〝インクルーシブな視点〟を浸透させ、誰もが「あきらめずに選べる」社会を（3/3）

企業の可能性を広げるインクルーシブデザインのアドバイスや、学校でのインクルーシブ教育も

　布施田さんは、インクルーシブデザインやインクルーシブ経営のコンサルティングも手掛けます。顧問先の一つ、スポーツシューズメーカーのアシックスでは、社内の意識改革や、当事者へのインタビュー調査などを行いました。

　表面的なCSR（企業の社会的責任）ではなく、利益を生むビジネスにつなげることを重視します。
　「私自身が人生の途中で障がいを持ったので、健常者と障がいのある人、双方のニーズが理解でき、経営者としての視点もあわせ持っていることが強みです。例えば、今や誰もが使う〝曲がるストロー〟は、当初、飲み物が飲みづらい患者のために作られ、普遍化した商品の一つ。不自由だからこそ気付く視点を、開発上流から取り入れると、事業の可能性は広がります」

　また、中高や大学、専門学校などに赴き、インクルーシブ教育に関する講演実績を持つ布施田さん。幼いうちから意識のバリアをつくらないことが重要と、自身の体験談やグループワークを交え、身近なこととして考えてもらう工夫を心掛けています。

　「誰にでも、病気や事故で突然体の自由を失う可能性はあります。私も落ち込むことはありますが、人生に絶望するのではなく、『それまで以上に楽しめる選択肢はある』と伝えたいですね。もともと体が弱く、限られた体調の良い時間を目いっぱい楽しもうと意識してきました。障がいの有無に関わらず、それぞれが楽しいと思える人生にできるようにとの願いを胸に、力を尽くします」

（取材年月：2023年7月）

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⇒障がいを機に、起業した経験をもとに、企業活動や教育現場を支援