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懐かしいポップスを繊細なピアノ演奏で届け、思い出を呼び起こす音楽イベントを展開

懐かしい曲で思い出を呼び起こすプロデューサー

野崎公明

野崎公明 のざききみあき
野崎公明 のざききみあき

#chapter1

ピアノがない会場にも生演奏を届け、音楽を楽しむひとときを企画から丁寧に形に

 演奏が始まると、客席の視線も自然と鍵盤や指の動きに集まります。演奏者と聴き手の距離が近いからこそ生まれる、音だけではない臨場感。「夏時計」の野崎公明さんは、飲食店や福祉施設、宿泊施設、公共施設、企業イベントなどに演奏家を派遣するプロジェクト「イベントカフェ」をプロデュースしています。

 「素敵なカフェで生演奏を聴くような、楽しい時間を思い描いて名付けました。ピアノが置かれていない場所でも、こちらから電子ピアノやアンプスピーカーを持ち込み、設置から対応できます」

 演奏はピアノを軸に、会場や予算に応じて管楽器などとの共演にも対応。40分ほどのミニコンサートから、休憩を含む2時間程度の公演まで組み立てます。国内外の親しみのあるポップスを中心に、依頼者からのリクエストも、楽譜が用意できる曲であれば取り入れています。
出演する若手ピアニストは、クラシックのコンクールで入賞経験を重ねた演奏家たち。親しみやすい曲の中にも、細やかな表現や迫力ある技巧を織り込みます。

 「聞き覚えのある曲なら、普段あまり生演奏に触れない方にも入りやすいと思うんです。電子ピアノの利点はお客さまと向き合うように置けるので、鍵盤や指の動きまで見ていただけます。指を素早く動かす難しい演奏を披露すると、会場も盛り上がります」

 告知用のポスターやポストカードも野崎さんが制作。演奏者の手配から会場に合わせた構成、機材設営、販促物までを一つにつなぎ、主催者が開催しやすい形に整えています。

#chapter2

映像やイベント制作で培った企画力を生かし、中止になった演奏会を新たな事業へ

 野崎さんの仕事の原点には、映像やイベントの現場で磨いてきたプロデュース力があります。1981年にテレビアニメーションの制作室へ入り、数年後プロデューサーとして制作全般を担当。その後は格闘技イベントや雑誌関連の仕事を経て映画制作会社を立ち上げ、映画や映像作品を企画し、撮影、編集にも携わってきました。

 「音楽の仕事に進もうと決めていたわけではありません。ある施設で定期的なピアノ演奏を行う企画があり、演奏者にも声を掛けて準備を進めていたところ、事情があって中止になったんです。せっかく準備したのだから、別の場所でできないかと考えました」

 そこで思い付いたのが、レストランで食事と演奏を一緒に楽しんでもらう催しでした。実際に開催すると席が埋まり、身近な場所で生演奏を聴きたい人がいると実感。思いがけず始まった企画は定着し、現在は2年間で25回ほど開催しています。
小規模な会場では出演者数を増やすほど、予算やスペースの調整が難しくなります。伴奏とメロディーを一人で担えるピアノは、限られた条件でも豊かな演奏を届けられる楽器でした。

 「映像もイベントも、出演者や会場、お客さまの間に立ち、全体を組み立てる仕事です。音楽の専門家ではありませんが、演奏家の力をどう見せれば伝わるか、どのような流れなら楽しんでもらえるかは、これまでの経験を生かせます」

 ライブの多くは自ら撮影し、編集した動画を公開しています。画面越しに雰囲気や演奏者の技術を知ってもらい、次は会場で体感してもらうためです。分野を越えて積み重ねた経験が、音楽との新たな出会いを生み出しています。

野崎公明 のざききみあき

#chapter3

懐かしい曲が記憶を呼び起こし、世代を超えて生演奏の魅力を届ける

 一曲の旋律が、長く心の奥にしまわれていた記憶を連れてくることがあります。来場者の中心は50代以上。青春時代に耳にした1970年代から1980年代のポップスに、当時の人や風景を重ねる姿を、野崎さんは何度も見てきました。

 「あるライブの後、ペーパーナプキンに『亡くなった主人といつも聞いていた頃を思い出しました』という言葉が残されていました。演奏をきっかけに大切な時間を思い返してくださったのだと知り、音楽が持つ力を感じました」

 選曲では、原曲の印象を大切にしながら、演奏家の技術と繊細な楽譜表現を生かします。海外の音楽家が公開したものを含め、さまざまな楽譜を探し、普段のピアノ公演では取り上げられる機会が少ないポップスを届けています。

 クラシックを専門にしてきた若手演奏家にとっても、目の前の観客の反応を感じながら演奏する経験は、新鮮な刺激になっているそうです。

 「昔の曲を懐かしむ時間は大切にしつつ、より幅広い世代にも聴いてもらいたいですね。歌のないピアノ演奏は、若い方にはなじみにくい面もありますが、時間をかけて魅力を伝えていきたいです。ピアノだけでなく、フルートなどとの共演や、一部にクラシックを取り入れる企画も試しています。ただ、親しみのあるポップスを届ける軸は変えません」

 野崎さんは演奏家と会場をつなぎ、飲食店や施設などで生演奏を楽しめる機会をつくっています。これからも親しみのある曲を通して、幅広い世代に音楽を身近に感じてもらえる機会を増やしていきたいと考えています。

(取材年月:2026年7月)

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Profile

専門家プロフィール

野崎公明

懐かしい曲で思い出を呼び起こすプロデューサー

野崎公明プロ

プロデューサー

株式会社夏時計

演奏家の手配や選曲、ポスター制作まで対応。電子ピアノや音響機材を持参し、設置まで行うため、ピアノがない場所でも開催できます。コンクールで入賞実績を持つ演奏家が、親しみのある曲を生演奏で届けます。

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