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恐ろしや! 借入れ時気にしてない損害金というお化けの存在

2015年2月10日 公開 / 2015年9月27日更新

コラムカテゴリ:住宅・建物

H27、2/9

HPアドレス 
http://www.taisei-kikaku.com/index.html

融資時には何も気にしていない遅延損害金というお化けが、債務不履行と同時に、気持的には突然現れるといった感じで現れます(その問題自体理解していないのが現状)。改めてこれを認識したうえで本当に注意を喚起するというお話です。

当然だと思いますが借入れ時の借り手心理は、借入れる気持が先行し、不履行があり得ることまで考え及ばない上に、遅延損害金の存在や利率などは後回しでまったく頓着しないのが実体ではないかと思います。

従って、貸し手が提示した契約書にメクラ判を押す。貸し手が都市銀行・地方銀行・信用金庫等ならば、借り手に理解力がなくても、彼らはこれでもかと言うくらいしっかりとした説明をします。(逆にこちらの理解力の問題?) 

ところが、問題はそれ以外の余り好ろしくない金融屋(東京都貸金業者登録しているが資格を隠れ蓑にして実体は闇金まがい)と称する業者で沢山あり、彼らは利息制限法以上の儲け狙いでグループだが他人を装いつつ連携して一旦原話メールした顧客を離しません。絶対に近づかない様、関らないよう、に本当に要注意です!

(余談:私はある貸金業者(実質闇金)+不動産業者のグループ会社+取巻き業者と戦っています。固有名詞や悪行の数々を知りつくし、更に個々の調査も行い、直に対峙したこともあります。この件では警視庁・東京都貸金業対策課・東京都不動産業課等を度々訪問し説明しています。)

基礎知識 (1)抵当権と根抵当権の精算時における違い

根抵当権は、極度額という上限額を定め、金利を含めたその範囲内での貸し借りですので、債務不履行による「期限の利益喪失」後の遅延損害金がいくら発生しても最大の弁済額は登記されている極度額を超えることはありません。

しかし抵当権の場合は、「期限の利益喪失」時点の元金残額に対して遅延損害金が発生します。つまり担保提供した不動産に設定された債権金額以上の弁済額になることがあるということです。但し民法(375条)で遅延損害金を認める期間は2年間と定めています。この制度趣旨は後順位債権者及び一般債権者保護のため限度期間を設けているのです。

基礎知識 (2)期限の利益の喪失とは

期限の利益の喪失とは、期限到来までは債務の履行をしなくて良いという債務者の利益のこと。期限の利益の喪失とは、債権者への返済金払いが滞った場合等、債務不履行した場合、債権者は債務者の期限の利益を喪失させ、期限到来の前であっても、債務の履行を請求することのできるにすることです。借入時に取り交わした金銭消費貸借契約書にはほぼ一様にその特約条項があり、そん時点から遅延損害金が発生することが記載されています。

遅延損害金の利息制限法での上限利率は、借入額100万円以上の場合21.9%、10万円以上100万円未満の場合26.28%、10万円未満29.20%と定めています。実際の利率はまちまちですが、昨年扱った事例ですと信金で18%位、ノンバンクに至ると上限の21.9%のように、遅延損害金は本当に恐ろしいものです。

但し、抵当不動産に係る残債務額が期限の利益喪失時点で既に債務超過しているような場合はどう転んでも全額弁済できないわけですから開き直って慌てず競売を待つのも一つの方法だと考えます。

しかし、もし不動産価値の方が上回っている場合は、急ぎ売却弁済し、手残り差額(オツリ)を立ち直り資金としてしっかりと確保すべきです。



事例) 昨年、こんなことがありました。自宅を会社に担保提供されたある社長さんのことです。この事例は、正にこの抵当権(根のない)の怖さを物語っています。

「期限の利益喪失」(倒産による)時、債務残高は元金ベースで不動産価値は上回っていいる物件でした。その時点、売却弁済すれば、まとまったお金が残った筈でしたが、会社倒産後、既に2年も放置し昨年競売を申立てられた慌てられたわけです。

会社倒産による債務不履行ですので、競売申立てされても致し方ありませんが、何で2年もの間、債務者は善後策を取らず全てが後手に回り、また抵当権者も法的措置を取らずに放置されていたのか、私は疑問でした。

後手後手になった一番の理由は、以前抵当権者(信用金庫)の支店担当部長が社長に話された「元金弁済すれば抵当権を抹消する。」という言葉を信じたからだと思います。そして私も直に言質を取りましたが、半信半疑でした。本来不良管理物件ですから本部扱いの筈が、支店の担当課長がそのようにのたまうのです。私とすればこの言質が乾かぬうちにと思って急ぎましたが、案の定、1か月も経たないある日、信用金庫は決算期を控え、サービサー(債権回収会社)にあっさりと債権譲渡されてしまいました。社長が当てにした信金の言葉はこのように反古にされ裏切られたのです。

抵当権者(信用金庫)側から見れば、今回のケースの債権は完全に保全されている上に遅延損害金が約束されているわけですので、慌てることもなく、信金の経営的タイミングに高額譲渡されたと思います。

本任意売却においては、この問題以外にも、ノンバンクの抵当権、並びに会社の一取引先の仮差押えもあって、これらの調整には思いのほか大変な作業となりました。そして当該サービサーからは少しの譲歩を得ても金融屋特異の契約主義のもと多額な遅延損害金が加算され、社長の手残りは次々と削られるという気の毒な遣る瀬ない結果で終りました。

教訓:①不動産価値が債務額を上回っている場合 一刻も早い決断こそ重要な防御です! 1年・2年はあっという間に過ぎ去るということを肝に命じて!  ②債務不履行後、抵当不動産の管理は支店から本店に移管、つまり意思決定は本店!  ③本店の意思決定はその時々で変わるもの!

                       記:大森孝成

この記事を書いたプロ

大森孝成

債務者を救う事業再生・任意売却アドバイザー

大森孝成(合資会社大誠企画)

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