地域密着と丁寧な施工にこだわり、顧客を笑顔にする塗装技能士（2/3）

下請けから完全自社施工に転換したことによる変化

　子どもの頃から絵を描いたり、プラモデルに色を塗ったりと、ものづくりが好きだった池田さんは、高校卒業後に職人の世界へ。当時について「正直なところ『これをやるんだ』と確固たる夢を持っていたわけではなく、なんとなく就職したという感じでした」と振り返ります。

　「23歳のときに独立しましたが、最初は思うように仕事が取れず苦労しました。外壁塗装工事の相場は平均100万円ほどですが、下請け業者として受注すると30万円から40万円ほどの金額になり、きちんとした仕事をすればするほど赤字になってしまう。このままでは先が見通せないと考え、営業から施工までを自社で行うことにしました」

　顧客から直接仕事を請け負う元請けへと業態を変えたことに対して「不安も多かった」と語る池田さんですが、その後、地道な努力を重ね案件を獲得していきます。そして、日本建築塗装職人の会が主催する「全日本ベスト塗装店」で金賞、色彩と塗装のプロフェッショナルに贈られる日本ペイントの「カラーコンテスト」で特別賞を受賞するなど、実力が評価されました。

　自社でトータルに対応することで、顧客からお礼を言われる機会も増え、仕事のやりがいを再認識するきっかけにもなったとか。

　「ご年配のお客さまから、『人生最後の塗り替えだから、あなたにお願いしますね』とお声をかけていただいたことがあります。大役を任されたことをうれしく思うと同時に、お客さまに喜んでもらえるように、しっかりと務めを果たさなくてはと身が引き締まりました」

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