手に負えなくなったシステムを引継ぎ運用・保守する専門家
北山朋則
Mybestpro Interview
手に負えなくなったシステムを引継ぎ運用・保守する専門家
北山朋則
#chapter1
システムにおける“駆け込み寺”として困り事を請け負う「フェアシステム」の北山朋則さん。頓挫した開発プロジェクトや手に負えなくなったメンテナンス業務を顧客から引継ぎ、円滑に運用できるようにします。
「『専任の担当者が突然退職して何も分からない』『委託した業者とのコミュニケーション不足で期待通りに稼働しない』『人手不足なので保守業務を外部に任せたい』など、現状の課題をお話しください。お客さまが本当に必要としているものを見極め、要件を整理して解決に導きます」
引継ぎサービスの名前は「システムトラブル110番」。特長は迅速さで、メールの場合は最短3時間で初期診断を行います。更に急ぎの場合は電話にてヒアリングを行います。
「当社には経験豊富なメンバーがそろい、複雑でくせのある完成・未完成のプログラムを読み解いて不具合を見つけられます。大規模案件には関係会社の協力も得て、それでも難しい場合は初期段階から別の方法を提案します。社名の通り“フェア”を信条とし、安易に依頼を引き受けて時間と予算を無駄にすることもありません」
最近はコスト削減のためにベトナムや中国でオフショア開発(海外委託)を進めてきた企業が、言葉や商習慣の違いを理由に拠点を国内に戻すことも珍しくないとか。
「世界的な人件費の高騰もあり、メリットが少なくなっているようです。当社にお任せいただければ、品質の高い対応をお約束します」
#chapter2
中学時代からオーディオ機器に興味を持ち、高校時代にはスピーカーを自作したこともあるという北山さん。オーディオ機器の開発者になるという夢を持って、大学では工学部の電気電子工学科に進みます。
「所属したゼミが電気よりもコンピューターの研究に特化し、私もコンピューターを使った仕事に憧れるようになりました。卒業後は銀行など金融機関向けのソフトウエアを開発する会社に就職しました。15年近く勤める中で製品を本稼働させる前のテストを繰り返し、正確性や安定性を追求していました」
北山さんはより多くのプログラミング言語を覚えたいと新たな職場へ。ECサイトや人材サービス会社の検索システムを開発したり、営業向けの社内システムを改修したり、新規・既存の仕組みでノウハウを蓄えました。
「転職先で出会ったのが『フェアシステム』の現代表です。当時の上司で、とにかく仕事ができる人でした。今も変わりませんが、メンバーの力量やアサイン可能な人数を見極めた上で、依頼を受けるか否か判断する能力に秀でていました。独立すると聞き、彼の下でなら自分の本分を生かして幅広い領域にチャレンジできると考え事業に参画しました」
現在は研究開発部門の部長に着任。5人の部下と常時5件前後のプロジェクトを回し、開発途中でコントロールできなくなった“炎上案件”を仕切り直すことも多いとか。難易度が高い場合でも、物事の優先順位をつけて段階的に分析すれば大抵は解明できると胸を張ります。
#chapter3
顧客から託されるシステムは設計方法が一つ一つ異なり、まさに「未知との遭遇」だと表現する北山さん。携わったプログラマー各自の個性を感じるのも仕事の面白さです。
「属人化して次の人にバトンタッチできなくなる側面もありますが “その人らしさ”や改修の変遷に触れると驚きや感動を覚えます。以前も前任者が約20年にわたり守り続けてきた経理システムを拝見しましたが、積み重ねてきた歴史を前に感嘆しました。プログラムのソースコードが最初は暗号のように見えましたが、丹念に追うと意味のある文脈が浮かび上がってきました。こういった糸口をつかむ瞬間がたまりません」
難解なケースもあり、同じ轍(てつ)を踏まないためにもチームのメンバーには「思いつきではなく教科書通りに構築しよう」と呼びかけているとか。定番のプログラミングこそ誰もが分かる共通言語であり、パフォーマンスが高くセキュリティー面も強化しやすいと続けます。
「人材育成も大事な目標の一つです。部下を私と同じレベルに育てれば、数多くのトラブルに対応できるようになり、サービスの質も上げられます。当社の代表は人的リソースの適切な配分が得意ですから、業界では珍しく役職者の私も含めて残業や休日出社がほぼありません。働きやすい環境を維持しつつ、社内の技術力向上に貢献していきたいです」
システムを育ててきた前任者の思いくみ取りながら、セオリーに忠実に。ソースコードを解析して場合によっては仕様を改め、利便性や効率性の向上につなげています。
(取材年月:2025年4月)
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Profile
手に負えなくなったシステムを引継ぎ運用・保守する専門家
北山朋則プロ
システムエンジニア
フェアシステム株式会社
前任者の退職やプロジェクトの頓挫などで扱いに困っているシステムを顧客から引継ぎ、運用・保守する。ヒアリングを通じて迅速に課題を発見し、納期や予算に配慮した“フェア”な対応が特長。
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