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障がいや疾病がある人それぞれが持つ資源を生かし、輝いて生きられるようサポート

障がいがある人の社会復帰をサポートするプロ

原口義史

原口義史 はらぐちよしふみ

#chapter1

就労継続支援B型事業所で、利用者一人一人の特性に合わせた仕事を提供

 「私どもは、『働きたいけれど最初の一歩が踏み出せない』『人とコミュニケーションを取るのが苦手』『気分や体調にムラがある』といった悩みを抱える方々の自立や、社会参加をお手伝いしています」

 そう話すのは、「Barrier-free(バリアフリー)」代表の原口義史さん。一般企業と雇用関係を結ぶのが困難な人が自分のペースで働いたり、実務に必要な技能を訓練したりする、就労継続支援B型事業所「つなぐ」を運営しています。

 福岡県久留米市内に3カ所ある事業所には、精神や知的、発達、身体に障がいや疾病がある10代〜70代までの利用者約60人が通っています。商品の袋詰めや検品、パソコンへの入力など座ってできる軽作業のほか、自社で運営する弁当店では調理補助などの業務があり、いずれもノルマはありません。

 「利用者さん一人一人が自分に合った活動ができるように、さまざまな仕事を用意しています。就労にあたっては見学や体験をしてもらい、面談で得意なことや苦手なことをお聞きし、ご本人の希望に沿って始めていただきます。工程により難易度があるので難しいものは練習し、できることからお願いしています」

 無理なく続けられるよう支援スタッフが随時様子を確認し、困りごとがあれば改善するなど細やかにフォロー。所内では負担を和らげる工夫も取り入れているそうです。

 「軽作業を行う事業所では、それぞれに専用デスクがあります。大きなテーブルに皆さんが集まる方が効率が良く、目も届きやすいのですが、利用者さんが周囲を気にすることなく集中できる環境を作っています」

#chapter2

障がいがある人もそうでない人も、チームで仕事を達成して成長を実感

 かつては地方競馬の騎手だった原口さん。レース中のケガで入院した際に医療現場を見て憧れを抱き、引退後は専門学校に通って理学療法士の資格を取得。総合病院や訪問リハビリテーションで11年にわたりキャリアを積みました。

 「高齢者や障がいがある人がリハビリによって歩けるようになったり、自力でお風呂に入れるようになったりすると、ご本人もご家族もとてもうれしそうでした。通所先のデイサービス施設でレクリエーションの企画に携わり、生き生きとされる方もいらっしゃいました。役割を担うことで生きがいが芽生えるのだと実感し、何ができることはないか考えるようになりました」

 職務の傍ら九州大学のゼミに通い、世界の医療・福祉、経済、哲学など幅広い知見を養った原口さんは、「障がいのある人が地域や社会と接点を持ち、やりがいをもって活躍できる場を作りたい」と一念発起。退職して2021年に会社を設立し、「つなぐ」を開所しました。
 
 事業の理念としているのが、個々の成長を促し、自分らしく輝ける場所を提供すること。スタッフが仕事の成果を伝えるなど、成功体験を得てもらうことを心掛けています。
 
 「作業をする利用者さんも、管理や相談を担当する支援員も同じチームの一員です。おのおのが強みを発揮し、力を結集することにより、発注元の企業が内製されていたものと同等の質と量の商品を納品することができています。皆さんが、『社会の役に立っている』と自信を持てる状況が生まれています」

#chapter3

放課後デイサービスを通じて子どもたちの成長を支援し、自立を後押し

 「利用者さんの家族からは、『寡黙だった子が話をするようになった』『少しずつ外に出られるようになった』という声も寄せられ、企業などと雇用契約を結ぶ『就労継続支援A型』にステップアップできた方もいます」

 創業以来、多くの利用者の社会参加を後押ししてきた原口さんは、新たな事業も展開します。

 「利用者さんの中には過去に一般企業に就職し、周囲との関係性など壁に直面して精神を患った方もいます。社会に出てつらい思いをしてしまう前に、子どもの頃から本人の個性に合わせてケアすることが重要だと気づき、放課後等デイサービスを立ち上げることにしました」
 
 学校や家庭とは異なる居場所として、発達に特性があったり、心身に障がいがあったり、6歳〜18歳の児童・生徒を迎え入れ、学習面や生活面をサポート。「将来、子どもたちが自分自身で道を切り開いていけるように、その子がもつ力を引き出し、伸ばしていきたい」と熱を込める原口さん。

 生きづらさを解消し、誰もが充実した人生を送れるよう切れ目のない支援を目指しています。

 「私は、障がいや疾病がある人もそうでない人も、健康とは、家族をはじめとする理解者、住まいや職場といった環境、培った経験など、心身の状態も含め自分が持っている“資源”をやりくりしてうまく生きることだと思っています。『行く場所がない』と感じている方や、『チャレンジする勇気がない』という方は、よりよく生きるための資源として当方をご活用ください」

(取材年月:2024年7月)

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専門家プロフィール

原口義史

障がいがある人の社会復帰をサポートするプロ

原口義史プロ

就労継続支援B型事業所

株式会社Barrier-free

就労継続支援B型事業所として障がいや疾病がある人の社会復帰をサポート。心身の状態に合った適材適所の作業を提供し、職員が丁寧にコミュニケーションを取ることで利用者が成功体験を得られるよう支援する。

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