PROFESSIONAL
STORIES

Mybestpro Interview

就農・農業支援を通じて生産者を増やし、地域活性化に貢献する

地域を支え自立した営農をかなえる就農サポートのプロ

熊谷賢

熊谷賢 くまがいまさる
熊谷賢 くまがいまさる

#chapter1

自立した農業の実現のため、生産品目の策定や栽培、販路開拓をサポート

 「就農支援を通じて農家を増やし、農地保全や地域の農業振興に貢献したい」と話すのは、秋田県横手市の「秋田新鮮組」代表・熊谷賢さん。栽培、営農スキルの指導や、農産物の販路拡大支援まで幅広くサポートし、美の国・秋田の農業発展に貢献しています。

 「離農者が増える中、地域活性化のためには生産者を増やすことが不可欠。しかし、新規就農や事業承継の手続きは複雑で、自力での補助金申請は大きな負担を伴います。出荷ルートが限られ価格設定の自由度が小さいなど、裁量の小ささゆえに成長の機会を得にくいのは事実ですが、それを打破すれば持続可能な農業を実践できるのです」

 自立した経営を実現するため、生産品目の策定から栽培方法までを伴走支援。熊谷さんを含む役員3人はいずれも品評会での受賞歴を持ち、初心者がつまずきやすい点を丁寧にフォローします。

 メーカーや商社で営業職として勤めたキャリアを生かし、大都市圏への販路も開拓。農家から作物を買い取り、生産者が赤字にならない価格で販売することも可能です。また、インターネットなどによる直販のノウハウも伝授しています。

 「私たちのモットーは、農業で笑顔の連鎖を生むこと。農家の仕事は食べ物を作って届けるというシンプルな営みですが、おいしい作物は消費者を笑顔にし、利益が出れば農家も笑顔になります。さらに農村が元気になれば暮らす方々もうれしくなります。農業を通じ、周りのみんなが幸せになる-そんな未来を目指しています」

#chapter2

初心者がつまずきやすい点を踏まえた栽培指導を展開し、コメは高級ホテルへの販路を開拓

 熊谷さんが新規就農支援で最初に取り組むのは、生産品目の決定。就農希望者の意向を聞き、水田での栽培か畑作か、露地栽培か施設園芸かなど栽培形態を固めていきます。

 「農地確保のため、譲りたい人とのマッチングもお手伝いするほか、農機具の導入についてもアドバイスします。私たちが使っているトラクターなどをお貸しすることも可能です」と熊谷さん。栽培指導では、マニュアルや動画などのツールを活用し、ポイントを分かりやすく伝えるよう心掛けているそうです。

 「ベテラン農家に比べると生産歴は浅いですが、その分初心者は何が分からないかを熟知しています。私たちが直面した課題をまとめたリストも作成していますので、過去の失敗から学んでいただくこともできます」

 販路面でも、地域の福祉施設、大都市圏の飲食店やスーパーマーケットなど、熊谷さんが自ら切り開いた多彩な販路を活用できます。2025年からは、東京の高級ホテルへのコメの販売をスタートさせました。

 「出荷量や価格を生産者と事前に話し合い、農産物の品質に応じて販路を提案します。直販を希望する場合は自社サイトやECモールを活用いただけるほか、SNSを使った販促や無人販売所の開設などについても助言しています」

 農業法人を立ち上げて野菜栽培を希望したある若手農業者に対しては、必要な機械や人員、補助制度の紹介など、多面的なアドバイスを実施。「努力のかいがあって、来年からは私たちが作物を買い取って販売していく予定です。今後が楽しみですね」と笑顔を見せます。

熊谷賢 くまがいまさる

#chapter3

廃業する小規模農家を目の当たりにして支援を決意。ICT活用や農福連携も推進

 横手市の農家に生まれた熊谷さん。水稲や野菜づくりに励む父親と、農産物をバイクで配達する母親の苦労を間近で見てきただけに、若い頃は農業を継ぐつもりはなかったとか。大学の工学部を卒業後、営業の仕事に就きました。

 「20年以上サラリーマンとして働きましたが、父が高齢になり、また子どもと触れ合う時間をもっと確保したいと考え、父が設立した農業組合法人に入りました」

 シイタケの菌床栽培に力を入れて収益を上げてきた一方、地元では経営が行き詰まり廃業を余儀なくされる小規模農業者の姿を目の当たりにしてきました。新規就農者や既存の農家の現状を改善したいと考え、2023年に横手市の同業仲間2人と秋田新鮮組を設立しました。

 同社では、熊谷さんら3人が実践してきた手法を惜しむことなく紹介。水位センサーによる水田の遠隔監視や、水稲の土を乾かす「中干し」の期間延長を見直しJ-クレジット制度による収入確保につなげる取り組みなど、実践的な内容を分かりやすく伝えています。
 また労働力不足への対応として、多様な人材が活躍できる環境づくりも推進。障がい者雇用希望する農業者に対しては、働いてもらう際の留意点などについても丁寧に伝えています。

 講師としてセミナーや講習会に出向き、ICT活用や農福連携について話すこともあるという熊谷さん。今後は秋田県外にも支援の輪を広げていく考えです。

 「農地を耕すことはふるさとの環境保全につながりますし、何といってもみんなが喜ぶものを生産するというのは純粋に楽しいです。やりがいや達成感を分かち合える仲間をもっと増やしていきたいですね」

(取材年月:2025年11月)

リンクをコピーしました

Profile

専門家プロフィール

熊谷賢

地域を支え自立した営農をかなえる就農サポートのプロ

熊谷賢プロ

農業支援

株式会社秋田新鮮組

品評会での表彰実績が豊富な農業者が、生産品目策定から栽培方法までを伴走支援。大都市圏の飲食店や高級ホテルへの販路も開拓しています。ICT活用や農福連携も推進し、自律した農業経営を後押しします

\ 詳しいプロフィールやコラムをチェック /

掲載専門家について

マイベストプロ秋田に掲載されている専門家は、新聞社・放送局の広告審査基準に基づいた一定の基準を満たした方たちです。 審査基準は、業界における専門的な知識・技術を有していること、プロフェッショナルとして活動していること、適切な資格や許認可を取得していること、消費者に安心してご利用いただけるよう一定の信頼性・実績を有していること、 プロとしての倫理観・社会的責任を理解し、適切な行動ができることとし、人となり、仕事への考え方、取り組み方などをお聞きした上で、基準を満たした方のみを掲載しています。 インタビュー記事は、株式会社ファーストブランド・マイベストプロ事務局、または秋田テレビが取材しています。[→審査基準

MYBESTPRO