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上野誠

10年のFP実務経験を持つ行政書士

上野誠(うえのまこと)

うえの行政書士FP事務所

コラム

「認知症になると家が売れない」と言われるのはなぜか?

終活 遺言 相続

2018年3月6日

こんにちは。
練馬区の行政書士・ファイナンシャルプランナー上野誠です。

このところ成年後見制度についてのお話をしています。
前回同様あくまで基本的なお話ですので、主に制度をこれから利用しようと検討されている方が参考にしていただければ幸いです
今日はちょっとお話が逸れますが時折耳にする「認知症になると家が売れない」というお話についてお話することにします。

実家の名義は誰ものか?

よくある事例ではありますが例えば認知症になった親の介護に関する費用に充てるべく子が家を売ろうと考えたとします。
しかしこの場合子が親に代わって親の家を売却することはできません。

その理由ですが、家の名義人はあくまで親です。
したがって親の財産処分について何の権限もない子が勝手に処分、このケースで言えば売却する権限は認められていないのです。
実務的には不動産の売買に関係する宅地建物取引業者の方や司法書士の方等も本人の意思を確認するわけですが、不動産の売買という大きな財産の処分を認知症等の方が行うのは難しいでしょう。
無理に売買取引を行えば無効な取引となってしまい買主さんなどにもご迷惑がかかることになりかねません。
事情はわかるのですが、このようなケースにおいてはこのままの状況では売却できないわけです。

そこでこのような場合に法定後見制度を利用する場合があります。
すでにこの成年後見のお話しで取り上げた裁判所ホームページで公表されている「成年後見関係事件の概況」平成28年版の中で「申立ての動機について」という資料があります。
これによれば「不動産の処分」を申立て動機に挙げた方が昨年の成年後見事件の申立て総数34,429件のうち6,463件ありました。
動機は複数回答であるためこれをもって単純に多いとは言えませんが、この「不動産の処分」の必要が出てきたために手続きをしようと思ったところ先程お話ししたような壁にぶつかり後見制度を利用することになった、という方も多いのではないでしょうか。

居住用不動産は家庭裁判所の許可が必要

後見人が選任されても被後見人となった親の「自宅」を売却する場合は事前に家庭裁判所の許可が必要になります。
そのため今度は「居住用不動産の売却許可」に関する申立を行うことになります。
この申立をしないで売却を行っても効力はありません。
またそもそも売却をしなくても、冒頭の例でいえば施設の入居費などの費用を他の金融資産等で賄うことができればそもそも売却自体が許可されない、ということもありえます。

この「自宅」、「居住用不動産」とは「現在住んでいるところ」という意味に限りません。
例えば被後見人が現在有料老人ホームに入所しているとします。
しかし入所前に住んでいた持ち家があれば、この住居は「自宅」と考えられます。
したがってこのケースでは裁判所の許可が必要になります。
つまり戻れる自宅がある、という場合においてその自宅を売却するという場合にはやはり許可が必要になってくるわけです。

売却許可を求める申立書には「自宅」の登記簿謄本や売買契約書案も添えて提出します
実際の契約書案や売却金額などについては不動産業者さん等に相談するといいでしょう。
また「居住用財産の処分」は自宅の売却のみならず自宅の担保設定や賃貸借契約の解約なども含まれます。
こういった特別な事案について不明な点は専門家に相談することをおすすめします。

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