丁寧で具体的な指導で確実に上達させるピアノ指導者
伊集院紀子
Mybestpro Interview
丁寧で具体的な指導で確実に上達させるピアノ指導者
伊集院紀子
#chapter1
「わずかな時間の本番のために膨大な準備をするのは、スポーツもピアノも同じ。しかし、100%の準備をすれば時に150%の結果も出せるスポーツに対し、たとえ120%の準備をしても150%の結果は出せないのが楽器の世界です」と話すのは、埼玉県戸田市ピアノ教室主宰の伊集院紀子さん。コンクールの優勝者・入賞者を輩出している指導者であると同時に、イタリアや日本においてさまざまな演奏活動を行うピアニストでもあります。
なんとなく音楽を楽しみたいというレベルではなく、きちんと弾きたい、上達したいという思いで教室に通う生徒さんは、幼児から音大卒業生まで。「気楽に弾いていても上達はできません。子供には難しい、と線引きする必要はありません。子供はやればやるほど、大人が思っている以上に難しいことを理解し挑戦する力を持っています」。発表会などで達成感や成功体験を得た生徒たちは、コンクールに挑戦したり学校の勉強にも熱が入ったりと、喜ばしい余波があるとか。
伊集院さんが指導するのは専門家を目指す人たちに限りません。
「ゴールは人それぞれですが、誰もが確実にうまくなれる要素を持っています。上達すると乗ってくるわけですから、その『踏み切り台』になりたい。専門家への道を進むお子さんにもそうでないお子さんにも、同じ熱意を持って指導します」
音大卒業後に演奏家の道に進んだ伊集院さんは、ご自身のことを「後発の演奏家」と言います。だからこそ、できる指導があります。「ピアノは指だけで弾くものではなく、頭の作業こそが重要」と持論を展開。椅子の座り方や重心の位置、打鍵の速度や指の角度などの技術的なこと、表現的な部分では間の取り方、強弱の捉え方、感情表現を音にするために行うべきことなどを、伊集院さんは一つひとつ言葉で伝えます。
「ピアノは本番では自分の楽器を使用できません。何が起こるかわからないし、起きたことに動揺していては演奏にならない。それを演奏家として身を以て知っているからこそ、レッスンで本番のための土台を作っていくことができるのです」
#chapter2
4歳からピアノを始め、音大に進んだものの、卒業時は演奏家を目指してはいなかったという伊集院さん。それでもうまくなりたい一心でコンクールに挑戦。本に書かれたテクニックを自分なりに解釈するなどで、大学時代に行き詰まっていた自身のテクニックを変化させてきました。そして、イタリアで40年にわたり演奏活動を行うと共に国立音楽院の元教師でもあるマッサーリア氏に師事。
「先生に『どのようなピアニストになりたいのか』と尋ねられた時は演奏家になると考えてもいませんでしたが、『まだこれからじゃないか』『学ぶのが早いから5年でピアニストになれる』と演奏家予備軍と扱ってくれました。型破りな先生で、どんな生徒にも一生懸命。私がついた指導者では初めての現役の演奏家でもあり、演奏について多くを学びました」
以来、定期的にイタリア・トリノに渡り先生の自宅に住み込んでレッスンを受け、イタリアのコンクールで受賞。現在も年30回程度のコンサート活動を行い、自分自身の音楽を追及しています。そして、イタリア在住の師に指導者としての姿勢も学び、後進への指導を行っているのです。
#chapter3
いずれ作曲家の意図を理解して弾くためにも、小さなお子さんであっても読譜力を高めることにも力を注ぎ、演奏の際の体の使い方、曲の表現の仕方など、年齢や生徒さんの技術力や理解力に合わせて指導。短期間で曲をマスターすることより、じっくり取り組むことを大切にしています。
一方で、生活をピアノ一色にすることは求めていません。自らを「練習嫌い」と表現する伊集院さんは「練習が嫌い、でも弾くのは好き。生徒さんのそういう気持ちはわかります」と苦笑し、毎日長く行う練習より、短時間でもその日のテーマを決めて取り組む合理的な練習を推奨しています。
「4歳前半までは、ピアノを始めるより外遊びをしたり、あやとりや折り紙などでしっかり指を動かすことを大切にしてほしい」と、楽器について早期教育が盛んになっている現状を危惧してもいます。
発表会の曲目ひとつにしても、一般的に使われる曲は好まず、生徒さんの腕が引き立つ華のある曲を自分で探し求める伊集院さん。「どれだけ伸びるかは先生次第」という思いで指導しているだけに、学んだ成果を発表会で出しきる生徒さんの姿が胸に迫ります。
「後発の演奏家だからこそわかること、指導できることで、演奏活動から得たものを還元していきたい」。弾く楽しみを知り、中学生のように試験や部活動で忙しい時期であっても続けたいならばレッスンの回数を減らして続けてほしい、それが、どんな時もピアノを通してご自身を高め続けてきた伊集院さんの願いです。
(取材年月:2012年8月)
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Profile
丁寧で具体的な指導で確実に上達させるピアノ指導者
伊集院紀子プロ
音楽家
埼玉県戸田市ピアノ教室
自身も現役のピアノ演奏家であり、音楽に常に向かい合い演奏している経験から、趣味で弾く生徒にも専門家を目指す生徒にも、よりレベルの高い演奏ができるよう、正しいピアノ奏法を具体的に指導します。
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