設計から施工までワンストップで対応する一級建築士
鯨真生
Mybestpro Interview
設計から施工までワンストップで対応する一級建築士
鯨真生
#chapter1
1952年の創業以来、総合建設会社として建築・土木業を営んできた「下津建設」。住宅や店舗、事業所、研究施設、介護施設、寺社など多様な建築物を手掛け、河川の整備、道路の敷設などインフラに関する公共工事でも実績を持ちます。
3代目の鯨真生さんは、2023年に代表取締役社長に就任。一級建築士として設計に当たるだけでなく、監督として現場に立ちます。
自社で重機も保有し、自ら操縦。資材を運搬する10t、7t、3tの大型トラックをはじめ、荷を吊り上げる20t、13tの移動式クレーン、掘削や整地を行う大型と小型の油圧式ショベルなど合計18台。基礎工事や土工事、外構工事、揚重作業などは工事費用全体を通してかなりの割合を占めています。それらを外注せず内製することでコストを抑え、クライアントからのさまざまなニーズに臨機応変に稼働する体制を整えています。
「あるお客さまのオフィスビルを建てる際、旧社屋から金庫を移設してほしいと頼まれました。金庫は中層階にあり、相当な大きさで重さもあったため、廊下や階段を使うのは無理だと判断。窓から出すため、足場を組みクレーンで吊り上げて運び出しました」
他にも「樹齢500年のウバメガシを庭へ移植したい」「駐車場に敷石を施してほしい」など、着工後の突発的な要望にも対応。何事にも仕事に明るく誠実に向き合うことを信条としています。
「コロナ禍に中高層ビルの新築を請け負いました。竣工まで1年半程度かかり、作業員数は延べ10000人を超えました。大きなプロジェクトを成し遂げた達成感もありましたが、何よりも陽性者を出さず、ケガも事故もなく、完成できたことへの安堵感が大きかったですね」
#chapter2
子どもの頃から人前で話すことが好きだったという鯨さんは、小・中・高校で生徒会長を務めていました。
「一つのイベントを、期限を決めてみんなで作り上げていくのが楽しくて。現在の仕事に通じるものがあります。協力会社を集めて、全員に計画・方針などを説明しながら築き上げる、生徒会長をした経験が生かされていると感じます」
また、中学時代はバスケットボール部に所属し、高校は強豪校である工業高校を選び建築学科へ進学。しかし、途中で断念し部活を辞めてしまいます。打ち込むものがなくなり、目標もなく過ごしていた時、父親から将来について問われます。
「どうするのかと正され、初めて本気で建築に取り組もうと考えました。ものづくりには興味がありましたから、夏休みには現場に通い、ひたすら体を動かし手伝いました」
暑くて厳しかったという記憶だけが残っていると、朗らかに笑う鯨さん。大学卒業後は後を継ぐため家業に入り、20代で一級建築士に合格します。
「すぐに同級生から依頼をいただき、本当にうれしかった。初めて自分が担当するお客さまです。天候が悪くなると夜中でも現場に赴き、異常がないか確認しました」
友人の自宅の設計から施工まで担うことで、責任の大きさを実感した鯨さんは、創業者である祖父の理念をより深く理解できたと言います。
「『建物は生命と財産の入れ物』という言葉です。住まいは、不安なく暮らし、安心して眠れるところ。命を守り、財産を守る、この思いが強まりました」
#chapter3
「人の手によることが多い建設業界ですが、今後はデジタル化を進めていきたいですね。DX(デジタルトランスフォーメーション)技術を導入することで、工事全体の効率化や生産性向上、品質確保を図り、工期も短縮。すでにICT建機を使用した実績があります。新たにタブレットの活用やドローンによる測量・点検など生産性アップにつながるものを採用し、建設現場を変革していきたいと構想しています」
新しい技術を積極的に取り入れる鯨さんは「現場はいつも違い、同じ条件の場所はない」と言います。熟練作業員であれば難なくできることも、経験が浅いと何度となくやり直さなければならず、時間がかかり、品質にも差が生じることに。DX技術に切り替えていくことで、限りなく100点に近づけたいと未来図を描きます。
「最近は住宅のリフォーム案件も多くなりました。家事動線のいい間取りに変更したり、子どもが使っていた個室を趣味の部屋にしたり、地震が頻発していることから耐震改修などの安全面も視野に入れてプランニングしています」
現場では明るく元気に、気持ちよく。地域の人の困りごとには迅速に駆けつけ、住む人の心に寄り添っていく鯨さん。「自社のことをもっと多くの人に知っていただきたい」と、ホームページをリニューアルし、SNSによる発信にも注力しています。
アップされているのは、木のぬくもりに満ちた空間や、コンクリートの質感を生かしたスタイリッシュなデザインなど多彩。「何でも気軽に相談してください」と呼び掛け、時代を捉えた柔軟な発想力で希望をかなえていきたいと力を込めます。
(取材年月:2023年7月)
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Profile
設計から施工までワンストップで対応する一級建築士
鯨真生プロ
一級建築士
下津建設株式会社
大型トラック、移動式クレーン、油圧ショベルなど計18台を保有。住宅から中高層ビルまで多数の実績があります。河川整備や道路新設などのインフラ関連も多く手掛けています。
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