生徒の“やってみたい”に応え、音の楽しさを伝える専門家片山剛啓

生徒の“やってみたい”に応え、音の楽しさを伝える専門家

片山剛啓

ピアノ、ギター、ドラム、サックス、ボーカルなど多様なコースを展開

　西尾市と碧南市、愛知県内の2カ所で音楽教室を開く「Tzミュージックスクール」の代表・片山剛啓さん。アーティストのライブやレコーディングに携わり、自らもステージに立つなどプレーヤーとして豊富な実績を持ちます。

　実践で培ったノウハウを糧に講師も務め、優しく丁寧に、時に熱く指導。幼児からシニアまで、一人一人に寄り添いながらメロディーを奏でる喜びを伝えています。

　「生徒さんの9割は入門者です。音楽は難しいと思っている方も、教室の和やかな雰囲気を見れば『こんな感じでいいんだ』と、良い意味でイメージが変わるんじゃないでしょうか。当方のゴールは上達のみならず、皆さんが自己表現を心から楽しめるようになることです」

　レッスンは基本的にマンツーマンで、感覚に頼らず、楽曲の構成、指の動かし方や体の使い方などを論理的に教授。また、生徒が前向きに取り組めるよう主体性を重視し、演奏したい曲がある場合は率先して取り入れ、モチベーションを高める工夫もしています。

　1回分の無料体験レッスンの他、経験者向けに6回分のお試しコースも用意。ピアノ、ギター、ベース、ウクレレ、ドラム、サックス、トロンボーン、オーボエ、ボーカルと多様なコースを展開しているのも大きな強みです。

　「ギター、ベース、ドラム、ボーカルに関しては僕が手ほどきできるので、例えば1コマで弦楽器とボイトレを習うのもOKです。柔軟に受講できることが好評を博し、生徒さんから『スクールや講師を変えなくていいから、気軽にいろんな楽器や曲にトライできる』という声をいただいています」

家庭教師の経験が“つまずき”や“できない理由”を分析して寄り添う力に

　「楽器を始めたのは高校生のときで決して早い方ではありません。消去法で決めた音楽の選択授業が、僕の人生を変えるギターとの出会いでした。初めてバンドを組んだのは大学生のとき。当初はギターでしたが、希望者が加入したら自分はボーカルやベースと席を譲っていくうちに引き出しが増えました」

　学生時代、並行して注力していたのが家庭教師のアルバイト。生徒が何につまずき、なぜできないのかを分析して解決策を導き出すスタイルを確立。理解できた瞬間の明るい笑顔と、成長を後押しできたことに達成感を見いだします。

　「音楽への熱もさらに高まり、進学予定だった大学院を辞退しました。音楽教室の講師を始め、ミュージシャンのサポートメンバーとしても活動しましたが、音楽を一生の仕事にする確固たる道を模索。人に教えることも好きだったので、生徒のスキルアップや、若手講師のキャリアアップも支援できるスクールを開校することにしました」

　20年以上の講師歴を有する片山さんが、生徒と向き合う上で心掛けているのはメリハリです。学業や仕事など「すべきこと」も大事にしてほしいというのが矜持。生徒を取り巻く事情も加味しながら、それぞれがバランスよく音楽と付き合えるよう応援します。

　「本分を果たすよう促すあたり、自分は“先生”なんだと実感しますね(笑)。特に学生のうちは勉強も大切にすべきだと思うので、両立できるのが一番。音楽は心のよりどころであり、自分を励ますものであってほしいですね」

「音（おん）が苦（く）」ではなく音を楽しみ、生涯学習として音楽を提案

　2017年にスクールを立ち上げて以来、温かいまなざしで自由に伸びやかに音を鳴らす姿に伴走してきた片山さん。アーティストや音楽講師として羽ばたく人材も輩出してきました。

　「文字通り音を楽しむのが音楽ですから、完璧を求めすぎる必要はありません。特にポップスやロックは正しさがすべてではなく、その場の気分でアレンジして自分だけの音を作っていくのも魅力の一つ。“こうしなきゃ”を取り除き『音（おん）が苦（く）』にさせないことが目標です」
　
　近年は楽器を貸し出すリースシステムも開始。初期投資がかさむデメリットを減らし、裾野を広げたいと言います。

　「音楽は生涯学習だと思うんです。年齢を重ね、体力などが落ちても親しめるうえ、パフォーマンスを通じて感動を届けることで得られる充足感もあります。ここが皆さんの人生を豊かにする場所になれたらうれしいです」

　今後は音楽教室がないエリアを中心に進出し、音楽を始める術がなかった人たちとつながりたいと語る片山さん。さらに音楽、美術、体育、技術・家庭科といった、実技4教科の学び場を作りたいという展望も描いています。

　「多くの挑戦の障壁となるのは『うまくできない』という苦手意識。数学や英語を教える塾はありますが、実技教科をフォローしてくれる場所はほとんどなく、ハードルになっていると感じます。誰もが自分の可能性を狭めず、好きなものを見つけられることが僕の願いです。これからも音楽を軸にさまざまなチャレンジをお手伝いしたいですね」

（取材年月：2025年6月）

人生を豊かに彩り、心のよりどころとなる“音楽”との出会いを多くの人に届けたい

ピアノ、ギター、ドラム、サックス、ボーカルなど多様なコースを展開

家庭教師の経験が“つまずき”や“できない理由”を分析して寄り添う力に

「音（おん）が苦（く）」ではなく音を楽しみ、生涯学習として音楽を提案

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