安全性と洗浄力を両立した洗剤を開発・製造するプロ
石嶺朝雄
Mybestpro Interview
安全性と洗浄力を両立した洗剤を開発・製造するプロ
石嶺朝雄
#chapter1
「大量の油を使う厨房まわりの清掃では、刺激の強い洗浄剤を使うのが一般的でした。しかし、環境への影響や、作業に関わる人の負担を考えると、この状況を何とか変えたいと思ったのです」
こう話すのは「美ら技研」の石嶺朝雄さん。「美らちゅら超洗浄(グリストラップ)」をはじめ、扱いやすさと洗浄力の両立を目指した洗浄剤や消臭剤を開発・製造しています。
グリストラップとは、厨房から出る排水に含まれる油脂や生ごみが直接下水道に流れないようにする設備で、多くの自治体で設置と定期清掃が義務づけられています。一方で、その役割や管理の重要性が十分に理解されていない飲食店も少なくありません。
「清掃を怠ると悪臭の原因になりますし、害虫の発生や排水のあふれによって、営業に支障が出ることもあります」と石嶺さん。道路に流出した場合は自治体対応となり、高額な費用がかかるケースもあると指摘。清掃のハードルを高めているのが、廃油処理の問題です。産業廃棄物扱いとなるため、専門業者による回収が必要で、コストがかかるうえ、人手不足や高齢化の影響で、すぐに対応してもらえない状況も増えています。
加えて、市販の洗浄剤の多くは強アルカリ性で、取り扱いにはゴム手袋やゴーグル、マスクなどの保護具が欠かせません。こうした現場の負担を軽減するため、石嶺さんは「誰でも扱いやすく、安全面にも配慮した洗浄剤」の開発に力を注いできました。
#chapter2
「美らちゅら超洗浄(グリストラップ)」は、成分の組み合わせや配合を工夫することで、刺激を抑えながら洗浄力を確保している点が特長です。使い方はシンプルで、バケツの水に溶かしてグリストラップに投入し、よくかき混ぜるだけ。油脂を下水に流せるレベルまで分解できるため、廃油として回収する量を抑えることができます。
「2週間に1度程度使ってもらえればトラブル防止につながり、廃油処理のコスト削減にもなります」
現在、全国3,000店舗以上で利用されており、「油でドロドロだったグリストラップの清掃が、ゴミ取りと定期的な投入作業だけになり楽になった」「近隣からの臭いの苦情が減った」といった声が寄せられています。個人宅の排水口での利用も増えており、集合住宅で浄化槽と接続されている場合でも、常在する微生物への影響を抑えられる点から、安心して使えるといいます。
さらに、同製品は作業負担の軽減だけでなく、飲食店における人材定着にもつながる可能性があると石嶺さんは話します。
「臭いや油汚れがひどいグリストラップ清掃は、敬遠されがちな作業です。強い洗剤を扱う不安もあり、それが理由で辞めてしまう人もいると聞いています。扱いやすい洗浄剤があれば、現場のストレスが減るはずです」
石嶺さんは油汚れやたんぱく質汚れに対応した洗剤、焼肉グリルなどの焦げ付き用洗剤、ペットや排水口、トイレ、靴箱などの臭いに対応できる消臭剤も開発。悪臭を作り出す物質を直接分解でき、飲食店や介護施設、車内など幅広いシーンで活用されています。
#chapter3
石嶺さんは、もともとケーキ店で働いていましたが、小麦アレルギーを発症したことをきっかけに、親類が営むダクト清掃会社へ転職しました。清掃の仕事にやりがいを感じる一方、刺激の強い洗剤によってアトピー性皮膚炎が悪化し、咳が止まらなくなることもあったといいます。
「このままでは続けられない。安全面に配慮した洗剤を自分で作るしかないと思いました」
化学の知識は独学で、開発は失敗の連続。自身の給料から捻出した資金も底をつきかけ、何度も諦めそうになったといいます。それでも、「扱いやすい洗剤があれば助かる」「現場の負担を減らしたい」といった声が石嶺さんを支えました。大学の研究者を訪ね、試作と改良を重ねた結果、約18年の歳月を経て製品化にたどり着いたのです。
2019年には「にっぽんの宝物 JAPANグランプリ」審査員特別賞、2023年には「沖縄県優良県産品」に認定され、その取り組みは高く評価されました。現在も清掃業を続け、現場の声を製品改良に反映し、研究を重ねています。
今後の目標は、販売代理店のさらなる拡大と海外展開。飲食店や家庭から排出される水が、川や海へと流れていくことを踏まえ、清掃や排水処理の現場で使われる製品のあり方を見直したいとの考えからです。より多くの現場で使われることで、日々の負担を抑えながら、水環境への影響にも配慮できる取り組みにつなげていきたいといいます。
釣りを愛する石嶺さんにとって、海は身近で大切な存在。仕事を通じて水と向き合ってきた経験も、きれいな海を次世代に残したいという思いを、より強い原動力にしています。
(取材年月:2025年12月)
リンクをコピーしました
Profile
安全性と洗浄力を両立した洗剤を開発・製造するプロ
石嶺朝雄プロ
洗剤・消臭剤の開発
美ら技研株式会社
清掃現場で培った経験をもとに、使う人への刺激や環境への影響に配慮しながら、洗浄力も確保した製品を独自開発。清掃業を続けながら顧客の声を改良に反映し、厨房洗浄剤や消臭剤の開発に取り組んでいます
\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /
掲載専門家について
マイベストプロ沖縄に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または琉球放送が取材しています。[→審査基準]