労働環境の安全性を確保することが、生産性や品質、信頼性の向上につながる（3/3）

大学院で安全行動学を研究し、安全について心理学からアプローチ

　藤本さんは北里大学卒業後の1972年、土木会社に入社しました。
　「大学時代は衛生学部に在籍し、ウイルスや病理などを研究していました。卒業と同時に半年間ほど中東を放浪し、帰国したところ病理関係の仕事がなく、畑違いの会社に就職したのです」
　業務の傍ら、測量士や1級土木施工管理技士などの資格を取得。さらに、基礎を学ばなければと考え、大阪工業大学の夜間部に編入して土木工学を専攻。大学の非常勤講師として教べんを執るまでに至ります。

　2012年には労働安全コンサルタントを取得し、「藤本労働安全コンサルタント事務所」を設立。開業後も、学んでいくことの大切さを痛感したと言います。
　「いざ資格を取っても、専門家としてスキルを磨く場所もなく、一人で何もできない状態でした。そこで、同じ考えを持っていた先輩コンサルタントと共に安全診断技術者協会の立ち上げを行いました」

　藤本さんの向学心はその後もやまず、2017年には大阪大学大学院に入学し、安全行動学を研究。「人間はなぜ、すべきでないことをするのか」という疑問から、安全について心理学からアプローチしました。

　「わが社の工場で働くすべての労働者は、毎日、1日が終わって安全に家へ帰る権利を持っている―。アメリカの製鉄会社・USスチールの社長だったエルバート・ヘンリー・ゲーリーの言葉を礎に、安全な職場作りに向け、これからも仲間と切磋琢磨していきたいですね」　

（取材年月：2023年7月）

■藤本吟藏プロのプロフィールを見る

⇒労働環境の安全性に配慮し、各分野の専門家が多様な問題に対応