広報を担当している方であれば、「パブリシティ」と言う言葉を耳にする機会は多いかと思います。
しかし、実際にパブリシティを行うことで、どのような効果を期待できるのかについて疑問を抱いている方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、パブリシティについて以下の項目について紹介していきます。
- そもそもパブリシティとは何なのか、どのような種類があるのか
- パブリシティに期待できる効果とはどのようなものがあるのか
- パブリシティが実際に行われた事例はどのようなものなのか
最後までご覧いただき、パブリシティを実際に行う際の参考にしていただければと思います。
そもそも、「パブリシティ」とは?
では、そもそも「パブリシティ」とはどのようなものを意味しているのでしょうか。「パブリシティ」の語源は、英語の「publicity」からきています。
辞書・辞典・データベースを横断して検索できるウェブサイト『コトバンク』で調べてみると、「パブリシティ」を以下のように解説しています。
企業や商品,サービスなどに関する事柄が,新聞,雑誌,テレビ,ラジオなどのマスコミ媒体に,記事やニュースとして報道もしくは紹介されることをいう。広告と異なり,記事掲載にあたっては広告料金のたぐいは一切必要としないが,記事の内容やその取扱い方法などについては,すべてマスコミ側で決定される。企業がマスコミに対して積極的に働いて行う情報提供と,マスコミからの取材に応じる取材協力の2つの場合がある。企業側からのパブリシティの方法として,プレス・レリーズまたはニューズ・レリーズというタイプ印刷程度のものに写真などを加えた形の情報提供が行われ,メディア側の協力を得やすいようにしている。パブリシティは,企業が社会との関連を大切にするために行う PR活動には不可欠のものである。
https://kotobank.jp/word/%E3%83%91%E3%83%96%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%86%E3%82%A3-22493
要するに、パブリシティとは「自社の商品やサービスの情報をメディアを通して報道してもらうこと」を意味しています。
注意点としては、「メディア」と聞くとテレビや雑誌などの大組織なものをイメージしてしまいがちですが、情報伝達を主目的として行なっている媒体は全て「メディア」に分類されます。
昨今、SNSの普及に伴い、個人としてSNSで情報をまとめ、伝達している方もいらっしゃいます。
そのような運営形態も一種のメディアであるため、パブリシティは企業規模に関わらず誰にでも行える可能性があります。
パブリシティの種類
続いて、実際にパブリシティとはどのような種類があるのかを具体的に説明していきます。
得られるメリットや注意しなければならない点などは種類によって異なるため、それぞれの特徴をしっかり押さえておきましょう。
テレビパブリシティ
1つ目が、「テレビパブリシティ」です。
「最近話題の商品」などとして、ニュースやバラエティに取り上げられるパブリシティの種類です。
特に飲食店など、テレビで取り上げられた後にお客が殺到した、といった例は珍しくありません。
テレビパブリシティの特徴として、テレビは最も多くの人の目に留まるパブリシティの種類であり、全年齢が見ているメディアです。
昨今、若年層においてはテレビ離れが進んでいるとはいえ、まだまだ最も影響力のあるメディアであることは変わりありません。
時間帯や報道される番組によっては年齢などをある程度絞ることができますが、基本的にそこまでターゲットを絞ることができないという特徴があります。
ラジオパブリシティ
2つ目が、「ラジオパブリシティ」です。
ラジオにおいて、商品やサービスなどを報道してもらうパブリシティの種類です。
ラジオは音声のみのメディアであり、実際に目で見て魅力が伝わるような商品やサービスを報道してもらうには物足りないメディアだと言えるかと思います。
逆に言うと、音声のみであるが故にそれ以外の情報がないため、上手く言葉だけで伝えることができれば有効なメディアの一種になります。
あなたが提供している商品やサービスの特徴を分析した上で、音声のみでも十分魅力が伝わるのであれば、ラジオでパブリシティを行う選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
新聞パブリシティ
3つ目が、「新聞パブリシティ」です。
新聞の1枠に文字のみ、あるいは文字と画像にて掲載してもらうパブリシティの種類です。
新聞における報道の特徴としては、音声も動きも出せない点です。
文字と画像のみで特徴や魅力を伝えなければならないため、他のメディアよりも魅力を伝えるのが難しくなる傾向にあります。
また、そもそも新聞を読んでいる層は年齢層が高くなる傾向にあるため、自社の商品やサービスの対象年齢が10〜30代の若年層の場合、不向きな可能性があります。
ただ、地方紙などは地方に根強く密接した関係にあるため、地域特化型のビジネスをおこなっている場合などでは非常に有効的だと言えます。
WEBパブリシティ
最後に4つ目が、「WEBパブリシティ」です。
先ほど紹介したように、「メディア」はテレビやラジオ、新聞といった昔からある大組織だけを意味しているわけではありません。
SNSやWEBメディアも「メディア」に分類され、そこで報道されるのが、WEBパブリシティです。
SNSを筆頭に、WEBメディアは比較的若い世代ほど利用している傾向にあるため、自社の商品やサービスの年齢層によっては非常にマッチするパブリシティの種類だと言えます。
また、専門性が高いSNSやWEBメディアに報道されることで、より自社のターゲット層に近い属性の顧客を獲得できます。
パブリシティを行うメリット・効果とは?
では、実際にパブリシティを行うメリットや効果はどのようなものがあるのでしょうか。
パブリシティの種類によって効果の大きさなどは異なることはありますが、得られるメリットとしては大きく分けて4つに分類されます。
それぞれのメリット・効果について説明していきますので、ぜひチェックしてみてください。
予算が少なくても実施可能
1つ目のメリットが、「予算が少なくても実施可能」という点です。
パブリシティは、広告と異なり費用を払って実施するものではありません。
メディアが掲載したいと思うかどうかが、パブリシティが行われるかどうかの判断基準になってくるため、基本的に無料で行う事ができます。
しかし、メディアのメリットになる情報が優先的に掲載されることは注意点として押さえておいてください。
費用をかけるペイドパブリシティという方法も
パブリシティの一種に、「ペイドパブリシティ」というものも存在しています。
ペイドパブリシティとは、費用を払って報道してもらう、広告の一種です。
しかし、視聴者には広告として認識されない傾向にあるため、より自然な形で自社の商品やサービスについてアプローチする事ができます。
戦略の1つとしてペイドパブリシティの特徴も押さえておきましょう。
商品・サービスに対する信頼性が向上する
2つ目のメリットが、「商品・サービス対する信頼性が向上する」という点です。
商品やサービスによって信頼性が重要になってくる度合いは異なりますが、人は誰しも損はしたくないと潜在的に感じています。
そのため、信頼性が無いものに対してお金を払うことに対して抵抗感を感じる傾向にあります。
テレビなどで報道されることによって、「テレビで出ている商品だから大丈夫だろう」と感じる方は一定数いらっしゃいます。
第三者からの評価をもらえる機会として、パブリシティは非常に有効な手段だと言えます。
より多くの人に知ってもらう機会を作れる
3つ目のメリットが、「より多くの人に知ってもらう機会を作れる」という点です。
テレビや新聞、ラジオなどに取り上げられると、より多くの人に知ってもらえる事は言うまでもありませんよね。
自分達の力だけで、商品やサービスについて知ってもらおうと努力したとしても限界があります。
メディアの力を借りることで、短時間で多くの人に認知してもらう事ができます。
また、自社の商品やサービスの専門分野に特化したメディアに紹介してもらうことによって、より自社のターゲットになる可能性がある潜在顧客に直接アプローチできます。
従業員ロイヤリティが向上する
4つ目のメリットが、「従業員ロイヤリティが向上する」という点です。
従業員ロイヤリティとは、「会社に対しての愛着心や忠誠心」を表しています。
自分の携わっている商品やサービスがテレビやラジオなどで紹介されることによって、従業員のモチベーションは向上します。
人は誰でも承認欲求を持っており、パブリシティが行われることによって従業員の承認欲求が満たされる傾向にあります。
その結果として、会社や商品、サービスに対しての愛着心が湧き、企業経営にも良い影響を及ぼしてくれると思います。
パブリシティの事例
ここまで、パブリシティを行うメリットを紹介しました。
では、実際にパブリシティが行われた実際の事例はどのようなものが存在しているのでしょうか。
今回は、中小企業で実際にパブリシティが行われた事例を3つ紹介します。
有限会社 味源 「飲むグラ」
1つ目のパブリシティの事例が、有限会社 味源の「飲むグラ」という商品です。
「飲むグラ」とは、ドリンクのように飲めることが特徴的なグラノーラの商品で、新しい味をリリースした際に、毎日放送「ちちんぷいぷい」にて紹介されました。
紹介される前の売上個数は2ヶ月で2万個程度であったらしいですが、テレビで放送されてからの2ヶ月で約10倍ほど売上個数が増加しました。
これまで通りの販促活動をやっていては、2ヶ月で売上を10倍にする事はほぼ不可能に近いです。
しかし、テレビを通してより多くの人に宣伝することができれば、今回の事例のように、売上が10倍になることも珍しくはありません。
全国区のメディアに掲載される事は簡単ではありませんが、地方のテレビ局などでは積極的に地域の飲食店などを報道しているため、可能性は十分にあります。
サンクトガーレン有限会社 チョコビール
2つ目のパブリシティの事例が、サンクトガーレン有限会社の「チョコビール」という商品です。
バレンタインの時期に合わせて、プレスリリースを行った結果、WEBメディアを中心として多くの媒体で取り上げられました。
その後、バレンタインデーの定番としてチョコビールが販売されるなど、大きな効果を得られることができました。
また、チョコビールに限らず、その後に販売したものも朝日新聞に掲載されるなど、メディアからの注目度も上昇しました。
メディアに取り上げられる事は、一度のみの効果だけではなく、長期的に利益を得られるきっかけにもなり得る事が分かる良い事例となっています。
株式会社エールアクティブ デイサービス鶴亀寿々庵
3つ目のパブリシティの事例が、株式会社エールアクティブの「デイサービス鶴亀寿々庵」というサービスです。
「明確なゴールを決めて高い品質の作品を制作する」ことを目的としたお年寄りのやる気を生み出すプログラムとなっており、様々なメディアにて掲載されました。
最初は、「介護ニュース」や「Care Station」などの介護系のメディアにて掲載され、その後に読売新聞や月刊DAYなどの大きなメディアでも紹介されました。
介護領域などは特に、「信頼性」の側面が非常に重要視される傾向があります。
メディアにて紹介されることによって「信頼性」が担保され、高齢者の周辺の人や家族に安心感を与える事ができたと思います。
介護領域に限らず、高額商品やユニークな商品などは消費者の購買のハードルが高くなる傾向にあるため、「信頼性」の向上は売上に直結することが予想されます。
まとめ
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
今回は、パブリシティのメリット・効果、実際にパブリシティが行われた事例について詳しく説明しました。
パブリシティは企業規模に限らず実施する事ができ、上手く活用することで売上が爆発的に伸びる可能性も十分に考えられます。
しかし、あくまでパブリシティはメディアに情報の選択権があることは注意しなければならない点で、メディアの利益を考えた上で、自社の商品やサービスの魅力を伝えてもらう努力をする必要があります。