リハビリの視点を介護に生かし、日常生活の自立を支えるプロ
和田耕一朗
Mybestpro Interview
リハビリの視点を介護に生かし、日常生活の自立を支えるプロ
和田耕一朗
#chapter1
「できることは、できるだけご自身でしてもらう。これが、介護サービスを提供する上で私たちが指針にしていることです。介護というと、食事や着替えなど、その人ができないことを手助けするイメージがあります。しかし、本人ができることまで周囲がしてしまうと、体を動かす機会が減り、身体機能の低下につながります。さらには、自立を妨げてしまうことにもなりかねません」
こう語るのは、2012年から山口県下関市で介護サービスを手掛ける「インマイライフ」の代表・和田耕一朗さん。作業療法士としてリハビリ病院で臨床経験を積んだ後、訪問看護事業所で約13年間、在宅高齢者のリハビリを担当しました。そこで感じたのは、作業療法士がリハビリを指導するだけでは、利用者の生活を支えられないという現実でした。ちょうど介護事業への新規参入者が増えた時期と重なり、介護の質より効率化を求められる状況の中で、介護の在り方に疑問を感じたといいます。
「訪問リハビリでは利用者に接する時間が限られます。一方、利用者の生活は訪問リハビリの時間以外も続きます。日常生活を支えるためには、介護職とリハビリ職が連携してケアを行うことが必要だと考え、起業しました」
現在は、デイサービスや要介護高齢者向け住宅の運営、訪問介護事業などを行う和田さん。利用者本人が持つ能力を維持できるよう、「食器下げや掃除機がけ、調理などを一緒にしませんか」と声を掛けます。介護を受ける立場であっても、できることに取り組み、日常生活で力を発揮する機会を大切にしています。
#chapter2
「訪問介護では、一人暮らしの高齢者が生活に不自由をしているケースが多く見受けられます」と和田さん。社会的に孤立させないためにも、利用者と日頃からコミュニケーションを取り、どのような困り事を抱えているのか、連絡を取れる家族はいるのか、地域とのつながりはあるのかなどの把握に努めています。
その上で、「起き上がる」「歩く」「顔を洗う」「トイレに行く」など、日常生活で必要になる動作に着目。動作の安定や自立支援、生きがいづくりを目的に、生活リハビリのメニューを作成しています。
「脳梗塞の後遺症で右半身にまひがあり、一人ではトイレに行けなかった方も、歩行器や手すりを活用し、ヘルパーさんの介助を受けながら、ベッドからの起き上がりや移動、ズボンの上げ下げを練習しました。その結果、数カ月後には自分でできるようになりました」
また、まひのある右手の関節が硬くならないよう、スタッフと一緒に手を動かす練習も実施。まひのない左足を鍛え、右足もできる範囲で動かすなど、体力づくりも支援したといいます。
「『何でも自分でする』というわけではありません。できることはご自身でして、難しいことは私たちが支援する。そうして、ご本人ができることを増やしていくことが自立支援につながります」
さらに利用者の趣味や嗜好にも目を向けます。将棋やパズル、手芸など普段楽しめる活動の場を用意し、利用者の生きがいづくりにも取り組んでいます。
#chapter3
和田さんは、就労支援施設も運営し、障がいのある人の支援も行っています。その背景には、障がいのある子を持つ親として、わが子に自分らしく生きてほしいという思いがありました。自立を支えるには、本人ができることを生かし、社会の中で役割を持てることが必要だと考えたからです。
施設では、障がいの程度や特性などに合わせ、部品の組み立てやチラシの折り込み、関連施設の清掃など、それぞれが力を発揮できる場を提供しています。高齢者や車椅子の人も利用するため、軽い体操なども行います。
「いろいろな事業所を転々として、ここに来られた方がいます。畑仕事が好きだと聞いていたので、『当社の畑で作業をしませんか』と声を掛けたところ、生き生きと作業をされています。精神的にも安定したようで、ご家族にも喜ばれています」
今後は、在宅介護事業に力を入れるほか、障がい分野でもグループホームを造り、障がい者を支えていきたいと語る和田さん。介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修の講座を実施し、介護人材の育成にも力を入れています。
「研修を受けた人が当社で働いてくれれば、人材確保につながります。他の事業所で働くことになったとしても、その事業所のレベルアップにつながります。これからは、事業者同士で情報共有をしながら連携していく時代です。当社が培ってきたノウハウや成功事例などを伝え、また私たちも他の事業所から学ぶ。こうした取り組みを業界全体の底上げにつなげ、利用者の皆さんによりよいサービスを還元していきたいと思っています」
(取材年月:2026年9月)
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Profile
リハビリの視点を介護に生かし、日常生活の自立を支えるプロ
和田耕一朗プロ
介護、福祉事業所の運営
株式会社インマイライフ
作業療法士としての臨床経験と在宅リハビリの知見を生かし、介護職と連携して利用者の「できること」を増やす支援を実践。生活動作の安定から生きがいづくりまで、一人一人の力を引き出し、自立を支えます。
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