介護保険を活用し在宅生活を支える自立支援のプロ伊藤順哉

介護保険を活用し在宅生活を支える自立支援のプロ

伊藤順哉

「余生は我が家で暮らしたい」　利用者の望みを叶えるための開業

　高齢化が進み、ますますニーズの高まりをみせる介護支援事業。天童市に7つの施設をもつ「株式会社つるかめ」は、地域のニーズに対応するかたちで歩みを進めています。
　取締役次長の伊藤順哉さんは、介護福祉士・ケアマネジャーの資格を取得し、約9年間、山形県内の介護事業所で勤務してきました。数多くの利用者の方々と触れ合う中で、“従来のデイサービスとは違った新しい形”を構想するようになったといいます。
　「とても多かったのは、『家で最期まで暮らしたい』という希望でした。それはとても自然なことですが、実際はそのための弊害がたくさんありました。介護が家族の重荷になったり、病院や施設で一生を終えたり。これでいいのかと考えていくうちに、『自立を支援することに特化したサービス』が必要なのではないかと思うようになりました。」
　伊藤さんは、独立を目指して退職後、2004（平成16）年にデイサービス施設と居宅介護支援事業所を開設。多くの協力者に支えられながら事業をスタートしました。
　その後、2つのデイサービスとショートステイ、グループホーム、さらには小規模多機能型居宅介護と、地域の多様なニーズに対応した事業を展開しています。

笑顔が広がるリハビリと交流は　生活の自立をめざすための時間

　株式会社つるかめが行うデイサービスは、朝のお迎えに始まり、入浴・食事の後に機能訓練（リハビリ）の時間となります。
　「できなくなったこと」を「できる」へ導く　リハビリは、経験豊富な理学療法士・作業療法士が一人ひとりの状態に合わせた目標や負荷を設定。安全で効果的な筋力改善を行うことができます。
身体に不自由がある場合だけでなく、「予防トレーニング」も人気メニューのひとつ。要支援1から要介護5まで、それぞれに最適のプログラムで目標を設定するので、目標が達成できた時の喜びも味わうことができます。
今年1月からは、半日コースを新設、リハビリだけの利用や入浴を目的とした短時間のコース（半日）も設け、一日利用するのにはまだ抵抗がある方や、入浴だけが自宅では難しいという方などから短い時間で利用していただいております。
　「大切なのは、家で暮らすために足りないもの、不自由なことを補うためのリハビリだと考えています。『服を着る』、『お風呂に入る』、『トイレに行く』など、日常のことができるようになるため、施設と家をつなげた支援をするようにしています。このような形のサービスは、完全なオリジナルなので、日々チャレンジです。」
　利用者の方からは、「今までできなかったことが、自分でできるようになった」と喜びの声も多いそう。全国各地から視察の申し込みがあったり、介護系の雑誌に何度も紹介されたりと、伊藤さんの介護経験から得た「利用者に最適なサービス」は、デイサービスやショートステイの在り方の先進事例となっています。

　リハビリと運動の合間は「お楽しみ」の時間。将棋やカラオケなど、たくさんの余暇活動の中から好きなものを選んで過ごせます。
　「カラオケが嫌いな人もいるので、防音の効いた専用ルームもあります。ゲームや創作活動など、好きなことをしている時が、やはり皆さん、一番楽しそうです。」

いつも笑顔があるのは　利用者もスタッフも「すごく楽しい」から

　7つの施設で従事する職員は、現在100名ほど。20代から40代と、比較的若い職員が多く、施設はいつも笑顔があふれています。
　「採用を決める面接の時に必ず尋ねることは、『あなたは気が長いか』です。先回りしてやってしまうのでなく、時間はかかっても、ゆっくりと気長に待つのが『つるかめ』だから。私もずいぶんと気が長くなりました。」と笑う伊藤さん。
　入浴などの行程の中で、介護者が手伝って少しでも早く済ませるという施設が多い中、「時間がかかる」というリスクよりも利用者の自立を優先させるというリハビリを重視した方針は、職員にも徹底されています。

　各施設の職員は、サービスの向上と最新の介護技術などを話し合うため、毎月、定期的に勉強会を重ねています。新しいことに挑戦する企画も拒まず、変革を歓迎する社風は、「利用者にとってより良いサービスを提供しよう」という職員一人ひとりの思いと重なり合い、日々の進化へとつながっています。

　そんな「株式会社つるかめ」の経営理念は、「すごく楽しい会社をつくる！」。
楽しさは、心が満ち足りる時に感じるもの。心の満足度重視の理念だからこそ、利用者にとっても、そのご家族にとっても、職員にとっても、笑顔とやさしさを心から感じられる施設なのかもしれません。
「核家族、老夫婦、共働きなど、ニーズはさまざまで日々変化しています。ひとりでも多くの方が『家』というステージで長く暮らせるように、これからも必要とされるサービスを作り続けます。」

（取材年月：2014年12月）

「我が家で暮らす」を応援！楽しみながらリハビリできる「つるかめ流」デイサービス

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専門家プロフィール

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