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砂田嘉寿子

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砂田嘉寿子(すなだかずこ)

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コラム

【素焼きのままで】骨壺とお骨の奇妙な関係

お墓に納骨

2017年10月7日

先日、このようなお問い合わせをいただきました。
「お墓のお骨壺が割れてしまったので、新しい骨壺をお寺で用意してもらったけれど、割れた方の骨壺はどうすればいいですか?」

骨壺 割れる

このお問い合わせに対しては、これまで「割れた骨壺をこちらで引き取り、処分しますよ(処分費@千円)」とお答えしていました。なぜなら多くの方が、骨壺の手配から石材店にお願いするので、割れたお骨壺は必然的にこちらで引き取ることになるからです。

「割れたものを墓の底に敷いてもいいの?」

お客さまは続けて、こうおっしゃいました。
そこで私の脳裏に浮かんだのは、縄文時代の埋葬法です。

縄文人の埋葬といえば、土器と一緒に発掘された遺体の数々。
遺体の底には割れた土器が敷かれていて、その上に遺体が安置されていた当時の埋葬法です。

陶器製の骨壺とは違い、富山で使用されている素焼きの骨壺は「自然に還る」という意味があるので、たとえ割れて中からお骨が出てしまっても、そのまま土に還せるようになっています。

素焼きの骨壺 骨壺.comより

お骨を入れ替えるというお話しだったので、骨壺は処分となると考えましたが、お客さまがおっしゃるように、墓の中にそのまま骨壺を入れておいても何ら問題はないのです。

お骨は土にほんとに還る?

素焼きの骨壺といっしょに土に還るお骨といいましたが、ここでふと疑問が湧いてきます。
さきほどの縄文人です。
あれ?なんかおかしくないですか?約6万年前の遺体が発掘されてるんですよ。

土に還ってなくないですか??

この「遺体やお骨は土に還るのか」という問題について、兵庫の石屋さんがブログに3回にわたってまとめられていました。
お骨は土に還る?
お墓とはお骨が土に還るシステム

こちらのブログを私なりに要約しますと、
「お墓はお骨を土に還すシステムとして存在していて、そこには日本人の民族としての霊魂の概念が宿る装置でもあるが、じっさいにはお骨は簡単には土に還らず、現代においては「骨壺」がそのことを象徴している」
となるでしょうか。

縄文人の遺骨すら発掘されるのですから、火葬で焼骨されたお骨はなお、土に還りにくいはずです。

素焼きの骨壺は願望の現れ?

お骨は簡単に還らない。
土壌の関係などいろいろな要因や要素がからむことですが、これはもうしょうがない。
自然食しかなかった時代の縄文人でさえそうなんですから、加工食品を食べている私たちが、彼らより自然界に受け入れられるとも思わないですし。

ではお骨が土に還らないのに、素焼きの骨壺なんか意味あるのかって話ですよね(たしかに陶器に比べて破損しやすいですし…)。

きっと「自然に還る」という言葉には一種の幻想というか、憧憬がひそんでいて、私たち人間はそこから逃れられないのだろうと思います。
それは文明が進めば進むほど。

その願望が「素焼きの骨壺」に現れているのではないかと。
心理学者フロイト流に言えば「無意識の願望」。
そう考えるとお墓そのものが、「無意識の願望」であり、無意識下でみる「夢」のような存在なのかも―。

夢 フロイト 無意識

「みなす」ことと「物語」を編むこと

日本人は「見なす」ことが得意な民族です。
たとえば「二人羽織り」なんかはその象徴ですよね。黒子も同じです。



後ろに人がいるのはわかっているけど、そう「みなす」こと。

「素焼きの骨壺で自然に還る」とみなす。
「お墓は生命の循環である」とみなし、民族的な一大物語を編んできた私たち。

得意分野を長い年月にわたって、上手に昇華してきたのがお墓の文化ではなかろうかと。
誤解を恐れずに言うならば、「お墓」がそういう日本人の特異な能力を生かすことに寄与し、文化の発展に役立ってきたとも。

そんな隠された私たちの願望や夢がつまっている「素焼きの骨壺」。それをずっと後の時代の人たちが発掘して、そのときに感じてくれたら良いですよね。
「昔の人間も自然に還りたいと願っていたのか」と。

それでは本日のおすすめの曲はビリージョエルの「素顔のままで」。原題は「Just the way you are」。

素顔のままの、ありのままの君でいて。




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