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コラム

デジタル庁と行政のデジタル化について

2021年9月3日

コラムカテゴリ:法律関連

 いよいよ9月1日に菅内閣肝いりのデジタル庁が開庁しました。当初その最初の事務方トップのデジタル監に伊藤 穰一氏を充てる方向で調整中でした。氏はMITメデイアラボの元所長で研究者、起業家として実績のある方であり妥当な、ある意味無難な人事だったのですが、ただ不品行な行いをした資産家からの資金提供を受けた理由で職を辞した過去があり、その脇の甘さが問題を呼んでSNS等で批判が高まり抗しえないと思った政権はこの人事を白紙撤回しました。今回氏には事後処理等で批判されるべき行動もあり、まあやむを得なかったと思いますが、一面ではせっかくの人材が一度のミスで葬り去られるのはいささかもったいないという気もします。結局初代デジタル監には経営学者の石倉洋子氏が就任しますが、実務的指揮能力の点で若干不安がないでもないところです。今回はこのデジタル庁発足にあたり行政のデジタル化について少しお話したいと思います。
 デジタル技術の伸長にも関わらず、日本の行政のデジタル化が諸国より一回り遅れていたというのは否めない事実でしょう。その原因としては大きく3つほど上げられるかと思います。
 一つ目はハンコ、紙の文書といったアナログなものを全ての前提として基盤に考える行政文化です。これを改めるのはなかなか難しいとは思いますが、コロナ禍を始めとした昨今の社会の変化の影響で多少インパクトは受けていると思います。
 次は法文系人材の採用を優遇してきたことによる、行政組織内のデジタル対応人材の層の薄さです。これはデジタル庁での民間登用も含めた人材採用により補ってはいますが、まだまだ長期的な採用方針も含め努力していかねばならず、一方で社会のデジタル化により民間でもデジタル対応人材は不足し取り合いになることが予想され悩ましい問題です。
 三番目は中央各省庁、地方自治体で非統一的に採用がなされた結果各組織でシステムが異なりデータ連携をとることが難しいという問題です。どこかの組織がヘッドを取って基本規格を定め一気に揃えれば、と思うのですが縦割りの問題もあり中々難しいのでしょうかと思っていましたら、進展があり、政府は、地方自治体の基幹17業務のシステムの仕様を全国で統一し、全自治体に、2025年度末までにその仕様に沿ったシステムに移行するよう求める法律を5月に成立させました。実現すればシステム改修などにかかる費用が減り、国は職員や業者の負担が減るとしています。ここで注目されるのがいわゆる地方IT業者(ベンダー)の存在です。地方ベンダーは地方自治体や地方の有力企業の影響下で作られたものも多く、地方自治体と密接な関係を持ち独自の仕様の採用によるいわゆるベンダーロックイン問題などの原因ともなっていました。これが今回の改正に伴い変化してくるでしょう。ある意味ではいわゆる大手ベンダーが共通仕様と資本力の利点によりシェアを拡大していく傾向も出るかと思いますが、それに留まらないビジネスチャンスになるのではないかと思います。改正についてゆけない地方ベンダーの中には取り残される者も出てくるかもしれませんが、一方で新仕様にチャレンジしていこうという地方ベンダーには現状より地域的に拡大するチャンスとなるからです。また仕様が共通化されオープンになることで新規参入のチャンスも増えるのではないかと思います。基本仕様の共通化によってナショナルな統一性を持つとともに細部で地方独自の目線で気の配られた良いシステムが出来ることを期待したいです。
 それから日本の問題としてマイナンバーという制度があるものの、真に国民共同番号的な存在になっておらず、普及も未だしということがあります。私も持っていますし行政書士会ではとることをお勧めしていますがまだ今一使いがいがないようです。しかし今後健康保険証や運転免許証を兼ねる方向で進んでおり、マイナポータルとの連携によりスマホでできる行政手続きも増えてくるということなので、まずは次善の策としてこれを有効活用せざるをえないでしょうからもう少し普及させたいものです。
 基本的には文化、哲学の問題になり、組織を新設して一丁上がりになるわけではないと思いますが、新設する以上は有益な方向に進むことを期待したいものです。

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この記事を書いたプロ

古瀬一幸

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古瀬一幸(古瀬行政書士事務所)

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