PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

ピアノが生き生きとする、弾く人が喜ぶ、そんな調律を目指して

ピアノの気持ちが分かる調律のプロ

清水照美

清水照美 しみずてるみ
清水照美 しみずてるみ

#chapter1

ピアノのオンリーワンの個性を読み取り、良い状態で長く使える調律を行います

 「養成学校で学び始めた18歳の時から今までずっと、とにかく調律が好きで仕方ないんです」と熱を込めて話すのは、群馬県伊勢崎市の「しみずぴあの工房」代表であり、ピアノ調律技能士の清水照美さん。

 国内楽器メーカーで21年間勤務し、延べ1万6000台以上のピアノの調律、修理を手掛けてきました。国家資格の最高ランクである一級ピアノ調律技能士を有し、コンサートやコンクールの場にも数多く赴いてきました。

 「ピアノは生きていて意思があります。たくさん接してきたことで気持ちが分かるようになりました」と清水さん。たとえ同じブランド、モデル、製造年であっても、年数を重ねていくごとに、弾き手や、設置環境などに影響し、1台1台個性が生まれるのだそう。

 長年の経験から、使用頻度や置かれている部屋の広さ、気温・湿度といった環境まで細やかに考慮。作業を始める前には必ず、「よろしくお願いします、気になることがあれば何でも伝えてください」と心の中でピアノにあいさつをしてから触れると言います。
 「生き生きとしている時もあれば、ちょっとお疲れ気味もあり、『ケアしてほしいのはここ』と、訴えかけてくるんですよ。そのピアノの声と、お客さまが求める音色やタッチ、音響などのご要望を聞き仕上げます」

 清水さんは、ピアノから感じ取ったことと、弾き手の要望や困っていることを橋渡しする事ことが自分の役目だと話します。

#chapter2

楽器メーカーの養成学校で学び、プロの高級グランドピアノも扱える調律師として活躍

 子どもの頃からピアノを習い、ゆくゆくはピアノに関わる道に進みたいと考えていた清水さん。高校生の時に進路について調べていたところ、ピアノ調律師という職業があることを知りました。

 「学校や自宅に来てくださっていた調律師さんと実際に話をする機会があり、手先を使うことが好きな自分に向いているのではと、さらに興味が湧きました」

 技能を身に付けるべく、楽器メーカーが運営する調律師養成学校に入り、卒業後は同社に就職。調律業務だけでなく、ピアノの販売や修理など幅広く担当します。仕事にまい進し、プロの演奏家向けの高級グランドピアノも扱える、社内でも限られた調律師の一人として活躍するまでに。

 「若い頃は未熟で失敗もありましたが、すべて成長の糧にしてきました。系列の工場でつくられたピアノの最終工程を担当した事もあり、そこでタッチや、音色づくりを学びました。一からピアノがつくられる工程を目の当たりにした事は、その後何十年も経過したピアノのメンテナンス調律に生きているのではと思います」

 20年以上ピアノメーカー勤務する中で、調律師としての使命は、ピアノをつくり出すことと同時に、少しでも良い状態で、永く愛してもらうことだと感じたと清水さん。ピアノをいつまでも活躍させていく活動がしたい、調律師として研鑽を積み海外含めさまざまなピアノも扱えるようになりたいという思いで、2023年に独立しました。

 「私には2人の娘がいます。ふと今までを振り返って、家事育児を疎かにし過ぎていたと反省。本当に大切なことを選び経験していく人生にしていくと決めたことも現在の活動につながっています。苦手な家事業や、母親としても奮闘中です」

清水照美 しみずてるみ

#chapter3

ピアノの仕組みが分かれば弾き方も変わる。目で見て学ぶピアノの解体ショーも開催

 「工具を使って部品を調整する作業自体も楽しいですし、音を聞き分ける瞬間も好きです。ピアノが生き生きとして、お客さまに喜んでもらえた時に幸せを感じます」と、やりがいを語る清水さん。

 しばらく弾いていないが使えるか分からない、手入れに際し費用がどれくらいかかるか知りたいなど、依頼を迷っている人のために、無料点検も実施しています。

 「不要となってしまったピアノを再生し、必要な方に引き継ぐこともしています。主なピアノ買取業者さんで買い取られたピアノは、海外へ行ってしまいます。日本で製造され、日本で育ったピアノは、また日本で活躍してほしいと願っています。思い入れのあるピアノをやむを得ず手放す方は、ぜひご相談ください。さらに、建築関係の方でも、ピアノを設置、処分を検討のお客さまがいらっしゃいましたらお気軽にお問い合わせください。移動も承ります」

 また、ピアノのことをもっと知ってもらうために解体ショーも開催。ピアノの内部を披露し、部品を外しながら構造や仕組みについて解説します。

 「鍵盤を押すとどのように音が鳴るのか、どうしてきれいに響くのか、ピアノの仕組みを理解することで、更に上手く弾きこなすヒントとなります。技術がつまった楽器としての素晴らしさも再認識していただけると思います。発表会のイベントや音楽の授業の一環として、ぜひご検討ください」

 ピアノには演奏者の軌跡が刻まれていて、オンリーワンの存在と受け止める清水さん。それぞれの個性を生かし、長きにわたり豊かな旋律を奏でていけるよう、知識とスキルを注いでいます。

(取材年月:2024年5月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

清水照美

ピアノの気持ちが分かる調律のプロ

清水照美プロ

ピアノ調律技能士

しみずぴあの工房

1万6000台以上の調律や修理に携わり、ピアノの気持ちが分かる調律師。ピアノの状態と演奏者のご要望を考慮し、調律します。コンサートやコンクールでの経験も豊富。ピアノの仕組みが分かる解体ショーも実施。

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ群馬に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または上毛新聞社が取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO