従業員20人以下の中小企業を対象に、事業の成長と経営者の心の安らぎをサポート（2/3）

ある体験から、一人で苦悩する経営者を生まぬよう伴走支援する重要性を痛感

　牧草さんは、大学卒業後に大手住宅メーカーで営業マンとして勤め、生命保険会社に転職。個人事業主として開業し、年間2000万〜3000万円の売り上げを記録していたこともあると言います。

　「当時のお客さまは中小零細企業の社長さんがほとんど。資金繰りや従業員の指導などに頭がいっぱいで、保険には興味がありません。私は、自らの保険事業の発展のために学んだ、心理学や脳科学を活用したマーケティングスキルを、クライアントや税理士や士業の先生に『こんな風にしたら事業がさらにうまくいくのでは』などと助言するうちにセールスに結びついていきました」

　付き合いのあった経営者たちをモニターにコンサルティング事業もスタート。順調にクライアントが増え、多忙を極めていた頃にこころが痛む体験もありました。

　「長年、建設関係の会社を営んでいた知人が、しばらく会っていない間に億単位の負債を抱えて自死してしまったという連絡を受けました。家族にも従業員にも、そして友人にも言えず一人で苦悩していたようです。自分が何もできなかったことにがく然とし、二度と同じようなことが起きないよう、経営者に伴走していきたいと志を新たにしました」

　「心の安らぎ」を大事にする牧草さんは、寺院の僧侶と共にイベントも開催しています。
　「経営者は誰しも、眠れない夜や目覚めの悪い朝があったはず。神頼みや仏頼みをしたこともあるでしょう。私は、京都・清水寺の方と一緒に、境内の一般には非公開の場所で“お話し会”をたびたび開いています。適度な“スピリチュアル”は癒やしにもつながると考えています」

＜次ページへ続く＞

【次ページ】同じ経営者として気持ちに寄り添い、経済的な不安と孤立感をなくしたい

次のページへ