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作業者の負担を軽減する研磨加工の自動化システムで、日本のものづくりを支える

研磨加工の自動化・省人化で製造業を支えるプロ

松永洋幸

松永洋幸 まつながひろゆき
松永洋幸 まつながひろゆき

#chapter1

人手不足の現場をカバーするため設備をオーダーメードし、省力化をサポート

 大阪や広島、鳥取などへの交通の利便性が高く、金属加工・機械製造業が盛んな岡山県・津山市を拠点に、全国のものづくりを支えているのは「松永システム開発」(津山市戸島)代表の松永洋幸さん。産業用ロボットを活用した自動研磨システムなどを請け負っています。

 「工業製品の製造に欠かせない研磨加工ですが、高速で回転する砥石を扱ったり、摩擦により微細な粒子が飛び散ったりと実務者にかかる負荷が大きく、なり手は年々減っています。当方は人手不足でお困りの事業者さまの省人化をお手伝いし、労働力を補います」

 また、技術の多くは職人の手仕事による感覚が基準となるため、自動化が進んでいないのが現状だとか。
 「数値で測りにくく、定量的評価が難しい業務をロボットに変換するのは簡単ではありませんが、作業の精度と工作物の質を維持・向上できるよう努力を重ねています」

 磨くものは金属をはじめ、プラスチック、人工大理石などさまざま。素材や形状に適した設備をオーダーメードします。

 「多額の投資をしたものの、仕上がりがいまいち、使い勝手がよくないなど『数年後には使わなくなった』という話はこの業界ではよくある話です。設備が無駄にならぬよう、機能、品質、コストなどの要件を総合的に判断し、合理的な仕組みをお客さまと一緒に考えます。『いろんな機能を持たせたい』とお望みの方もいらっしゃるのですが、本当に必要なものを見極めるようにしています」

 松永さんは、メカニカルエンジニアとして培った設計力をもとに企画から保守まで一貫し、顧客の事業をサポートしています。

#chapter2

熟練した職人の動きをロボットにインプットし、納得のいく加工精度を再現

 「防護服を着て、重たいステンレスのタンクを担いで研磨するのは重労働で、特に夏場は暑くてかなわない。何とかして従業員の負担を軽減できないでしょうか」

 厨房機器などの部品を製作する島根県の会社から、松永さんの元に問い合わせが入ったのは創業して間もない頃。顧客と打ち合わせを重ねながら、約8カ月かけて繊細な技巧を再現する自動研磨システムを完成させました。

 「お客さまが納得する加工を実現するため、職人さんに当社に来ていただき、グラインダーの角度などを確認してもらいました。熟練工の動きをロボットにインプットするのは大変でしたが、納品のときには皆さんに『この機械があると助かるよ』と声を掛けていただき苦労が吹き飛びました。品質のばらつきも少なくなったそうです」

 設備の更新期を迎えていた水栓金具の部品メーカーからは、製品の搬送装置の用命がありました。
 「不具合があるとラインが停止しますから、メンテナンスのしやすさと併せて、各工程を効率化し生産性を上げる方法をご提案しました。他社との相見積もりだったそうですが、弊社を選んでいただきました」

 松永さんは依頼を受けると、顧客を訪ねて課題や要望を聞き取り、仕様をまとめます。立体的に製図する3DCADでバーチャルモデルを作ってイメージを具現化し、プログラミングなどに着手。試運転を通じて調整を重ね、職人技を的確に反映します。アフターフォローも手厚く、「操作が分からない」と連絡があれば迅速・丁寧に対応します。

松永洋幸 まつながひろゆき

#chapter3

社内の起業育成プロジェクトで独立し、ものづくり企業や社会の発展に貢献

 松永さんは津山工業高校を卒業後、工場の自動化設備や省力化機器を手掛ける地場企業の「IKOMAロボテック」に入社。高校の先生からは大企業を打診されたものの、「津山にすごい勢いで伸びている企業がある」と知人から聞き、興味を持ったそうです。

 丸10年勤め、主に設計を担当したほか「製造現場についても理解を深めたい」と志願し、機械の組み立ての仕事にも従事しました。

 「独立のきっかけは、社内の起業育成プロジェクトです。生駒徹志社長も30代で会社を興した経歴を持ち、若手に夢や志を持ってほしいと願ってのことでした。以前から起業に興味があり、手を挙げることにしました」

 当初はフリーランスの設計士として活動するつもりでしたが、「どうせやるなら経営もしないと」という生駒社長の勧めを受け、会社を立ち上げることに。事業計画が認められ、出資を受けて2022年に松永システム開発を設立。28歳のときでした。

 「経営者としてプレッシャーはありますが、自分が開発したいテーマを自らの判断で実行に移せることにやりがいを感じます。納品時にお客さまの反応をダイレクトに見られたり、当方のシステムから生まれた商品をホームセンターで見かけたりしたときはうれしくなりますね」と充実した表情で語る松永さん。

 「現在は事務所を前の職場に間借りしている状態ですが、人材を雇い入れるなどして社業を伸長させたいです。今後も便利なツールをリリースし、お客さまや社会の発展に貢献していきます」

(取材年月:2024年7月)

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松永洋幸

研磨加工の自動化・省人化で製造業を支えるプロ

松永洋幸プロ

生産システムの設計・開発・製造

松永システム開発株式会社

作業者の負担が大きい研磨加工において、産業用ロボットを活用して自動化を推進。設計・開発では、機能や品質、コストなどを総合的に判断し、各製造現場に合う装置を顧客とともに考えていきます。

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