任意売却で人生の再スタートを支援するプロ沖野渉

任意売却で人生の再スタートを支援するプロ

沖野渉

売却期限や売却後の返済計画など、豊富な経験で金融機関との交渉をサポート

　住宅ローンの返済が難しくなったとき、多くの人は「もう家を手放すしかないのか」と不安に駆られます。景気の変動や金利上昇、収入の減少、離婚・病気など、ローンの滞納に至る理由はさまざま。長崎市の「アンビシャス」代表・沖野渉さんは、そんな中で注目されている任意売却を専門的に手掛けています。

　任意売却とは、競売にかけられる前に金融機関の合意を得て、通常の不動産市場で売却する方法です。住宅ローンの返済が難しくなっても、競売に進む前の段階で話し合いによる解決を図ることができる仕組みであり、債務者にとって再スタートへの道を開く手段ともいえます。

　「競売では内見ができないため、買い手がリスクを感じて入札額が下がる傾向にあります。さらに、家が競売にかけられたことが周囲に知られてしまうため、心理的な負担も大きいんです。一方、任意売却は通常の売却と同様に内見ができ、市場相場に近い価格で売れる可能性もあるのです」

　任意売却では、買い手が了承すれば「リースバック」という形で引き続き同じ家に住み続けられることも。
　「任意売却を行うということは、返済額に無理があるということ。金融機関もその事情を理解したうえで『どのくらいなら払えるか』を考慮してくれます。結果として返済額が軽減され、生活の立て直しが進みやすくなります」

　手続きを円滑に進めるためには、金融機関との密な連携が欠かせません。沖野さんは、金融機関ごとの対応傾向を熟知し、豊富な経験に裏打ちされた交渉力で多くの相談者を支えます。

任意売却のメリット・デメリットを誠実に伝え、手続きをサポート

　任意売却の相談に訪れる人の多くは、金融機関から届く督促状の「法的手続きを取ります」といった文言を見て動揺し、不安な気持ちのまま来所することが多いといいます。

　沖野さんは、まず相談者の置かれている状況を丁寧に整理し、「今後どうしたいのか」を一緒に考えるところから支援を始めます。競売を避けたい場合の選択肢として任意売却を紹介し、その際はメリットだけでなくデメリットも包み隠さず伝えることを大切にしています。
　「信用情報に傷がつくことに加え、返済を少しずつ続けるため負債がすぐには減りません。将来的に相続の問題につながる可能性もあります」

　相談者の意思が固まれば、金融機関と交渉し、承諾が得られ次第、速やかに手続きを進めます。過去には、すでに競売が進行中の物件の任意売却を希望された難しい案件を担当したことも。
　「郊外の土地で建物の状態も良好とは言えませんでした。厳しい状況でしたが、金融機関さんと粘り強く交渉して期限の延長をお願いし、裁判所とも調整をしながら、買い手を見つけ、無事に売買を成立させることができました」

　こうした経験を重ねる中で、沖野さんは任意売却の枠を超え、より幅広い不動産課題の解決にも取り組むようになりました。現在は、相続不動産や空き家、不便地の売却にも力を入れています。
　「長崎は坂が多い土地柄。相続したものの売れずに困っている方も多いです。当方は、任意売却の不動産を購入しリフォームして再販をしたり賃貸で回したりする投資家のお客さまを抱えていますので、一般的には敬遠されがちな物件でも買い手を見つけやすいのが強みです」

マイホームを手放す心の揺れ動きにも寄り添い、「人生の再スタート」を支える

　沖野さんは、大手デベロッパーの九州支社を経て、1993年に地元・長崎のデベロッパーへ転職。土地の仕入れからマンションのプランニング、販売まで幅広く携わりました。

　「住宅ローンの相談にも応じる中で、当時あまり認知されていなかった任意売却の手法を知り、勉強を重ねました。実は私自身も個人的な負債がもとで住宅ローンの返済に苦しんだ経験があるんです」

　「任意売却を通じて困っている人の役に立ちたい」と、2006年に独立。数々の案件に関わる中で、任意売却は時間との闘いであると同時に、心との闘いでもあると実感を深めます。

　「本当は売却したくないという気持ちを抱えたまま、仕方なく手続きに応じている方もいらっしゃるんです。買い手が見つかった時も、生活再建への道筋が見えたと喜んだのもつかの間、いよいよ手放すとなると気持ちが沈む方も少なくありません。そうしたお客さまの心の揺れ動きを見逃さないようにしています」

　売却成立後も、長崎県内であれば引っ越し先のあっせんを行い、県外であれば不動産会社の紹介や情報提供までサポートすることも。それも、転居先に目途がつけば、気持ちに区切りがつきやすくなるとの思いからです。

　「任意売却は手間も時間もかかりますが、宅建業法で定められた報酬以上はいただけません。それでも、最後に『あなたに頼んでよかった』と言われる瞬間が何よりうれしい。この仕事を通して、少しでも前向きな未来を届けたいですね」
　沖野さんは、今日も静かな情熱で依頼者の新たなスタートを支えています。

（取材年月：2025年10月）

住宅ローン返済が難しいときのもう一つの選択肢、「任意売却」で人生の再スタートを支援

売却期限や売却後の返済計画など、豊富な経験で金融機関との交渉をサポート

任意売却のメリット・デメリットを誠実に伝え、手続きをサポート

マイホームを手放す心の揺れ動きにも寄り添い、「人生の再スタート」を支える

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