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太陽光パネルを洗浄するロボットを開発し、発電効率と作業効率の向上に貢献

年間60万枚の太陽光パネルの洗浄を手がけるプロ

髙免知己

髙免知己 こうめんともみ
髙免知己 こうめんともみ

#chapter1

事業用を対象に年間で約60万枚を洗浄し、電力会社や保安協会とも協業

 香川県綾歌郡に本拠を構え、電気工事・通信工事業を展開する「SSG」の代表、髙免知己さん。石油など化石燃料の燃焼による地球温暖化といった課題解決に向け、二酸化炭素の排出量を削減する動きが加速する昨今は、太陽電池モジュールの洗浄事業に力を入れています。

工場の屋根や事業用地などの産業用設備を対象に、三重県から沖縄県まで幅広い地域をカバー。作業実績は年間で約60万枚にも及ぶと言います。

 「太陽光パネルは屋外に設置されるため、花粉や黄砂、鳥のフンなどが付着します。汚れた状態では本来の性能を発揮できず、発電量が低下する場合があります。定期的に清掃することで発電効率を維持できます」

 自社でオリジナルマシンも開発。ソーラーパネル洗浄ロボットは、表面の起伏、形状に応じてロールブラシが均一に圧力を加えることが可能。設置面の高さ、傾斜角度に合わせてロボットを発動できる専用搬送車も製作しています。
 「搬送車については、作業の少人数化が肝心です。年間の作業人数が2人削減できれば機器費の導入は2年足らずで回収できます。またステージ上でロボットの組み立て・試験調整が出来るので、安全に作業が進められます」

  髙免さんいわく、以前は損傷のリスクから洗浄に対し懐疑的な見方もありましたが、近年は適切に手入れする重要性が見直され、案件は増加傾向にあるそう。

  「注意してほしいのは、水道水では水あかなどが残り、機能が落ちるケースがあります。また、安易にこするとガラスを傷つけてしまう恐れもあります。当方では不純物をほとんど含まない純水を使用し、パネルを1枚ずつ丁寧に洗います。現場で培った実践的なノウハウは、中国電力グループの『エネルギア・ソリューション・アンド・サービス』や『四国電気保安協会』に評価され、両社とは協業体制を構築しています」

#chapter2

太陽光パネルの洗浄ビジネスに注目し、鉄粉などを除去する洗剤も開発

 1960年に綾歌郡綾川町で生まれた髙免さん。地元の工業高校の電気科で学び、卒業後は通信工事会社に入社し、技術者として約20年にわたりスキルを磨きました。

 自らの可能性を試そうと独立して営業会社を立ち上げますが2年足らずで閉業。原点に立ち返り、技術者としてキャリアを再開します。大手電気工事会社や電気通信会社など複数の企業を経験し、2014年に生まれ育った町で「SSG」を設立しました。

 2012年、再生可能エネルギーの普及を目的に、太陽光などで作った電気を一定期間、一定価格で買い取るよう電力会社に義務付けた「固定価格買取制度」がスタート。環境保全の一助として、自身で太陽光発電所を操業していた髙免さんは、新規参入者が増えることも見据え新たなビジネスを構想します。

 「売電に向けて発電の最適化を図る中で、汚れが太陽光の吸収を妨げる要因として大きいことに着目し、洗浄事業に乗り出すことにしました。発電所のオーナーさまや設備を保守管理するO&M会社さまなどから引き合いがあり、現在では業務の7割以上を占めています」

 髙免さんにとって転機となったのが、中国電力が広島県福山市に構える太陽光発電所での仕事です。

 「近隣の製鉄所から飛来する鉄粉が太陽光パネルに降り積もり、発電量は本来の3割程度に落ち込んでいました。溶解力が高い洗剤を開発し、約5年をかけて稼働率を取り戻したことで感謝され、継続的メンテナンス剤にサビの除去を承っています」

髙免知己 こうめんともみ

#chapter3

ドローンで太陽光パネルを点検し、パネル診断により不具合の修理にも対応

 髙免さんのもとでは、赤外線カメラを搭載したドローンによる太陽光パネルの定期点検も実施。異常が見つかれば、詳細に検査しています。

 「汚れなどが付着している箇所は局所的に高い熱を放ちます。洗浄後に発熱がおさまらなければ、断線したり、配線に不具合が生じたりしていることが疑われます。回路診断で原因を突き止め、破損箇所の修理や部材の交換を行います。トラブルを回避するためにも、設置から5年をめどにメンテナンスすることをおすすめします」

 発電効率とともに、作業効率も向上させるため、髙免さんはソーラーパネル洗浄ロボットや専用搬送車の販売にも注力。長年の試行錯誤を経て商品化し、特許も複数取得しています。

 「大規模な発電所を手入れするには、人手や時間を要し、コストもかかります。遠隔操作で作業を自動化すれば省人化がかない、施工時間も短縮でき、人員や工数を減らすことで経費削減にもつながります。当方では純水も製造販売していますので併せて導入し、汚損による発電量の悪化を防いでもらうことが目標です」

 政府では2050年までに、CO2といった温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡にするカーボンニュートラルを推進。実現に向け、太陽光発電への投資は今後さらに進むことが予測されます。

 「日本にはすでに5億枚以上の太陽光パネルが設置されているそうで、私どもが洗浄しているのはほんのわずかです。人材や事業を拡充し、エネルギーの創出に貢献していきたいですね」

(取材年月:2025年7月)

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髙免知己

年間60万枚の太陽光パネルの洗浄を手がけるプロ

髙免知己プロ

太陽光パネル洗浄業

株式会社SSG

発電量低下の原因となる太陽光パネルの汚れを丁寧に洗浄。水垢が残らないよう純水を使用し、豊富なノウハウを生かしてパネルにダメージを与えないよう細心の注意を払っています。

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