地域医療の未来を守る薬局特化型M＆Aコンサルタント佐伯孝通

地域医療の未来を守る薬局特化型M＆Aコンサルタント

佐伯孝通

薬局に特化したM＆A支援事業として年間1000件を超える売買相談に対応

　国内に6万施設以上の調剤薬局があり、コンビニよりも数が多いと言われ競争は激化 (2025年時点)。薬価や調剤報酬の改定、調剤併設型ドラッグストアの台頭などを背景に収益が悪化したり、労働人口の減少や少子高齢化により薬剤師や後継者が不足したり、やむなく閉局するケースも少なくありません。

　経営や人材の課題を解決する手段として、合併・買収（M＆A）を提案するのは「アウナラ」の代表・佐伯孝通さん。数千件に及ぶ薬局リストを保有し、資金調達や企業価値の算定、リスク調査を助ける金融機関や会計事務所とも複数提携。面談や現地視察を通じて、従業員の待遇といった要望や処方している科目などを聞き取り、候補先を選定します。

　「売り手と買い手をつなぐだけでなく、薬局に関わるすべての人が前向きに次のステージへ進めるようお手伝いします。働いている人たちの雇用が守られ、地域医療に支障を来さず、患者さんに滞りなくサービスを提供できるように計画するのが、私たちの考える“本質的なM＆A”です」

　売り手と買い手の両方から仲介手数料を受け取る“両手型”が主流の業界にあって、売り手側の手数料を無料にしている点も特徴。金銭的な負担をなくすことで、経営不振に悩むオーナーが早期に相談できるよう配慮しています。

　「元薬歴販売会社代表の私や、元売主の薬剤師、営業多彩な薬剤師資格を有する者など、現場を熟知したメンバーが在籍し、専門チームを編成して事業承継や不採算店舗の再生といった多様なニーズに応えてきました。薬局に特化したM＆A支援事業として年間2000件を超える売買相談を承り、スピード感をもって成約へと導いています」

薬局経営の特性を理解し、薬局専門のスタッフを育成するスキームを構築

　佐伯さんは都内の大学を卒業後、大手企業でシステムやインターネットメディアの営業に従事。その後、クラウド型の薬歴（薬剤服用歴）管理システムを手掛ける企業に転じ、主力商品として拡販すべくグループ会社を立ち上げ代表取締役に就任。3期連続で黒字決算、増収増益を達成しました。

　販路を広げる中で全国の薬局と接点を持ち、業界の情勢を把握し、課題意識を持ったことが現事業の礎です。

　「医薬品の納入価格や人件費が上昇傾向にある一方で調剤報酬が減額されるなど、薬局を取り巻く環境は厳しくなっています。利益を上げるには、医療機関との連携を強化して処方数を増やすといった努力が必要です。また従来の対物業務だけでなく、在宅訪問をしたり、服薬指導をしたり。対人業務が求められ、人材の確保も急務です」

　前職で各方面に赴く中で、M＆Aの仲介会社がオーナーらにアプローチする様子を目にしてきた佐伯さん。世の中のM＆A仲介業者の大半が、薬局に対する知識や経験が不十分で、薬局経営の特殊性が十分に理解されているとは言えないと実感します。

　「薬局はビジネスである前に、地域医療の要です。薬をはじめ、食事や運動など生活習慣についてアドバイスするなど、地域の健康カウンセラーとしての役割を果たす事業者にバトンタッチすることが肝要です」

　任期満了により前職を退任するタイミングで、2021年6月に「アウナラ」を設立。薬局専門のスタッフを育成する独自のスキームを確立し、財務・人事・採用・薬価など、経営を多角的にフォローする体制を整えました。

薬価交渉、人材紹介、プロモーションなど薬局運営を幅広くサポート

　薬局現場に精通する佐伯さん。M＆Aを基軸としつつ、新規開局や薬剤師・医師の独立サポート、薬価交渉、実務を担う人材、顧問税理士の紹介、SNSを活用した採用・プロモーション活動など、支援領域は多岐にわたります。

　例えば、40代の薬剤師が独立を希望していた際、後継者不在で閉業を検討していた薬局とマッチング。立地条件やスタッフ構成、処方元との関係性を丁寧に整理し、双方が納得する形で承継を進めました。結果として、地域の患者はこれまで通り薬局に通い続けることができ、新オーナーもスムーズなスタートを切ることができました。

　「もともとの経営者さまが亡くなり、ご家族が“形見”とも言える薬局を手放す決断をされたケースでした。当社では、買い手となる方の経営に対する意欲や業務に関する経験値、資金面なども厳正な審査を行っており、スムーズな引き継ぎが実現できました。『これで安心しました』とお話しされたご家族の笑顔が印象に残っていますね」

　地域医療を支える薬局を存続していくため、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源をカバー。財務的にも組織的にも健全な経営体質をつくり、医療サービスの維持と質の向上に寄与していきたいと話します。

　「“不安を希望に変える”という企業理念のもと、事業を譲りたい方、譲り受けたい方の縁を結び、志ある皆さまの活躍を後押ししたいと思っています。私たちの取り組みが薬局の未来を切り開き、ひいては地域医療の安定につながると信じています」

（取材年月：2025年7月）

地域医療を支える薬局の未来を切り開くため“本質的なM＆A”を提案

薬局に特化したM＆A支援事業として年間1000件を超える売買相談に対応

薬局経営の特性を理解し、薬局専門のスタッフを育成するスキームを構築

薬価交渉、人材紹介、プロモーションなど薬局運営を幅広くサポート

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