物・空間・人生を整える仕組みを提案する片づけのプロ川崎育代

物・空間・人生を整える仕組みを提案する片づけのプロ

川崎育代

暮らしのリノベーションをテーマに、片づく仕組みを一緒に考える

　「単に物を捨てたり収納するだけでは、その時はすっきりしても元に戻ってしまいがち。片づけとは、人生をオーガナイズ、整えることです」と語るのは、「サピュイエ」の代表でライフオーガナイザーの川崎育代さん。

　福井市内を中心に、対面やオンラインで片づけ・整理収納をサポートするほか、「暮らしの体質改善」をテーマにオンライン講座を開催。企業向け案件に対応する「レジデンシャルオーガナイザー®」のスキル向上にも努めています。

　「大切にしているのは、ライフオーガナイズをベースにした暮らしのリノベーションです。生き方までしっかりと掘り下げてヒアリングし、お客さまの思考を整理。次に、物や空間、人生まで整えていく仕組みを一緒に考えます」

　実は、片づけが嫌いだったという川崎さん。単なる家事の一環、日々のルーティンとして捉えていたからです。ところが、どんなふうに生きたいかを自覚することで一変しました。
　「私の場合は猫との暮らし。豊かな後半生を意識すると、物の要不要や大切にしたいことが分かるように。家もおのずと片づくようになりました」
　今は念願の猫を迎え入れ、家族の絆まで深まって好きに囲まれた毎日を送っているそうです。

　「自分のことは案外分からないものです。社名『サピュイエ』は、フランス語で寄り添うという意味。お客さまの声を傾聴する会話を通して私が鏡となり、生活の目的やストレスの原因に気づいてもらい、悩みを解決していきます」

　今の住まいにおける片づけ・収納のお悩み解決だけでなく、新築・リフォームを検討している顧客にも対応。新しい暮らしを始める前に家事動線や収納を見直し、新生活での片づけストレスをなくしていきます。

人と物を取り巻く環境を「最適化」することで、心地よい空間と時間を創出

　川崎さんはかつてワンオペで育児をする専業主婦でした。狭い室内で快適に過ごすためインテリアや DIY に夢中になり、部屋を整えることで心が満たされるように。その後、住宅設備・建材メーカーのショールームでアドバイザーを務め、顧客2000人以上の相談とプランニングに携わりました。

　「しかし、残念な気持ちも募りました。家や設備を新しくすれば、暮らしも新しくなると考えるお客さまが多かったからです。新品のキッチンなのに作業しづらい、おしゃれだけど整理しづらいなど、理想の住まいが見えても、実際の暮らしまで見えていない。整えるとは形だけの利便性ではなく、生活の中身までフォーカスが必要と感じていた時、暮らしの仕組みをつくる片づけスキル『ライフオーガナイズ®︎』に出会いました」

　ちょうど川崎さんのライフステージも変わる時でした。田舎に住む両親の介護に加え、自身も病気で今まで通り働けなくなり、実家に戻ることを決心。家の改修ではライフオーガナイズを実践し、キッチンは流行を追わず、窓から草花が見えて心を満たす昔ながらの壁向きに。リビングの目立つ壁は、お気に入りのうぐいす色に子ども達と塗ったとか。家への愛着が増し、日々の暮らしが充実したと話します。

　「オーガナイズによって環境を『最適化』することで、空間と時間にゆとりができます。そこへ、自分の『心地いい』にこだわった空間をつくり、『大好き』に囲まれた時間を過ごす。今も10年先も持続的に、自分らしく日常を楽しめるノウハウを伝えるため、2020年1月に当社を設立しました」

ライフスタイルの変化に対応し、暮らしのストレスを軽減する住まいづくりをサポート

　20年以上ショールームで働き、家づくりにも関わってきた川崎さん。家事効率を重視した動線や収納計画を、工務店へ伝えることも得意です。新築やリフォームをする際は、セカンドオピニオンとして活用してほしいとも。収納の間取りや配置を改善すると、整理しやすく効率的に動けると言います。

　「部屋が片づくと、テーブルに花を飾りたくなったと何かで読んだ時、私が目指しているものだと感じました。関わったお客さまに、『片づけてすっきり』だけで終わらせたくない。もう一歩先の行動を変えられるように、丁寧にコンサルティングして背中を押したいですね。また、ライフステージの変化にも対応できるよう、長く付き合っていきたいです」

　自らライフオーガナイズを実践して猫と住むようになった川崎さんは、動物と共存・共生する喜び多き暮らしも提案していきたいと考えています。というのも、かわいい姿に癒やされるだけでなく、ペットを通して家族の会話が増えたり、エサやトイレなど世話の延長で自然に家事のシェアができるようになったり、家庭内にもよい影響があったからです。

　「田舎に戻ってから空き家問題が気になるようになり、シニア世代の終活のお手伝いや、子世代による実家の片づけなどを、今後の活動の中心にしたいと考えています。その延長で将来的には、地域に人を呼び元気にする『まちづくり』という大きなオーガナイズに取り組めたらうれしいです」

（取材年月：2024年1月）

ライフオーガナイズを通じて片づけ思考と人生も整え、より豊かな生活を提案

暮らしのリノベーションをテーマに、片づく仕組みを一緒に考える

人と物を取り巻く環境を「最適化」することで、心地よい空間と時間を創出

ライフスタイルの変化に対応し、暮らしのストレスを軽減する住まいづくりをサポート

専門家プロフィール

Other Interview