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語学における「単位」の重要性

2019年12月21日

コラムカテゴリ:スクール・習い事

昨日、 ロシアの無線局とモールス通信をしていたら興味深い電文が飛んできました。

「当地の気温は32度です・・」
この冬のさ中に寒いロシアが真夏日の訳がありませんので摂氏ではなく華氏だと判断できます。

ちなみに当館での英語学習では単位の学習もします。
というのは、日本とは違う単位を認識できなかったら文脈を判断できません。

1. 例えば
「正直者エイブ(若き頃のリンカーン、後の大統領)は、わずか6セント(日本円で7円ほど)のお釣りの間違いに気付き、わざわざ3マイルの道を歩いて返しに行った」なる記述で3マイルが如何ほどの距離なのか分からなければ遠いのか近いのか分かりません。

2. 例えば
「犯人はわずか4ガロンのガソリンの為に人を殺した」と出てきた場合、4ガロンが何リットルなのか分からなければ犯行の凶悪さ(虚しさ)を理解できません。

3. 例えば
「フィアンセをアパートに招いたメアリーはディナーの準備にビーフを1/4ポンド購入した」との一節で、1/4ボンドとは何グラムなのかが分からなければ文脈を読み取れません。

4. 例えば
「アイスランドの首都レイキャビクの1月の平均気温は華氏39.4度である」という記述に意外な驚きを感じるためには摂氏と華氏を換算する能力が求められます。

マイルは概ね1.6km、ガロンは概ね3.8リットル(概算では4リットルと取ります)、1ポンドは概ね450グラム、摂氏×9/5+32=華氏になりますので

1の場合、若きリンカーンは7円のために5km近く(往復10km)を歩いたことになりますし
2の場合、16リットル(売価で2000円ほど)のために人命が奪われていますし
3の場合、お金に困っていたメアリーは愛する彼のため無理して110グラムばかりのお肉を用意しましたし
4の場合、アイスランドというと厳寒のイメージがありますが1月の平均気温が摂氏4.1度もあるなんてビックリです。

事ほど左様に語学力には「単位互換力」も求められるのです。
特にリスニングで飛んできた際は瞬間に理解しなければなりません。日頃からモデルケースを作って鍛えておくことが肝要です。

例えば温度であれば、水の氷る温度を我々は「0度」と習いますが華氏では「32度」になります。
同様に100度の沸点は212度、我々が「いやー暑くなった、30度越えたよ」という感覚は華氏では「90度あるぜ、参ったな・・」となります。

今回のモールス通信ですがロシア局は「今日は見事な快晴です。晴れ上がっています。気温は32度です」と打電なさってこられました。
ロシアで今の時期に摂氏0度は暖かいなぁ、と思いつつ返電しました。
「了解しました。当地の天候は晴れ、気温は30度、(あ、打ち間違えた・・)、40度です」

正確に計算する暇はありませんので摂氏5度くらいのあたりをねらって適当に40度と打電したのです。
ところが指が滑って、最初は30度と打ってしまい、急いで40度と打ち直したのですが、相手局様は最初の30度をメモなさったようで次の返電に「えー30度ですか、こちらより寒いんですね!」と打って来られました。今さら訂正するのも面倒でしたので「え えぇ まあ・・」て感じで先へ進めました(笑)~

ps
上の3の事例ですが、その後はどうなったのでしょう?
貧しいメアリーは愛する彼をもてなさんがために苦しい中から無理して高級なビーフを買ったのです。
でも110グラムぽっちしか買えなかった自分が惨めでした。
さて、部屋にやってきた彼はどうしたのでしょうか。
1.
空腹を抱えてやってきた彼は質素な食事に気分を害し、「なんだ、これっぽっちじゃお腹が一杯にならないよ」と彼女を責めた。
2.
普段、化粧けっもない質素な彼女が自分は食べないビーフを用意しているのを見て胸が一杯になり、何も食べられなくなった。
3.
突然、彼の胸にある思いが沸き起こった。重荷を背負わない人などいるのだろうか。野に転がる石でさえ、地を流れる水でさえ・・





当館のモールス通信例

  

この記事を書いたプロ

上野伸彦

英語個別指導のプロ

上野伸彦(英語の以学館)

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