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「大事に長く使いたい」。依頼者の思いをくみ、期待以上の仕上げで応えるリペア工房

長年の技術で車のインテリア・皮革製品を美しくリペアするプロ

米澤吉二

米澤吉二 よねざわよしじ
米澤吉二 よねざわよしじ

#chapter1

車の内装やソファ、バッグなど革・合皮・プラスチック・ファブリック製品のリペア、クリーニングに対応

 車の内装が劣化してきた、うっかり傷をつけてしまったなど。コスト面からもパーツを替えず、きれいにしてほしいといった望みに応えるのは、長野県千曲市で「トータルリペア工房吉楽(きらく)」を営む米澤吉二さん。

 車のハンドルやダッシュボードのひび割れ、カーペットの穴、ヘッドライトの黄ばみなどの修復やクリーニング、コーティングを手掛けています。

 「例えば、ご用命が多いハンドルの革のはがれ。ほとんどの場合、表皮に施された塗膜がはがれているので、革の色に合わせて塗装しなおします。シートの破れは裏側から補強し、色や素材に合わせて充填剤などを施します。革製でもファブリック製でも対処可能で、『頼んでおいてなんだけど、どうして直るのか不思議でしょうがない』と、おっしゃる方もいますよ」

 同じ車種でも持ち込まれた時の状態はそれぞれ。処置した跡ができるだけ分からないようにするのがプロの技だと言います。シートの汚れやガラスの水あかは、素材を傷めないよう、厳選した業務用のクリーナーで細心の注意を払って除去します。

 「古い車で部品が廃番になっているが何とか手入れしてもらえないか」「ディーラーで修理は難しいから交換しかないと言われた」など、米澤さんのもとには、さまざまな声が寄せられます。さらに、車関係に限らず、ソファやバッグ、財布、靴などの皮革製品も受け付けています。

 「交換に比べて、数分の1の費用で済むケースも多いんですよ。3分の1以上かかる場合は基本的には買い替えをおすすめしますが、あきらめずにまずは相談ください」

#chapter2

自動車部品の鋳造会社で得たものづくりの経験とリペアのノウハウで工房を開設

 米澤さんのリペア技術は、40年にわたり自動車部品を成型する鋳造会社で働く中で培われました。

 「自動車メーカーから提示される部品の設計図をもとに、効率のいい生産工程を立案したり、部品鋳造に必要な金型や木型の設計や補修をしていました。メーカーの研究者と一緒に、特別な車のエンジンカバーの製作に挑んだこともあります。とにかく、ものづくりに携われるのが楽しかったですね」

 プライベートでは、手先の器用さを生かして日曜大工や古いバイクをよみがえらせるレストアにも打ち込んでいました。当時の仲間とは今でもツーリングを楽しんでいます。
 定年を翌年に控えたころ、フランチャイズの修繕会社「トータルリペア」が加盟店を募集していることを知り、「これまでの経験を生かせる」と早期退職を決断。トータルリペア独自のノウハウを研修で学び、2015年に自身の工房を開きました。

 作業をしている最中は余計なことは考えず集中できるのが、自分には向いていたと語る米澤さん。しかし、いざ仕事として始めるとその大変さを痛感したとか。
 最初の依頼は外国産高級車のシート。ペットによるひっかき傷を直してほしいとのことでした。事前に聞いていたよりも広範囲に傷が入っていて、いきなり高級外車で、傷は想定以上の大きさに逃げ出したくなったことを鮮明に覚えているそうです。

 「お客さまは長く使い続けたいから、当方に託されるわけです。年々経験値は上がっていきますが、初心を忘れず、お客さまの大切な物をお預かりしているという責任感を持って職務に臨んでいます」

米澤吉二 よねざわよしじ

#chapter3

入念なシミュレーションと蓄えたデータで難しい赤色の修復も手掛け、技術を追求

 「お客さまが満足できる状態で引き渡したいから、しつこく粘る性格」と、米澤さんは自身を分析。「期待を上回ることができた時は本当にうれしい。お客さまに直接ありがとうと言ってもらえるのが、現職のやりがいです」と話しますが、自分の仕事に満足することはほとんどないとのこと。

 経験を積むほど、「もっとこうすればいいのでは」と探求心が湧きあがり、耐久性と見た目を両立させたリペア方法や微妙な色の合わせ方など、最善の一手を見つける努力が続きます。

 「例えば赤色。塗料を重ね塗りしていくと黒くなってしまい、素材や劣化状態に合わせた調整が求められます。簡単ではないため赤色の修復を扱わない業者も多く、当方に持ち込まれます。私はこれまで調色したデータをすべて取っているので、蓄積した情報を生かして、どんな赤でも出していきたいですね」

 リペアにおいて何より大事なのはシミュレーションであり、知識を駆使して段取りを組むそうです。
 「作業に入る前に手順をきっちりと決めないと、途中からごまかそうとしてもうまくいきません。傷が当初の想定とは違う場合もあり補修方法をすぐに切り替える機転も必要です」

 入念な事前準備と臨機応変に対応できるスキルで、依頼者の要望に丁寧に向き合う米澤さん。「当方には看板猫がいて、お客さまを出迎えるんですよ。飼い犬が散歩中に子猫を見つけたのがはじまりで、ずっと猫との縁が続いています。猫好きの方もどうぞお越しください」と優しい笑顔を見せます。

(取材年月:2024年9月)

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米澤吉二

長年の技術で車のインテリア・皮革製品を美しくリペアするプロ

米澤吉二プロ

リペア・メンテナンス

トータルリペア工房吉楽

自動車部品工場で40年にわたり培った技術で、車のハンドルやシートなどの内装や皮革製品の傷を丁寧に修復。米国に本部があるリペアチェーンのノウハウを加え、期待以上の仕上がりを提供します。

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