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辻村豊

豊富な化学技術知識で研究開発および製造をサポートするプロ

辻村豊(つじむらゆたか) / 技術コンサルタント

合同会社 播羊化学研究所

コラム

ベテランでも手を抜けば新人以下!

2024年5月5日

テーマ:研究開発のヒント

コラムカテゴリ:ビジネス

皆様方、お世話になっております。日々雑感を綴っております。
5月に入り、新入社員の方々も新生活に慣れてきた頃でしょうか?
新人研修中の方もおられるかもしれません。

社員教育は無駄?

かつて在籍した会社は新卒は採用せず、中途採用のみを方針としていました。
発足当初からそうだったようで、私が在籍していた30年ほど前から続いていたようです。
その理由は『社員教育をしなくて良いから…』ということでした。
現在では中途採用、即戦力という言葉はありふれたものになりましたが、現在から数えておよそ半世紀ほど前は大変珍しいことだったようです。
確かにそのアイデアは良かったかもしれません。しかしながら、猫も杓子も即戦力、中途採用というのはいかがなものか?しからば、『誰が社員教育をするのか?』となってしまい、無責任さだけが蔓延することになってしまうのでは?と思います。
私の場合は、新卒の時は大学に新設された研究所の研究員で、単に箱モノを作って、中に人を入れ、ひたすら『成果を出せ』と言われるだけで、新人研修もへったくれもない状態でした。
その後は、中途採用ばかりになるので、そのまま新人研修というものを受けずに今日に至っております。

わざと失敗させる?

以前在籍していた会社では、新卒者には敢えて何も教えずに『わざわざ失敗してもらう』というのが伝統でした。

如何にも職人技をモットーにしている会社を象徴していました。
なお、職人技至上主義については、過去にも言及しております。
(しっかり読んでくれたことも…しかし…)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5151814/

てなことで、私の場合は新人研修を受けずにそのまま作業しておりました。
例えば金型を組んで樹脂を流し込んで硬化物を作る作業がありましたが、金型の組み方、樹脂の準備と流し方、その後の処理、それなりにノウハウがありました。
新卒者であれば、失敗して『ほれ見たことか!』で良かったのでしょうが、そうも行かないので何とかせねばなりません。
研究開発という部署は元々人員も少なく、他部署に行って、そのノウハウを教えてもらうことも多かったのですが、それがまた面倒がられることばかりでした。とはいえ、こちらも相手のやるがままでは何も進まないので、食い下がってノウハウの根拠を聞くようにしていました。まともな答が返ってくることは稀でしたが、世の中、如何にいい加減であるか?ということと同時に、人様に物事を心から丁寧に説明する難しさも学びました。
そんなこんなで、やっさもっさやりながら、試験サンプルの作り方も知って行くようになりました。
ところがいつまで経っても私は初心者の素人で、サンプル作りは『長年やっているオバハン社員の方が圧倒的に上手い!』というのが周囲の評価でした。
どうやら、ここでも先輩風を吹かすことが大好きな方がおられ、且つ周囲もそれを支えて助長していたようです。先輩風のことについては、下記にも・・
(ああ交響楽団!)
https://mbp-japan.com/hyogo/banyohkagaku/column/5159094/

ちなみにオバハン社員、会社あるある、至る所にいる、あの手の方々で、過去何人もの方々を思い浮かべてしまいます。故に特定の方ではなく、ここはザクっと『オバハン社員』で代表しておきます。

ベテラン?なのに30点!


ある時、そんなオバハン社員に作業を頼むことになりました。
ところが、そのオバハン社員は30点くらいの物しか作ることができませんでした。当然のことながら、こちらが悪いことになっていました。そこで、オバハン社員より経験の浅いお姉さん社員に頼んだところ、70点程度の物ができました。そして、最も経験の浅い私がやれば100点でした。結局、誰かに頼むことは止めました。
いったいその差は何だったのでしょうか?

手抜きは百害あって一利なし

結局マジメにやるか?やらないか?手を抜くか?抜かないか?の違いだけだったかと思います。
研究開発は常に失敗を意識します。
その際、何が原因であったかを考えますが、原因となり得るファクターを少しでも減らしておかねばなりません。作業の不手際は減らすことができるというのが基本です。その意識があるか?ないか?で大きく違ってきます。
更に、上記のように何か作業をする際、その背景や根拠を可能な限り知るように意識しておりましたが、それが生かされたのだろうと思います。
残念ながら、オバハン社員はやっつけ仕事でやっていたのでしょう。
そして、周囲も多くは易きに流れ、オバハン社員を絶対的な存在に祭り上げていたようです。

オバハン社員もいろいろ


さて、これは全く別の会社の伝説です。
そこの会社では何と上層部が先を争うように片っ端から女性社員を愛人にするような会社?だったようです。女性社員たちも望むところで如何に条件の良い愛人になるか?でお互い切磋琢磨していたそうです。ところが年数も経ると愛人稼業も続かないようで、単なるオバハン社員に戻されることになるのですが、その代償に権力だけは与えられていたようです。その結果、若手社員はいびられまくり、新人の定着率が悪かったそうです。もっとも、〇〇ハラスメントが無かった時代のことかもしれませんが…

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辻村豊

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辻村豊(合同会社 播羊化学研究所)

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