「購入後の快適な暮らし」を大切にする家電製品の専門家金塚佑太

「購入後の快適な暮らし」を大切にする家電製品の専門家

金塚佑太

家電販売や電気工事を手掛け、毎年夏前にはエアコンの無料点検を実施

　「買っていただく前のお世辞より、買っていただいた後のサービスを大切にしています。決して売りっ放しにはしません」

　力強く話すのは、「三晃電機」の代表・金塚佑太さん。東京都大田区、JR蒲田駅の西口から伸びるアーケード街「サンライズモールKamata」内に店舗を構え、テレビ、冷蔵庫や電子レンジ、洗濯機、空調機といった家電製品やガス機器を販売・施工。キッチン、バス、トイレ、洗面所など水回りのリフォーム、スイッチやコンセントの増設、照明器具の取り付けのような電気工事も手掛けます。店舗の2階にはショールームを設け、家電や美容機器、補聴器などさまざまな製品の試用が可能です。

　「当方で商品をご購入いただいたお客さまには、無償で点検活動（対象商品に限る）を実施しています。特に力を入れているのはエアコンです。毎年夏前になると、ご自宅を1軒ずつ回り、稼働に問題がないかを確認しています。部品交換が必要であれば別途費用を頂戴しますが、スタッフ総出で年間200台以上をチェックしています」

　金塚さんが目指しているのは、顧客から何でも気軽に相談してもらえる「街の電気屋さん」。トラブルに対処したり、メンテナンスをしたり、末長く付き合っていきたいと考えています。

　「お客さまの中には、金額を一切気にせず、『あなたは私たちの家族構成もライフスタイルもよく分かっているから、うちのリビングに適したエアコンを選んで持ってきて』と、私どもを全面的に信頼してくださる方もいます。お任せいただけたときはとてもうれしい気持ちになりますし、期待に応えねばと気が引き締まります」

松下幸之助商学院で知識や技術を習得し家業へ。2023年に4代目社長に就任

　金塚さんは1984年に三晃電機の4代目として生まれました。小さい頃からお店によく顔を出し、父親の配達についていったり、常連客に話し相手になってもらったりしながら育ったと言います。

　大学を出て電気工事会社で働いた後、滋賀県草津市にある「松下幸之助商学院」へ。寮生活を送りながら、配線や電気設備の設置、商品知識や提案の仕方などについて1年間学び、家業へ入りました。「特に、『論語と大学』を学ばせていただき会社の方針や地域に対する考え方の元になりました」

　「子どもの頃から見ていたので、当社の事業について知っていたつもりでしたが、いざ始めてみたら分からないことだらけで大変でした。現場に出て少しずつ仕事を覚えながら、不具合があればすぐに駆け付けるなど既存のお客さまとの関係構築にも力を入れました」

　経験を積み、2023年に父親から経営のバトンを引き継ぎ社長に就任。組織を束ねる立場になって以来、重きを置いてきたのが従業員教育です。

　「当社の強みはお客さまに対するきめ細やかなサービスであり、スタッフの臨機応変な対応力と適切に施工する技術力が要となります。一人一人得意・不得意があり、覚えが早い人もいればそうでない人もいます。個性をしっかりと見極めながら、それぞれに合った指導を心掛けています」

　従業員がモチベーションを高くもって職務に励めるように、働きやすい環境づくりにも注力。「休日を増やしたり、手当を充実させたり。まだまだ道半ばではありますが、頑張ってくれている仲間に少しでも報いる仕組みを整えていきたいですね」と笑顔を見せます。

1941年創業し、80年以上にわたり地元に根ざし活動。地域活性化にも貢献

　「今後は都内に支店を開設することを展望しています。当社のような地域密着型の店が姿を消し、困っている方は少なくありません。『頼るところがない』と心もとなく感じている方のお力になりたいのです」

　金塚さんいわく、街の電気店が閉業する理由は経営不振ではなく後継者がいないから。資格取得を支援するなど、従業員のスキルアップにも努めサポート体制を強化。家電や住宅設備を整え、心地よく、不便のない暮らしを支えていきたいと語ります。

　1941年に創業し、80年以上にわたり商売を営めていることにも感謝。金塚さんは地域あっての「三晃電機」という思いから、地域貢献にも取り組んでいます。例えば、蒲田西口商店街振興組合の理事としての活動もその一つ。2025年4月には、同社主導で「サンライズモールKamata」の入り口に大型ビジョンを設置しました。

　「導入にあたり東京都の補助金を利用しました。地域の情報発信や、アーケード街に軒を連ねるお店のPRに活用しています。広告費は商店街の振興費として還元し、蒲田の街全体の活性化につなげたいと考えています」

　金塚さんの好きな言葉は「一燈照隅（いっとうしょうぐう）」。天台宗の開祖である最澄の言葉で、一人ひとりが自分の持ち場を照らすことで、やがて社会全体を明るくできるという教えです。

　「街の電気屋として、地元・大田区の一隅を照らす存在でありたい。自分にできることは小さくても、地域活性化の一助となれるよう全力を尽くします」

（取材年月：2025年6月）

何でも気軽に相談できる「街の電気屋さん」として、地域の暮らしを照らす存在に

家電販売や電気工事を手掛け、毎年夏前にはエアコンの無料点検を実施

松下幸之助商学院で知識や技術を習得し家業へ。2023年に4代目社長に就任

1941年創業し、80年以上にわたり地元に根ざし活動。地域活性化にも貢献

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