森山幹予プロのご紹介
「今」に集中して筆を走らせ、自身を表現する書で心を解き放つ時間を(2/3)
文字の意味を考え、筆と墨でさまざまに表現できるのが書道の面白さ
森山さんは7歳から書道を習い始めました。社会人となり稽古を中断した時期がありましたが、再開して師範免許を取得します。
「美しい文字を書く先生はたくさんいらっしゃいますが、私は自分が感じるままに表すのが好きなのだと思います。例えば『風』。静かに吹くそよ風と台風のように荒々しい風では書き方が違ってきますので、生徒さんもご自身の感性を存分に生かしてください」
漢字には一字ずつ成り立ちがあり、平仮名は漢字に由来します。それぞれが持つ意味を考えながら、表現する楽しさも多くの人に伝えたいと力を込めます。
「1本の線でも強弱をつけることで、細い線からは繊細さが読み取れ、太い線であれば自信や威厳に満ちた雰囲気が出ます。絵画は色を塗り重ねることができますが、書道は一発勝負。その時の墨の含み方や筆の入れ方で見え方がかわり、思い通りにならないところが面白さであり魅力です」
書の奥深い世界に触れ、非日常体験や自分を取り戻す時間を持ってほしいと願うのは、シングルマザーとして子育てと仕事に忙殺された自身の経験に基づいています。
「以前は、オーダーメード衣装を制作するデザイナーをしていました。ある日、帰宅すると玄関で涙があふれて止まりませんでした。ストレスがあっても、顔に出さないようにして胸の内に抱え込んでいたんです。自分では気づかないうちに無理をしていたのだと痛感しました。同じように、一人で悩んでいる方に心を解放してほしくて教室を開きました」
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