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コラム

「塾ジイの思い出」2 ―子どもの学習姿勢を可視化する―

2024年3月14日

テーマ:受験生のモチベーションの保ち方

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

こんにちは。株式会社 宇加瑠出進学教室 広報部長の小曽利三太郎(こそり みたろう)と申します。先般弊社OBである塾ジイこと出口利光先生の行政書士試験に挑まれている奮闘ぶりを「実録!出口先生のCHALLENジイの道」というタイトルにてWEB社内報で発信したところ大きな反響がありました。この度出口先生シリーズ第二弾として「ヤング塾ジイ!出口先生のあし@」と題し、先生の成功事例や失敗談を私との対談を通じて社内で共有することとなりました。今回はその第二回の模様をお伝えします。

「みなさんお疲れ様です。広報部の小曽利です。WEB社内報をご覧いただきありがとうございます。今回も『ヤング塾ジイ!出口先生のあし@』と題して先生の現役時代のお話をお伺いしていきます」
「出口先生、本日もよろしくお願いします。前回の小6社会科の成功事例の反響大きかったですよ」
☞「塾ジイの思い出」1 https://mbp-japan.com/kyoto/kyoshin/column/5156558/
「そうか…かなり昔の話じゃから今の時代に合うようなアレンジは必要じゃ」
「わかりました。ところで前回の最後に授業にゲーム性を持たせる方略は中学生の英語に授業にも汎用されていると仰っていましたが」
「そうじゃ。授業をポイント制にして競わせたんじゃ」
「ポイント制?」
「授業ごとの小テスト・週ごとのテストの合計点を出すんじゃ」
「テストの得点を評価するってことですか…」
「それだけではない。その合計点に宿題提出率をかけるんじゃ。例えば、テストの合計点が200点で宿題提出率が100%だと200×1.0=200ポイントだが、宿題提出率が50%だと200×0.5=100ポイントとなる」
「課題への取り組みを数値化したのですね?」
「その通りじゃ。未提出分をテストの得点から差し引くことによって“宿題はやって当然”という概念を数値化したんじゃ」
「なるほど!その合計ポイントをどのように表彰したのですか?」
「一ヵ月ごとにクラスで3位までの生徒を発表した。1位の生徒を【月間MVP】と称して表彰した」
「その方略の成果はありましたか?」
「宿題の提出率が格段に上がった。生徒たちは自分のポイントを確保するために必死に取り組んでいたな。家で勉強するようになったので保護者からも喜ばれたよ」
「成績に変化はありましたか?」
「担当教科の英語の成績は学校、塾ともほぼ全員が上昇基調になったな」
「それは凄いですね。でもテストと宿題提出率をポイント制にするだけでなぜ生徒はそこまで自発的に勉強するようになったのでしょう?」
「ポイントは3つじゃ。ひとつは数値によって可視化する項目を少なくシンプルにしたこと(ルールの単純化)。それによって生徒は【何をすれば良いかが把握できる(作業の明確化)】」
「なるほど。【“やって当然という意識”を伴った宿題をやる作業(受動的作業)】と【テストでポイントを稼ぐための勉強(能動的作業)】が相乗的に作用し生徒の学力向上に繋がったということですか?」
「うまいこと言うな。その通りじゃ」

「可視化」の三つのポイント
①数値として表現できるものを選び記録する
②「なにを」可視化するかを間違えない
③ビジュアルにして変化や比較を視覚的にわかりやすくする
*「ゲームにすればうまくいく」
〈ゲーミフィケーション〉9つのフレームワーク 深田 浩嗣 著 より引用

「2つめのポイントは何ですか?」
「リセットじゃ」
「リセット?ゲームのリセットですか?」
「そうじゃ。当月の【月間MVP】を発表したら翌月ポイントをリセットして皆また横一線に並ぶんじゃ。そうすることによってヤル気が低下したり、部活等時間的な事由で学習量が不十分だった生徒に【挽回するチャンスを与える】んじゃ」
「【気持ちを新たにさせる】ってことですか?」
「そういう言い方もできるな」
「最後のポイントは何ですか?」
「振り返る機会の創出じゃ」
「どうやって振り返るんですか?」
「個人成績表を配付するんじゃ。日ごとのテストの得点と宿題の提出状況のデータを配付し、振り返りのコメントを書かせ回収しわしがコメントを付してフィードバックしていた」
「自分を俯瞰的に捉えさせるということですね?」
「その通りじゃ。『こんな自分はダメだ!』という感情が沸き上がっても翌月リセットされるから『浮上するぞ!』という意欲にも繋がったと思う」
「【授業は遊び心も大事】ということですか…ところで先生、中学生の定期テスト対策でも同じようなことをされたとお聞きしましたが…」
「あー、その話か。テスト対策授業を団体競技に見立てたんじゃ」
「テストの得点をチームで競わせるということですか?」
「いや、違う。それだと失敗した生徒の立場が悪くなるからな」
「その話興味ありますね。次回はその話お伺いしてもよろしいですか?」
「では、黒龍の一番高いやつ一升で」
「先生もご自身を俯瞰的に見られた方が…」
「何事もリセットが大事じゃからな!」
「意味わからん…」  

*人物名等はフィクションです

*参考書籍:「ゲームにすればうまくいく」〈ゲーミフィケーション〉9つのフレームワーク 
       深田 浩嗣 著
      「メタ認知」三宮 真智子 著
*drawn by 蒼りんごさん

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この記事を書いたプロ

久保克己

子どもの受験で悩む保護者にアドバイスする教育相談のプロ

久保克己(株式会社京進)

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