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砂田嘉寿子

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コラム

「石を継ぐ者」  おんな城主直虎・最終話より

映画を見れば「お墓」がわかる!

2018年1月2日 / 2018年1月25日更新

明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

さて年末のお楽しみといえば、大河ドラマの総集編です。
今回の「おんな城主直虎」は、途中の放送を見逃してしまっていたごので、この総集編を楽しみにしていました♪

その最終話「石を継ぐ者」。
「石を継ぐ者」といえば、われわれの業界では「墓守」=「お墓のまもりびと」を指すので、このタイトルからの最終話がどうなるのかワクワクしていたのですが、ここでの「石」は、(やはり)墓石ではなく、「碁石」でした。
字面は似ていますが、墓石とは似ても似つかない、親指と人差し指で持つことができる、小さな石です。

おんな城主直虎 碁石

この小さな石に込められた「大きな魂と祈り」が、三人の人間の手にわたり、物語の核となっていたのが、おんな城主直虎の最終話「石を継ぐ者」なのです。

一人目:小野政次の祈り

高橋一生さんが演じた「小野政次」は、代々、井伊家の家臣でした。しかし、小野家は政次の父の代から奸臣の疑いがあり、政次の動きも裏があるのではないかと、つねに疑いの目が向けられているという微妙な立場でもありました。

柴咲コウさん演じる「井伊直虎」とは、幼なじみでもあり、主従関係でもあり、この大河ドラマでは、淡い恋愛感情を抱く関係としても描かれていました。

その政次が徳川家康に仇をなす者として、捕らえられ、処刑されてしまいます。
無罪の政次を助け出そうと画策する直虎でしたが、政次は自分の命が犠牲になることで、愛する者に害が及ばないようにしたいという信念があり、助けをも無視します。
その政次が辞世の句とともに残したのが、一つの白い碁石でした。

NHK「 おんな城主直虎」公式サイトより

その句とは、
『白黒をつけむと君をひとり待つ 
天つたふ日ぞ楽しからずや』
です。

井伊家を守りたい直虎は、徳川家と内通することで、お家の存続を賭けたわけですが、その徳川家から謀反の疑いをかけられた政次。
直虎、そして井伊家にとっても裏切り者として死ぬことで、直虎を守りたいと考えた政次が残した、この句の「白黒をつける」には、他の者が読めば「最後の決着」の意味にも捉えることができます。

ようやく直虎へ、自分の真意に沿った決着(裏切り)をつけられ、本望だというふうにも読めます。

しかし、政次の真意が「裏切り」ではなく「犠牲」だということを何となく知っていた直虎には、この「白黒をつける」は、碁石のことを意味していることが伝わったはずです。

NHK「 おんな城主直虎」公式サイトより

いつも二人で碁をうっていた、懐かしい時間。
政次は、またその時が来るのを来世で待てるのなら、これほど楽しいことはない、と遺していったとも取れるのです。

二人目:井伊直虎の祈り

そして、直虎。
戦国の世では、彼女の近しい者が愛する者を守るために、簡単に命を落としていくさまに心痛む日々を送らなければなりませんでした。

「争いのない、平和な世がきて欲しい」

そんなとき、政次が残した白い碁石を直虎に差し出す南渓和尚。

NHK「 おんな城主直虎」公式サイトより

政次が命を犠牲にしても守りたかったのが、直虎の命。
その「命」を使って、どうしたいのかを直虎に聞きます。

「虎松(後の井伊直政)を使い、徳川家康に平和な世を目指してもらうように、もっていく」
直虎は、白い碁石を見つめることで、自分の使命を知るのでした。

三人目:井伊直政の祈り


NHK「おんな城主直虎」公式サイトより

そして直虎の死後、万千代となった虎松に南渓和尚が、あの碁石を渡します。
「それは井伊の魂じゃ。なんだと思う?」

井戸端の拾い子が作った国・井伊。万千代は、身分関係なく、よそ者にもやさしい殿(直虎)が、戦わずして生きていく道を模索していたことを思い出します。

小さな谷で頑張った直虎。それを日本という大舞台でやるのが、自分の使命であると気づいた万千代は、その後、井伊家に伝わる「直」と、小野家に伝わる「政」を拝し、「井伊直政」となります。そして、徳川がつくる200年の平和の世の礎となり、井伊家もふたたび甦るのでした。

まとめ

小さな碁石が、世代を超えて「祈り」と「願い」を伝えていった「おんな城主直虎」。
意志を見出す「石」であり、礎の「石」でもあった碁石。

私たちが扱う「墓石」も、そんな「石」であるはず。
誰かが残した「石」が、そうした小さな祈りと願いを受け継ぎ、命となるようにするのが私たちの使命でもあります。

2018年、今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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