売主の利益の最大化を図る不動産仲介のプロ津田孝幸

売主の利益の最大化を図る不動産仲介のプロ

津田孝幸

売却機会の損失を招く「囲い込み」を排除し、ターゲットに向けて正確な情報を発信

　不動産売却は大きな金額が動き、一生の中でも大きな決断の一つ。しかし、売主と買主、同じ業者が両者を担当する場合、取引をまとめるために値下げするなど、売主の利益が必ずしも最大化されるとは限りません。

　福岡市を拠点にする「メイヴス」の津田孝幸さんのもとでは、原則、買主の対応はせず、あくまで売主のために販売活動を行い、1円でも高く売ることに徹底的にこだわっています。

　「不動産業界には『囲い込み』と呼ばれる慣習があります。これは、仲介会社が売却を任された物件の情報を他社に共有せず、自社で買主を見つけることで、売主と買主の双方から仲介手数料を得る仕組みです。自社だけで情報を抱え込むことは売却の機会損失を誘発し、利益の損失につながるおそれもあり、売主にとってはリスクです」

　津田さんらは早期＆高値成約をかなえるため、効果的な販売プランを策定。なかには、他社で8ヶ月間売れなかった案件を3週間で商談成立に導いた事例もあります。

　「福岡市内のエレベーターなし4階建マンションの3階部分でした。当方で物件の特長を洗い出した結果、“土地の持ち分”に着目しました」

　周囲の不動産取引の状況を鑑みても、セールスが長期化した理由は価格ではなく、物件が持つ本質的な価値が正しく伝えられていなかったことにあると結論づけ、土地の持ち分（敷地権割合）が比較的大きいことをアピール。ターゲットをファミリー層からマンションの投資家向けへと広げて再訴求しました。加えて、物件の正確な情報を詳細に紹介することで購入希望者の関心を引き、契約へつなげました。

福岡都市圏における“不動産売却の駆け込み寺”として築年数を経た住宅も成約へ

　以前は大手不動産会社に10年以上勤務していた津田さん。形にとらわれるあまり、売主と買主が合意しているにもかかわらず、取引が進まないケースがあり“売主ファースト”の仲介サービスに至りました。

　また、担当者によって対応にばらつきがあり、売主にとって最善の選択ができているのか、疑問に思うことが多かったとか。

　「お客さまに納得、満足していただくには、買い替え、離婚や相続による財産分与など、不動産を手放す経緯や、ご家族の事情、資金の状況などをしっかりとお聞きすることが重要です。そして相談を受ける不動産会社からの説明や提案は、エビデンスに基づくものでなければなりません。残念ながら業界では担当者の入れ替わりが激しく、経験が浅い担当者が誤った情報を提供することも珍しくありません」

　実際に、担当者が北向きのマンションを“南向き”と記載して広告を出していた例も。実情にそぐわない課題を解決するため、津田さんは前職の仲間とともに2021年にメイヴスを設立。相続物件など築年数が古い住宅でも強みを最大限に引き出し、ターゲット層を明確化することで、スムーズな売却を可能にしています。

　「長く買い手がつかなかった物件の依頼が舞い込むことも多く、福岡都市圏における“不動産売却の駆け込み寺”のような存在になりつつあります。今やっと、『お客さまにとって真の意味で最善のご提案をする』という当たり前のことができるようになったと感じます」

リノベーション・再販を手掛けるグループ会社との連携で物件の付加価値を向上

　津田さんのもとでは物件を“完全商品化”するため、さまざまな施策を実施。訪問査定を通じて現実的な販売価格を算出し、市場データを分析して物件ごとに適した広告戦略を立案します。

　「媒介契約を締結した後は、義務付けられた期間内に指定流通機構『レインズ』に掲載するのはもちろんのこと、大手ポータルサイトに掲載し、囲い込みをすることなくオープンにすることで、正しい情報が多くの人の目に触れる環境を整えています。チラシやパンフレット、WEB広告には、プロのカメラマンが撮影した画像を用い、内外装の魅力を発信します」

　同社では、売主居住中・空き家といった売却物件の現況や内覧希望者の問い合わせ経路を問わず、すべてのケースで内覧に立ち会い、設備などの細かい点まで丁寧に説明。また、グループ会社であり、不動産の買取再販事業・リノベーションを手掛けるレトリック社との連携により、必要に応じて、物件の第一印象を高める提案をしています

　2024年、津田さんは不動産「売却」に特化した動画チャンネルを開設。査定書に解説動画を添付するなど、ITツールを積極的に活用しています。

　「ほとんどの売主は、不動産売却を経験したことがありません。そんななか、私たちのような仲介者に求められるのは、売主ごとに異なるゴールを目指すために、精度の高い地図と可能な限り照度の高い懐中電灯を携えて、常に一歩先を歩き、売主の足下をずっと照らし続けること。これは、誰に頼んでも同じではありません」

　不動産を売却するにあたり「売れるまで待つ」のではなく、「売れるべくして売れた」を実現するため、津田さんらは集客力を備えたプロモーションを展開し、売主をゴールに導きます。

（取材年月：2025年3月）

「1円でも高く不動産を売る」が使命。早期＆高値成約を目指し、効果的な販売プランを提案

売却機会の損失を招く「囲い込み」を排除し、ターゲットに向けて正確な情報を発信

福岡都市圏における“不動産売却の駆け込み寺”として築年数を経た住宅も成約へ

リノベーション・再販を手掛けるグループ会社との連携で物件の付加価値を向上

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