PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

「農業経営をフルサポート」を理念に掲げ、農業に関するさまざまな事業を展開

地域の農家の農業経営をサポートするプロ

畠山周

畠山周 はたけやまめぐる
畠山周 はたけやまめぐる

#chapter1

操縦の講習会を開くなど、農薬散布に活躍する産業用ドローンの導入支援に注力

 田園が広がる自然豊かな秋田県秋田市金足小泉で、2019年3月に創業した「ファームビルド」。「農業経営をフルサポート」という理念のもと、農産物の生産・販売・貯蔵・運搬、種苗・関連資材の販売、農業用設備の設計・施工、各種農作業の受託など、多様な事業を展開しています。

 代表の畠山周さんは、自身も米や枝豆、大豆づくりに従事する農家です。自身の経験から、「今後、小さな規模で農業を営むのはますます難しくなる」と指摘します。

 「国はこれまで、面積が小さかったり、形がいびつだったりする田畑を整形し、水路や農道を敷設して使いやすくする『圃場区画整備』を進めてきました。しかし、私たちのような地方の農家は、高齢化や後継者不足といったさまざまな問題を抱えています。大きな区画に整えたとしても、今までの機械や人員でまかなえるのでしょうか。正直、疑問が残ります」

 農地集積・集約化など、農業政策が転換期を迎える中、「自分にできることで同業者の力になりたい」と会社を立ち上げた畠山さん。特に力を入れているのが、無人航空機として知られる産業用ドローンの導入支援です。

 「農薬をまく際は重い機材を背負ったり、長いホースを引いたりなどして、3、4人がかりで地上から行うのが一般的ですが、高齢者にはかなりの負担となります。近年はドローンを使って空中散布をする農家も増えていますが、操縦方法の習得には時間がかかり、すぐには使用できません。そこで、機体の販売だけでなく、ライセンス取得に向けた講習会を開いたり、ご自身で操作できない方のために作業を代行したりしています」

#chapter2

耕作放棄地を減らすため、農作業の代行や農地を引き継ぎ、管理も

 かつてJAに勤務していた畠山さんは、生産者に技術や経営に関してアドバイスする「営農指導」を担当。秋田市内を回る日々を送り、地域の農家が抱える困りごとなどに耳を傾け、現状に向き合ってきました。

 当時は農業振興にも取り組んでいたことから、活用されることがないまま放置されている耕作放棄地が増加している現状に、危機感を持っていると言います。

 「高齢の農家さんの場合、トラクターなど何か一つ農機具が壊れると、買い直すより農業を辞める選択をする人が少なくありません。作り手がいなくなり、田畑が荒れてしまう事態を減らすため、機械を持ち込んで私が農作業を代行するなど、みなさんの良きパートナーとしてお役に立ちたいと思っています」

 現在、畠山さんが作業を引き受けている農地は、ドローンによる農薬散布だけでも年間500ヘクタールを超え、東京ドームの約100個分に相当するとか。「長きにわたり受け継いでこられた大事な土地ですから、ご本人だけでなく、ご家族にも喜んでもらえることが多いですね。不安や悩みがあれば一緒に解決策を考えます。どんなことでも、気軽に相談していただきたいです」と笑顔を見せます。

 さらに、「どうしても農業を続けることができなくなった際は、私たちが田畑を引き継ぎ、生産を続けます」と畠山さん。そのような田畑は年々増え、現在は45ヘクタールほどを管理していると言います。

畠山周 はたけやまめぐる

#chapter3

「頑張っている農家をサポートしたい」との思いから会社を辞め、起業を決意

 代々続く米農家の家で生まれ育った畠山さんは、高校と短大で農業を学び、卒業後はJA全農に就職。その後は農業用資材や種苗を扱う企業に移り、営業職に従事していました。さらに、会社員として働きながら、実家の農業を手伝う忙しい日々を送っていたと言います。

 「兼業農家として365日休みなく働き、農業を続けることの大変さは身をもって感じています。さらに、ここ最近は米価の低迷やコスト高など、生産者を取り巻く環境がどんどん厳しくなってきました」

 先行きが不透明な状況から、やむなく経営を断念するケースを見聞きするうち、「頑張っている人たちを支えたい」という思いが湧き上がり、会社を退職。起業して、さまざまな事業を展開するようになった畠山さんは、「これからの時代、農家が生き残っていく道は二つ」と語ります。

 一つ目は、少ない面積で高付加価値の農作物を作ってブランド化を図り、自ら販路を開拓していく方法で、新規就農者に多い手法だと言います。そしてもう一つは、水田や耕作放棄地を借り受け大規模な農地を運用し、大型の機械で効率的に生産していく方法。畠山さん自身が目指すところでもあります。

 「農業は私たちの暮らしを支える重要な仕事で、決して絶やすことはできません。これまで大切に守ってきた田畑を次世代に継承していくため、時流に合わせて柔軟に対応し、新しい知識や技術を取り入れていくことも重要です。また、若い世代や女性などたくさんの人に『農業って面白そう』と興味を持ってもらえるよう、積極的に情報発信をしていきたいですね」

(取材年月:2022年12月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

畠山周

地域の農家の農業経営をサポートするプロ

畠山周プロ

農業・小売業

ファームビルド株式会社

農産物の生産・販売のほか、農作業の代行や農業資材・種苗の販売、農業設備の設計・施工、産業用ドローンの導入支援など、さまざまな事業を展開。地域の農家の困りごとを解決し、農業経営をサポートしている。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ秋田に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または秋田テレビが取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO