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「介護のいらない身体」へ大逆転!音楽の力で健康をサポート

介護のいらない体づくり・健康へ導く音楽健康指導のプロ

馬場田晃一

ケアホームカナン 施設長 馬場田晃一様
「音健アワード」優秀賞を受賞し、審査員の湯川れい子さん(音楽評論家、作詞家)らとともに

#chapter1

民謡×HIPHOP MIXで楽しく介護予防体操

 「レッツゴー!」の掛け声に始まり、電子的なリズムやスクラッチ音とともに流れる尺八や三味線の音。ヒップホップにアレンジされた、おなじみの民謡「最上川舟唄」とともに、集まった高齢者が体を動かします。舟をこぐような動きをしたり、手を上げたり。「レイワ!(令和)」と合いの手も入り、参加者から笑顔がこぼれます。

 新庄市にある老人ホーム「ケアホーム カナン」で行っている「音楽健康セッション」の一こま。この「認知症予防体操 最上川舟唄×HIPHOP MIX」は「カナン」の施設長、馬場田晃一さんが開発し、音楽を生かした健康のためのレクリエーションのコンクール「音健アワード」で優秀賞を受賞したプログラムです。

 「カナン」が活用しているのは、参加者が映像を見ながら、音楽に合わせてさまざまな介護予防のプログラムができる「DKエルダーシステム」。通信カラオケの技術を応用したもので、専門家監修を含む500種類以上の介護予防プログラムを実施することができます。音楽に合わせて歌いながら体操を行うことは、脳を刺激するので、認知症予防につながります。さらに、転倒予防や口腔機能強化など、加齢に伴う身体機能の衰えを予防する効果が期待できます。
 
 参加対象者は、40代から80代と幅広く、ホームの入所者やデイサービスの利用者に限りません。介護保険対象外でも幅広く参加することができます。施設外のさまざまな場所でも行っており、県内外で出張指導する機会も増えています。

 「プログラムの豊富さに加え、音楽を使用して体操を行うため、『楽しかった』『身体の調子が良くなってきた』との感想をいただいています。とてもうれしく感じています」。「DKエルダーシステム」を活用した音楽健康セッションに、馬場田さんは確かな手応えを感じています。

#chapter2

感性を刺激し、身体機能が回復。運動習慣が長続き

 「最上川舟歌 HIPHOP MIX」は、音楽が大好きで、DJをしていた馬場田さん自身の経験から思い付いたプログラムです。

 楽曲を一緒に作成したのは、滋賀県で作業療法士として働きながら、DJとしても活動しているDJ MINIYONさん。ともにDJ歴のある二人がインターネットを通して知り合い、「音楽で介護のイメージを変えたい」という思いで意気投合し、アイデアを形にしました。

 実際に体操を行った方は、なじみ深い最上川舟唄が流れ出すと、顔を上げて口ずさんだり、体を動かすなど、行動に変化が生じました。以前よりも笑顔が増え、「歌うと心が熱くなった」との感想が寄せられるなど、認知症の初期症状であるうつ傾向の改善、やる気や楽しさの向上、といった作用が感じられるようになるといいます。

 高齢化が進むにつれ、健康上の理由で行動が制限されずに生活できる「健康寿命」をいかに伸ばすかが課題になっています。生活習慣の改善、特に「運動」の大切さが強調されていますが、長続きするのが難しいことが指摘されています。「運動も音楽に合わせると長続きします。特に、参加者が楽しく継続できることを大切にしています」と馬場田さんは「音楽健康セッション」の効用を強調します。

音楽健康セッションの様子

#chapter3

介護をもっと「楽しい」へ、続く挑戦

 株式会社カナンは、「介護をもっと『楽しい』へ」をコンセプトにしています。

 馬場田さん自身は、最初は「何となく」福祉の道に進みました。現場で経験を積むにつれて奥深さに気づき、スキルアップに積極的に取り組むようになりました。そこで学んだのが、介護は資格・知識・技術だけではなく「スタッフが持つ人間性が一番大事」だということ。

 施設長として、入居する人や、健康セッションへ参加していただく方々に「カナンで暮らすことは楽しい」「カナンのプログラムは楽しい」と感じてもらいたいと思っています。そのためにはまず、サービスを提供するスタッフ自らが「介護は楽しい」と感じることが大切だと考えています。やりがいを感じるケアの手法や、ケアに専念できる体制を構築することが欠かせません。

 「カナン」の特徴であり、スタッフや入居者がともに「楽しい」と感じるホーム作りの核となっている「DKエルダーシステム」を活用した音楽健康セッション。導入に伴い、レクリエーションの事前準備に要する時間を大幅に軽減することができました。見守りなどのリスク管理も容易になり、スタッフ本来の業務であるケアに専念できる時間が増えました。さらに、スタッフも一緒に音楽に合わせて体操を行うため、一緒に健康になり、楽しんでセッションを提供できるようになりました。

 夕方、デイサービスの一日を終えて帰宅する利用者を、馬場田さんが笑顔で見送っていました。「これからも『介護のいらない身体へ大逆転!』を目指し、音楽健康セッションを積極的に提供したい。たくさんの方々の元気づくりをサポートし、エンターテインメント性の高い健康教室を展開していきたい」と意欲を新たにしていました。

(取材年月:2020年2月)

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専門家プロフィール

馬場田晃一

介護のいらない体づくり・健康へ導く音楽健康指導のプロ

馬場田晃一プロ

介護福祉施設の運営

ケアホーム カナン(株式会社カナン)

音楽と運動を融合させた介護予防プログラム「音楽健康セッション」を展開。健康増進に加え、幅広い世代の方々の関心を集めており、加えて、より望ましい福祉の環境づくりにも効果を上げています。

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