カウンセラーというと、医療機関や教育機関、企業の人事部などで働いている人をイメージするかもしれませんが、独立し、フリーランスとして活躍している人も多く存在します。この記事ではフリーランスのカウンセラーとして活躍するための方法や、実際の働き方をご紹介します。
目次
そもそもフリーランスのカウンセラーってどんな人?
フリーランスで活動するカウンセラーはどんな人がいるのでしょうか。ここから、カウンセラーの主な資格と仕事内容について触れていきます。
カウンセラーが取得する資格には大きく2種類あります。1つは国家資格、もう1つは民間資格です。国家資格は「公認心理師」です。公認心理師は2017年に公認心理司法によって施行された資格で、心理職の資格としては唯一の国家資格となります(2019年11月現在)。
<公認心理師について>
公認心理師は、増加するメンタルヘルスの需要に対応するために設立された資格です。仕事内容としては支援を必要とする人の心理状況の観察や分析、助言や指導を行います。活動の場としては、医療機関や教育機関が代表的な例ですが、今後は公認心理師の業務が医療報酬の対象になることが検討されています。
将来的に法律が改定されれば、独立して自分のカウンセリングルームを持つことができるかもしれません。
フリーランスとして活動する場合は、業務委託契約で医療機関や教育機関に勤務する場合が大半です。また、大学の研究機関や民間企業の相談室で勤務する場合もあります。
カウンセラーが取得する資格の2つ目は民間資格です。多数ある中で、ここでは代表的な資格である「臨床心理士」「産業カウンセラー」について紹介します。
<臨床心理士について>
臨床心理士は、日本臨床心理士資格認定協会が認定している民間資格です。公認心理師と仕事内容が似ており、医療機関や教育機関などで業務委託契約によって勤務するのが一般的です。
臨床心理士の業務としては、臨床心理学的技法や心理テストを用いた査定が挙げられます。民間資格の中では信頼度が高い資格で、公的機関から仕事を得やすい資格といえるでしょう。
<産業カウンセラー>
産業カウンセラーは、日本産業カウンセラー協会が認定する民間資格です。主に、企業の労働者が抱える悩み相談に乗ることを目的としています。 ハローワークの相談員や企業の従業員のカウンセリングなどが主な仕事先です。
カウンセラーとしての働き方
同じ資格で同じ仕事内容をするとしても、企業勤めを選ぶカウンセラーと、フリーランスを選ぶカウンセラーがいます。フリーランスを選ぶカウンセラーはどのような働き方を望んで選んでいるのでしょうか。
フリーランスのカウンセラーの多くは、業務委託契約を交わした医療機関や教育機関での仕事を通して安定的な収入を確保しながら、自分でカウンセリングルームや心理相談室を開設してカウンセリングを行っています。
医療機関や教育機関、企業と契約した場合は、クライアントが持つ施設などで、指定された時間にカウンセリングを行うのが一般的です。一定の収入を得るには、複数の機関や企業から委託を受けて週に数回、さまざまな場所でカウンセリングを行います。
カウンセリングルームを自分で開設する場合には、自宅を改装したり事務所を借りたりして場所を用意します。
また、ホームページの運営やSNSでの情報発信などを通じた相談者へのアプローチも、カウンセリングの仕事と並行して行います。
なぜフリーランスとして活動するのか
企業に勤めて安定的な収入を得ることが可能であるにも関わらず、なぜフリーランスになるのでしょうか。
フリーランスとして活動しているカウンセラーの多くは、医療機関や企業などで経験を積んだ後に独立しています。フリーランスとして働くメリットは、自由に仕事を選びスケジュールを組めることです。
また、保有している資格によっては講演の依頼を受けることができ、医療機関や教育機関、企業に雇用される場合よりも高い報酬を得ることができます。自分のペースで仕事をしながら高収入を目指せるのが、フリーランスのカウンセラーの魅力なのです。
しかし、独立してもなかなか安定した収入を得られないカウンセラーがいるのも事実です。フリーランスとして長く稼ぎ続けるためには、継続的に契約してくれる機関や企業を見つける必要があります。また、開設したカウンセリングルームでのカウンセリングについても継続的な集客が欠かせません。
これらメリットとデメリットをふまえて、フリーランスになることを選び、さらに「活躍している」カウンセラーにはどのような特徴があるのでしょうか。
活躍するフリーランスカウンセラーの特徴
フリーランスとして活躍しているカウンセラーは、さまざまな顧客とバランスよく契約を交わしている傾向にあります。
多くの企業や機関と契約し、仕事がなくなった際のリスクヘッジをしておくことはフリーランスとしてとても重要です。
また、活躍しているカウンセラーの多くは、カウンセラー養成講座の講師や社員研修の講師を勤めるなど、一対一のカウンセリングだけでなく多数に向けた講演も行っています。
講演を行えるようになると、たくさんの人の目にとまり、そこから新たな顧客を獲得することにもつながります。講師依頼が来るようになることは、フリーランスのカウンセラーとして活躍を評価する一つの指標となるでしょう。
フリーランスカウンセラーの年収
安定した高収入を得ているカウンセラーもいれば、仕事がないカウンセラーもいると述べました。それでは、実際の収入はどれくらいなのでしょうか。
フリーランスカウンセラーの年収は人によってさまざまですが、対面カウンセリングの金額が一つの指標となります。
カウンセリングの相場は、東京都では1時間で平均1万円といわれていますので、1日に5人のクライアントが訪れれば1日に5万円、月に20日の対面カウンセリングを行えば月に100万円になります。
ここから、事務所の家賃や広告費、交通費や事務用品費を差し引いた金額が収入となります。
講師として依頼があった場合は1時間〜3時間の講演で5万円〜10万円の講師料が相場です。カウンセラーとしての実績を増やし、人気講師になることができればそれ以上の金額で依頼されることもあるので、さらに売上をアップさせることができます。
このように、コンスタントに月100万円以上の売り上げを上げることができるようになれば年収1,000万円を超えることも可能です。
カウンセラーとしてもっと稼ぐ方法
フリーランスのカウンセラーとして、収入を得るためにはいくつかの方法があります。ここからは、年収1,000万円以上のカウンセラーを目指すための6つのポイントをご紹介します。
得意分野をつくる
まず重要なのは得意分野を作ることです。得意分野を作ると、仕事を得るためにアピールするポイントが明確になり、相談者からの注目を集めやすくなります。また、得意分野を中心にカウンセリングを続けていけば、その分野の深い知識と経験が身に付くので、相談者からの信頼も増します。これが継続的な契約と収入につながります。
もしこれから分野を絞るようであれば、従業員向けのカウンセリングがおすすめです。企業のメンタルヘルスに対する意識向上を背景に、ニーズが高まっているからです。
また、企業案件は個人からの依頼に比べて単価が高いうえ、長期間にわたるものが多いので継続的に収入を得ることができます。その種類もさまざまで、メンタルヘルスマネジメントのための教育研修や、メンタル不調の従業員へのカウンセリング、産休・育休のような長期休業を経て復職する際のカウンセリングなどが挙げられます。
そのほかにも、教育機関で子どもの抱える悩みに答える、前職で飲食に携わっていたので飲食業界が得意など、自分の経験に合わせ、業界に特化した得意分野を作る方法もあります。
集客方法を改善する
集客方法を改善することも1つの方法です。まだホームページを持っていなければ、まずはホームページを作り、そこから仕事の依頼を受けられるような「お問い合わせフォーム」を設置しましょう。
フォームへ進むボタンは、最も目立つようにして、サイトの訪問者がスムーズに問い合わせできるようにサイトづくりをすることがポイントです。
ホームページとは別に、ブログを開設して悩み相談の記事を書くことで、潜在的な顧客にアプローチし、集客につなげる方法もあります。自分の考えを発信してカウンセラーとしてのスタンスを知ってもらい、信頼を得られるようにしましょう。
ほかにも、電話やメールでのカウンセリングを受け付けていることを情報発信することはとても有効です。最近では多様化するニーズに応えるために、電話やメールでのカウンセリングが増えています。この手法であれば、地域を問いません。相談者からしても依頼のハードルが低くなるので、申し込みにつながりやすくなるでしょう。
さらに、カウンセリングの体験会やセミナーなど、まずはカウンセリングルームに足を運んでもらうための工夫をしてみるのもよいでしょう。ボランティアや地域活動などに参加し、そこから人間関係を築くなかで集客を行うのも方法の1つです。
異業種交流会に参加する
自分が普段アプローチできない層と知り合うため、異業種交流会に参加してみましょう。
異業種交流会ではさまざまな業種の人と接することができるので、ビジネスのトレンドやカウンセリングニーズの有無などを知ることができます。
異業種交流会で人間関係を築くことは、カウンセリングの技法を使えば難しいことではありません。フリーランスとして独立したばかりであれば、実践の場として自分の経験値を上げるためにも、見込みの顧客を探すためにも、積極的に異業種交流会に参加してみましょう。
企業や行政からの講演を獲得する
企業や行政から講演を獲得することができれば、カウンセラーとしてより多くの仕事を集めるチャンスです。講演の聴衆から新たな講演を依頼されたり、カウンセリングを依頼されたりすることはよくあります。
講演の評判がよければ、企業や行政から新たに講演を依頼されることもあるでしょう。
企業からの講演は単価が高いので、継続的に依頼を受けることができれば収益の柱になります。行政からの仕事は単価が高いわけではありませんが、実績として表に出しやすく、その信頼をもとに次の仕事につなげることができます。
講演を獲得するためには、セミナーの運営団体や行政の担当者と知り合って依頼を受ける必要があるので、交流会などに積極的に参加したり、インターネットを活用して情報発信を行いましょう。
テレビなどのマスコミを使ったブランディング
チャンスが多いわけではありませんが、テレビ出演や雑誌掲載など、マスコミを使ったブランディングを通して講演や相談の依頼を大きく増やすことができます。
テレビなどに取り上げられるためには、それまでに世間の話題になるほど知名度を上げるか、ディレクターや編集者とのコネクションを作る必要がありますが、マスコミに取り上げられるまで有名になれば、フリーランスのカウンセラーとして成功しているといえるでしょう。
フリーランスのカウンセラーとしてより活躍の場を広げ、年収アップを目指そう
メンタルヘルスの重要性が叫ばれている昨今、カウンセラーの需要は高まっていくと予想されます。
カウンセラーとして、フリーランスで活躍するためには、個人クライアントのカウンセリングだけでなく、企業案件などを積極的に獲得していくことが重要です。
得意な分野を作って実績を積み、単価をアップしつつ、相談者からの継続的な契約を獲得しましょう。講演やメディアに呼ばれるカウンセラーになることができれば、収入がアップするだけでなく知名度が上がり、カウンセラーとしての活動の場も増やすことができます。