるため、毎年のように色・柄を変えて愛用する常連客もいるそうです。

　長きにわたり地域に寄り添い、「母親に連れられて初めて来店し、大人になった今も通っている」という女性や、「息子の就職祝いに私が買ってやるぞ」と親子で訪れる光景も。お金を預ける銀行員には誠実さが伝わるよう、シンプルで格式が高い革靴・ストレートチップを勧めるなど、職業や目的、用途に合わせた提案も好評です。

　「外反母趾のケア方法を専門的に学んだ妻も、お客さまの靴選びをお手伝いしています。女性ならではの柔らかい対応も評判で、これまで以上に相談しやすい靴屋さんを目指します」

（取材年月：2025年4月）

頼れる街の靴屋さん」として、自分の足と用途にフィットする履き心地のいい一足を提案

計測で足の状態を確認し、靴を選び、中敷きも調整。オーダーメード品も提供

マイスターからシューフィッティングを学び、プロのスポーツ選手もサポート

デザイン性と機能性を兼ね備え、鼻緒を選べる下駄が幅広い世代に人気

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