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【今さら聞けない】企業型確定拠出年金(企業型DC)の内容と改正のポイントは?

2022年8月12日

テーマ:株式投資

コラムカテゴリ:お金・保険

コラムキーワード: 投資信託資産管理確定拠出年金


みなさんこんにちは。WealthLeadの薄井です。
今回は「企業型確定拠出年金」についてお話していきます。お勤めの会社にこの制度がある方、必見です。さらに2022年10月には制度の改正も控えており、この改正によって使いやすさが大きくアップします。このコラムを最後まで見て、豊かな老後の為に賢く資産形成していきましょう!

<企業型確定拠出年金とは>

まず初めに企業型確定拠出年金とは何なのかを見ていきます。
企業型確定拠出年金は企業型DCとも呼ばれ、日本の年金制度のひとつです。

日本の年金制度は大きく3つに分かれています。いわゆる3階建てというものですね。
1階部分が国民誰もが加入する「国民年金」、2階部分には会社員などが加入する「厚生年金」。この1階、2階を合わせて「公的年金」といいます。
そして3階部分には「私的年金」。企業型DCはこの3階部分にあたります。

私的年金とは公的年金の上乗せの給付を保障する制度となっています。その中の確定拠出年金は「個人型」と「企業型」の二つに分かれています。

企業型確定拠出年金を分かりやすく理解できるように、分解してみてみましょう。

企業型→企業が用意して従業員が加入する
確定拠出→掛金は決まっているが、運用結果によって受取額は変わる
年金→60歳以降に受け取れる年金制度

と、このようになっています。

ちなみにiDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金は、企業型とは異なり、自分で掛け金を用意して運用していく年金制度となっています。
iDeCoについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
https://mbp-japan.com/tokyo/wealthlead/column/5109221/

会社が拠出して自分で運用する企業型DCには拠出の方法が大まかに2つあります。
一つ目は、給与とは別に会社が上乗せで拠出する「給与上乗せ制」
二つめが、会社があらかじめ生涯設定手当等で枠を決定し、その枠の中で拠出するかしないかを自分が決める「選択制」。拠出しなければ給与として受け取ることもできます。上乗せ制と選択制の複合型も可能です。

<企業型DCのメリット>

企業型DCの最大のメリットは、拠出時、運用時、受給時のすべてで税制優遇があることです。

まず拠出時。
企業DCの掛金には、所得税・地方税がかかりません。さらに社会保険料もかかりません。

年齢30歳、給与25万円の方の例です。
もし個人がなんの制度も使わずに貯金をしていく場合、通常は、給与として1万円貰って、社会保険料や税金が引かれた後の手取り金額からを積み立てることになります。
企業型DCの場合は、会社が直接加入者の口座に掛金を拠出しますので、社会保険料や税金がかからず、丸々1万円を積み立てることができます。
iDeCoの場合も、税金はかかりませんが、社会保険料は引かれた後の手取りから積み立てますので、この面では企業型DCの方が有利と言えます。

そして運用時は、毎月積み立てて運用した結果、いくら利益が出ても非課税です。
受け取る時は、一括で受け取れば退職所得控除、年金方式で受け取れば公的年金等控除が使えます。

加えて、企業型DCは手数料がかからないというメリットがあります。
企業型DCでかかる手数料は会社が負担してくれています。そのため、個人で負担する手数料はありません。一方のiDeCoの手数料は個人負担となりますので、これも企業型DCのメリットですね。

<企業型DCのデメリット>

よくデメリットとして挙げられるのが、企業型DCは原則、60歳まで引き出すことが出来ないという点です。必要な時に好きに引き出しができないのは一見デメリットと捉えがちですが、裏を返せば、確実に老後資金を貯めることができるということになります。考え方次第ですが、人によってはメリットでもあると思います。

また、先ほどの拠出する方法によっては、具体的には公的年金が減る可能性があります。各個人の給与水準によっても違いますので、気になる方はお勤めの会社に確認してみてください。
ただし、拠出することで現役時代に支払うはずだった所得税、地方税が削減できることを考えれば、たとえ将来の公的年金が減ったとしても、拠出した方がおトクであるということは明白です。

<転職したときは>

次に、転職や退職時にどうなるか気になると思いますが、企業型DCは、持ち運びが出来ます。
転職時は、転職先に企業型DCがあれば転職先の制度に移換が出来ます。
また、転職先に企業型DCが無かったり、退職した場合は、iDeCoに移換することが出来ます。

このように、メリットの多い企業型DCですが、実はよくわからないまま放置されている人がとても多いです。
「最初に会社から説明会があったけど、内容を覚えていない」とか、「初期設定のままほったらかし」といったことに心当たりがある方は、一度、自分の会社の制度とご自身の現状を確認してみることをおススメします。

<2022年10月 改正のポイントは>

そして、2022年10月には企業型確定拠出年金に大幅な改正が行われます。
気になる改正の内容は「iDeCoと併用しやすくなる」という点です。

ここからはiDeCoにも触れながら解説していきます。
実は今まで企業型DCに加入している方の多くは、iDeCoに加入することができませんでした。その理由は、企業型DCを実施している会社の従業員の方が、iDeCoに加入するには、会社と労使合意することや、規約の変更が必要となっているのですが、多くの会社は、その変更等を実施しておらず、企業型DCとiDeCoとの同時加入が認められていなかったためです。10月の改正ではそれが撤廃されて、本人の意思だけでiDeCoに加入できるようになります。

この改正でこのような方が恩恵を受けることができます
【企業型DC掛金の少ない方】
今まで企業型DCに加入していた方の中には、会社の制度によって企業型DCの上限5.5万円を有効活用できていなかった方もいらっしゃいました。
企業型DCとiDeCoの併用が可能になることで、今まで企業型DCを有効活用できていなかった方も、iDeCoで最大2万円まで拠出をすることができるようになります。
ただし、iDeCoと企業型DCの掛金の合計が5.5万円以内というルールもあるので注意してください。企業型DCですでに満額拠出している人も併用はできませんのでご注意ください。

限度額以外にもメリットはあります。
【会社が用意した商品がイマイチだった方】
企業型DCはお勤めの会社が決めた商品ランナップの中から運用する商品を選ぶことになります。用意してくれたはいいけど商品がどれもイマイチ、なんて方も結構多くいらっしゃいます。せっかく拠出をするのに信託報酬が高かったり、パフォーマンスがあまりよくなかったりというのはとてももったいないです。
実際、ラインナップがあまりよくないケースがまだまだ残っているのが事実です。
今までであればどんな商品ラインナップであってもお勤めの会社で企業型DCを利用せざるを得ませんでした。

しかし、この改正によって並行してiDeCoでも拠出できるようになります。iDeCoでSBI証券や楽天証券などのネット証券を選べば、eMAXIS Slimシリーズなどのコストが低く、高品質な商品で運用が可能になります。企業型DCとiDeCoのそれぞれの口座を管理することにはなりますが、企業型DCの商品ラインナップに不満をお持ちの方はぜひ活用するようにしてください。

<まとめ>

・老後の資産形成を支援する制度であり、税制優遇が充実
・まずは内容を把握して、最大限有効活用!
・2022年10月からはiDeCoとの併用が可能に

現在、老後の暮らしは公的年金だけでは不十分だという認識が国民の皆さんに定着しつつあります。今回お話した企業型DCはそんな不安を打開するためのとても有効な制度です。
制度の内容をしっかり理解して、豊かな老後の為に賢く資産形成していきましょう!

このコラムは動画でも解説しています。ぜひご覧ください。

この記事を書いたプロ

濵島成士郎

真にお客さま側に立つファイナンシャルアドバイザー

濵島成士郎(株式会社WealthLead(ウェルスリード))

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