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伊藤寿浩

特許や商標など知財のトータルサポートで中小企業等の支援プロ

伊藤寿浩(いとうとしひろ) / 弁理士

I.T.O.特許商標事務所

コラム

秘密意匠制度

2018年1月20日

コラムカテゴリ:法律関連

商品が売れる要素は複数ありますが、デザイン性の良し悪しも売れ行きに大きく影響するのではないでしょうか。したがって、各企業・団体等において新商品のデザイン開発にも大きな力を注いでいることでしょう。

 しかし、せっかく苦労して独自に開発した商品デザインを他人に模倣されたのではたまったものではありません。そこで、物品の美的外観(いわゆる商品デザイン)を保護し、他人の模倣を防ぐ独占排他権として意匠権があります。

 意匠権は、保護したい物品に施したデザイン(意匠)を特許庁へ出願し、審査を経て設定登録されることで発生します。他に、技術を保護する特許権や実用新案権、ネーミングを保護する商標権、著作物を保護する著作権などがありますが、これらを総じて知的財産権と称されます。

意匠登録制度は、先願主義のもと早い者勝ちなので、商品デザインが決定すればできるだけ早期に出願することが得策です。その商品デザインが設定登録され意匠権が発生すると、登録意匠公報が発行され広く公開されます。

 しかし、新商品のデザインは決定したが、諸事情により販売開始は数年後ということもあります。この場合、新商品の販売開始前にそのデザインが世間に知られることになり、新商品開発の動向を他社に知られてしまうことになってしまいます。したがって、意匠登録出願は早期にすべきだが、意匠権が得られても暫くはその内容を秘密にしておきたいことがあると思います。

 そこで、日本には秘密意匠制度があります。秘密意匠とは、意匠権の設定登録日から3年以内であれば、出願人の求めに応じて登録意匠の内容が公報に掲載されず秘密にしておくことができる制度です。この秘密制度は、特許権や商標権など他の知的財産には無く、意匠権特有の制度です。

 秘密意匠とするには、出願時又は登録料納付時にその旨を特許庁へ請求することで行えます。
 秘密期間は出願人(権利者)の任意であり、3年を超えない範囲で数ヵ月~数年で自由に設定でき、秘密請求後に短縮又は延長も可能です。

 企業の知財戦略の1つとして、秘密意匠制度を検討してみるのも良いでしょう。

この記事を書いたプロ

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