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松田友和

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松田友和(まつだともかず) / 内科医

糖尿病内科まつだクリニック

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コラム

「物忘れと認知症の違いをご存じですか?」

2019年5月24日 公開 / 2019年7月17日更新

テーマ:スマイル健康教室

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 糖尿病 食事糖尿病 症状糖尿病 予防

平成から令和に移ろい、昭和生まれも平成生まれも「時代」や「年齢」を意識された方が多かったのではないでしょうか。
歳月の経過を意識する際に、頭によぎる言葉の一つに「認知症」があります。

先日、スマイル健康教室の一環として、偕生病院 脳外科部長の林先生から認知症に関するレクチャーをしていただきました。
林医師
参加者が30名を超え、スタッフと合わせますと50名近いメンバーとなりました。認知症に対する注目が上がっていることを実感しました。
スマイル健康教室Vol.107-1
ところで、そもそも認知症ってどんな状態でしょうか。最近、人や物の名前が出てこないから、あるいは大事にしまったものの場所がわからなくなったから、自分は認知症ではないかと心配されている方はいらっしゃいませんか。実は「物忘れ」=「認知症」ではありません。

残念ながら、私たちは歳をとると老化してきます。私たちが物事を記憶し活用するときには、記憶すべき情報を覚えて、その情報を蓄えて、必要な時に取り出す、というステップが必要になります。老化により脳の機能が低下すると、記憶した情報を取り出すという部分が弱ってきます。そのため、「名前が出てきそうなのに、なかなか思いだせない」「後になって、ふと思い出す」といったことが起こります。つまり、名前が思いだせない人や物の名前を知っていることは、忘れていないのです。だから、自分の物忘れに自覚があります。自覚のある物忘れは、認知症ではないのです。

対して、認知症による物忘れは、記憶したこと自体を忘れる、あるいは記憶できない、ことで起こります。つまり、名前どころかその人や物自体がわからなくなります。食事を食べたかどうかがわからなくなります。約束をしたがどうかがわからなくなります。
また、認知症にはいくつかの種類があり、物忘れはないけれど、幻視で発症するタイプも少なからずあります。知らない人が部屋にいる、遠くに住んでいるはずの知人や肉親が目の前にいる、といった具合です。

これで、物忘れで心配していたが自覚があるので認知症ではないと安心された方も多いのではないでしょうか。でも、自覚のある物忘れは脳の老化であることもお忘れなく。認知症を予防するために血糖値の管理を行うことが大切なことは以前にもお話させていただきました。
参照 https://mbp-japan.com/hyogo/kaisei-dmcenter/column/5017746/

認知症だけでなく、脳の老化としての物忘れを予防するため(脳を老化させないようにするため)にも、生活習慣を見直すことや、身体活動を増加させることは非常に重要です。これらのことは、糖尿病の予防や血糖コントロールのためにも、非常に重要です。実際に、糖尿病は老化を早めてしまう疾患であると言われています。
小さなことからコツコツと、将来のご自身のために、出来ることを少しずつ実践していきましょう。

この記事を書いたプロ

松田友和

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