半世紀近い経験を持つ物流のプロ内田匠作

半世紀近い経験を持つ物流のプロ

内田匠作

検品やピッキング、梱包、発送を手掛け、荷物の保管も在庫管理も一任

　「お客さまの大切な品を丁寧に整え、正確に出庫します」と話すのは、北九州市に本拠を構える「匠」の代表、内田匠作さん。消費者に不備なく商品を送り出すための流通加工を主軸に事業を営んでいます。

　「当方では、キズや汚れがないかを調べる検品、出荷先や品種別に整理する仕分け、品物を集めるピッキング、箱詰めの梱包や伝票の発行、ラベル貼り、積み込み、発送まで一貫して手掛けています。荷物を保管するだけでなく、在庫管理もお任せいただけます」

　主にECサイトを運営する企業から引き合いがあり、北九州市にある倉庫と千葉県印西市の顧客所有の倉庫で作業を請け負っています。「経験豊富なスタッフが手間のかかる庫内業務を代行します。お客さまの労働力を補うことで、新アイテムの企画開発や販売促進などに専念してもらえたらと考えています」

　半世紀近くにわたって物流業界で実務を重ねてきた内田さん。多種多様な荷物を扱い、適切に品質を管理してきた知見で、全国のEC事業者から寄せられる要望に応えています。

　「当社の強みは、各工程を的確に遂行するチーム力と臨機応変な対応力です。『早急に商品を客先に出荷したい』といった場合もスピーディーに処理します」

　従業員数はアルバイトを含め十数人。少数精鋭で、柔軟かつ迅速にイレギュラーな用件にも対処しています。

　「規模が小さい組織だからこそレスポンスが速く、融通と小回りが利くと自負しています。スタッフ全員が責任を持って仕事に取り組み、お客さまの商品への信頼度を高め、エンドユーザーさまの満足をかなえます」

ドライバーや営業、倉庫運営などを経験。物流を見渡す視野を養い独立

　内田さんは1959年に柳川市で生まれました。地元の高校を卒業後すぐに物流の世界へ。大手運送会社に20数年勤務。大小さまざまな会社に勤め、長距離、配送ドライバー、営業、倉庫の運営と多岐にわたる業務を経験します。「ハンドルを握る現場から新規獲得、マネジメントまで幅広く学び、物流の川上から川下まで見渡せる視野を養い、この世界で生きていくために欠かせない人脈を築くことができました」

　長年、サラリーマンとして働いてきた内田さんが独立を決意したのは50代の後半になってから。勤務先の社長から「自分でやってみないか」と打診され、休眠会社を引き継ぐことになったのです。

　「かつて、『内田よ、鯛の尻尾より鰯の頭ぞ』と先輩に言われたことがあり、いつかは自分の会社を持ちたいと思ってはいましたが、会社の興し方も知らず、まだ早いと先送りにするうちに月日が過ぎてしまいました。年齢も年齢でしたし、よい機会をいただいたと踏ん切りが付きました」

　2018年に活動を休止していた会社の株式を譲り受け、代表に就任した内田さん。社名を「匠」に変更し、顧客開拓を開始しました。当時はまだ前職の会社にも所属していたため、実質的な独立は2020年、60歳を迎えてからです。

　「倉庫も借りて『匠』に本腰を入れようと準備をしていたところ、コロナ禍に見舞われました。十分に営業ができず苦しい状況ではありましたが、同業者との付き合いがあったおかげでお客さまを紹介してもらい、何とかしのぐことができたのです」

荷主から依頼を受け、業者を手配して運ぶ貨物利用運送事業も展開

　物流業界では、2024年4月からドライバーの時間外労働が年間で960時間に制限されました。なり手が少ない上に稼働時間が短くなって運ぶ量や距離が減り、必要な時に必要なものが届かなくなることが懸念され、2030年には輸送能力が約34％も不足すると言われています。

　「少子高齢化でいずれの業界も人手が足りず、人材確保は難しい。私の周りでも閉業した事業者が少なくありません。常態化していた長時間労働は是正するべきですが、しっかり働いて稼ぎたいという人がいるのも事実です」

　内田さんは「自分にできることを」との思いで、2024年2月に新会社「匠物流」を設立し、第一種貨物利用運送事業を始めました。荷主から依頼を受けて業者を手配し、運送を完遂するサービスで、協力会社を募り全国で展開していきます。

　「オンラインショッピングが増大し、宅配の需要が高まっていることを受け、2025年1月には本社近くに新たに500坪の倉庫を借り現時点での保有する倉庫は2,000坪ゆくゆくは1万坪にまで拡大して多くの荷物をお預かりし、到着を楽しみにしている方に速やかに配送する仕組みを整えたいと考えています」

　最終的には自社で倉庫を建設することが目標で、業容を拡充するために後進の育成にも力を注いでいます。「『若い力が未来を担う』という信念のもと、長年にわたり培ってきたノウハウをあますことなく次世代へ伝えていきます。『モノを運ぶ』という仕事を通じて暮らしやビジネスを支え、地域社会の発展に貢献していきたいですね」

（取材年月：2025年1月）

モノを運ぶ仕事を通じて暮らしやビジネスを支え、地域社会に貢献

検品やピッキング、梱包、発送を手掛け、荷物の保管も在庫管理も一任

ドライバーや営業、倉庫運営などを経験。物流を見渡す視野を養い独立

荷主から依頼を受け、業者を手配して運ぶ貨物利用運送事業も展開

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