壁紙のプロ
山西慶典
Mybestpro Interview
壁紙のプロ
山西慶典
#chapter1
私達が普段暮らす家で、最も身近で、なおかつ最も空間の雰囲気に影響を与えるもの。それは壁紙(クロス)ではないでしょうか。新築はもとより、壁紙を替えれば建て替えなどの方法よりもずっと安く壁の質感や室内の配色を変えられるとあって、リフォームの際に壁紙選びに時間をかける人も少なくありません。
そんな壁紙張替の専門店として、個性的な室内空間を提案してくれるのが『Haru-bi-ja(ハルビジャ)』です。少し風変わりな会社名には、「美」しい壁紙を「貼る」「者」という意味が込められているそうです。
代表の山西さんは壁紙施工及び壁紙デザイナーとして長年経験を積み、壁紙についての知識と技術を蓄積してきました。「欧米では、壁紙はデザイン性を重視して選ばれます。一方で日本の住宅の壁は“ビニールクロス=身体に良くない”という考え方や、自然素材をアピールしたり、工期短縮とコスト削減に走る風潮などの影響で、壁紙の良さを楽しむという人はまだまだ少ないんです」。壁紙に対する日本と諸外国の考え方の違いを、山西さんはそう指摘します。「たとえば吸湿性能を期待して壁に珪藻土を使ったとしても、除湿器や空気清浄機を部屋に置くほうがよっぽど効果的です。天井や床と同じく、壁は空間の雰囲気を作るベースになる存在ですから、作りたい部屋のイメージが壁紙で実現することができるなら、壁紙という選択肢を除外するべきではないと私は思っています」。
#chapter2
言うまでもなく、世の中に壁紙を貼ることのできる業者は数多く存在します。しかし『Haru-bi-ja』の特徴は、既存の「単に壁紙を貼る」という枠を超えた仕事ぶりにあります。
『Haru-bi-ja』が得意とするのは、壁紙の「デザイン貼り」。色や質感の異なる壁紙と壁紙を組み合わせてドット柄やラインなどの模様を作り出すこの手法は、メーカーに用意された既存の柄やパターンに左右されない、自由な発想での室内空間作りを可能とします。「アクセントとして壁の一面だけを違う壁紙で仕上げることはよくありますが、一面をまるごと別の色にしてしまうと、その色が圧迫感を与えてしまうこともあるんです」。ベースとなる色に、どんな差し色をどれぐらいの比率で用いるか…。施主の要望をインプットし、部屋の面積に対しての比率まで考えた上でデザインとしてアウトプットする山西さんの仕事は、誰にでも真似できるものではありません。
「壁紙業界の先輩方は壁一面に絵を描くなど、難しい仕事であるほど“自分の腕の見せ所”として張り切って取り組んでいたんです。それが効率主義や様々なパターンの壁紙の出現といった時代の流れとともに、難しい貼り方のできる職人も数を減らしています」。困難な場面に行き当たった時、自らの知識や技術で乗りこえることができるかどうか。山西さんの話から、職人を「本当のプロ」と呼ぶことのできる一本の基準線が見えたような気がします。
#chapter3
もうひとつ、『Haru-bi-ja』がお施主さんの要望を実現するために取り入れたのが、好きな柄を壁紙に直接印刷することができるオリジナルプリンターです。デザイン貼りと同じく徳島の住宅業界ではまだ導入が進んでいないというこの機械を使えば、好きな壁紙に好きな写真やイラストをプリントして、まさにこの世にひとつだけのオリジナルの住空間を作ることが可能となります。
他にも『Haru-bi-ja』に相談すれば、ドイツを中心とするヨーロッパ諸国では7〜8割の住宅で使われているフリース素材の壁紙を使うことも可能だといいます。営業マンが壁紙のカタログだけをお施主さんに渡してあとはその中から選ぶだけ…そんな従来の家作りで当たり前に見られる壁紙の在り方に疑問を持ち、確かな知識と経験から幅広い選択肢を用意してくれれば、おのずと壁紙選びにも熱が入り、仕上がった部屋にも愛着が湧くに違いありません。
「住宅の内装は贅沢品」。山西さんはそう話します。住宅そのものの耐久性に直結する外壁や屋根の工事に比べ、インテリアは多少傷んでも我慢すれば生活し続けることは可能だというのです。「だからこそ、生活環境を変えたいと言ってくださるお施主様にはデザインや素材といったプラスαの要素を提供して、豊かさや癒し、個性など目に見えない内面の充足感を得ることでその価値を存分に感じていただけたらと思っています」。
(取材年月:2017年7月)
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Profile
壁紙のプロ
山西慶典プロ
職人
株式会社Haru-bi-ja
「壁紙の専門家」が不在と言える徳島の住宅業界。新築・リフォームを問わず、お施主様の持つイメージを大切にしながら、これまでにない美しく安らげる空間を壁紙によって演出します
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