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浅賀桃子

働く人のメンタルヘルスを支えるカウンセラー

浅賀桃子(あさかももこ) / 産業カウンセラー

ベリテワークス株式会社

コラム

中小企業の過重労働者の面接指導の対象者の基準は?

2018年6月28日

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

コラムキーワード: 過重労働

過重労働者の基準と考え方

平成20年より適用されていた「長時間労働者への医師による面接指導制度」では、労働者の長時間労働を「月100時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積が認められる者」と「月80時間超の時間外・休日労働を行い、疲労の蓄積等が認められる者」、「事業場で定める基準に該当する者」と定義しています。
この長時間労働者への医師による面接指導制度は長時間労働と「脳血管疾患及び虚血性心疾患等」の発症との関連性が高いとされる医学的知見を踏まえて定められたものです。
また、労災認定された自殺事案には長時間労働であったケースが多いことも理由の一つです。
労働者の過重労働を予防することは脳・心臓疾患の発生やメンタルヘルス面に大きな影響を与えることになるでしょう。

時間外・休日労働時間による諸要因を加味する

長時間労働によって健康障害のリスクが高まるのは、単に長時間の労働による肉体的、精神的負担だけではありません。
時間外・休日労働時間が月100時間を超える場合、2~6ヶ月平均で月80時間を超える場合などは非常にリスクが高くなりますが、これは睡眠や休養の機会が減少しており、疲労の回復が追い付かない水準であると考えられます。
つまり、業務の過重性を労働時間だけで判断するのは正しいとは言えず、就労様態の諸要因を総合的に評価して行われなければ意味がなくなってしまうのです。
そういった面を考えると、あらかじめ事業所独自の長時間労働の基準や、就業場所の変更、作業の転換など前もって対策が必要です。

事業所に適した面接指導の基準作りが重要

事業者の義務としては、時間外・休日労働時間が1月に100時間を超えて働き、かつ、疲労の蓄積が認められる者(申出による)と月2~6月平均で月80時間超の労働者とされています。
しかし、事業者はこうした基準に沿って行動するのでは十分なリスクマネジメントができているとは言えません。
労働者に面接指導を実施する基準の策定を衛生員会等で定め、また時間外・休日労働が発生している労働者についても、健康への配慮が必要な者の範囲と措置について検討することが重要です。
また、できれば基準の策定には産業医や産業医の要件を備えた医師の意見を踏まえることが求められます。
過重労働者を単に時間外労働や休日労働に限定せず、さまざまな要因を加味することでより事業所に適した面接対象者の基準作りができるでしょう。

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