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松本すみ子

シニアライフ&シニア市場アドバイザー

松本すみ子(まつもとすみこ) / キャリアコンサルタント

有限会社アリア

コラム

「フリーランス・ガイドライン」は新しい働き方を守れるか

2021年8月31日

テーマ:定年後も働く

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 働き方改革労働問題労働基準監督署 相談

シニアにもフリーランスが増える


70歳まで働ける社会を実現するための「高年齢者雇用安定法(通称:70歳就業法)」では、従来のように継続して雇用する方法のほかに、起業やフリーランスとして働くことへの支援が企業側に努力義務として課されました。
特に、フリーランスは多様な働き方の一つとして世界の潮流でもあり、国も注目しています。そのため、2021年3月に『フリーランスとして安心して働ける環境を 整備するためのガイドライン(http://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/210326_guide_gaiyo.pdf)を作成しました。
今後は定年後の働き方の一つとして、フリーランスが的な働き方が増えていくのは間違いないところ。若い世代だけでなく、シニア世代もリタイア後に備えて、このガイドラインの内容をよく知っておくことが重要です。

そもそもフリーランスって、なに?


フリーランスの定義は今まであまり明確ではありませんでした。『中小企業白書』に、「特定の組織に属さず、常時従業員を雇用しておらず、消費者向けの店舗等を構えておらず、事業者本人が技術や技能を提供することで成り立つ事業を営んでいる者」といった記述がかろうじてあったくらいです。
今回のガイドラインには「フリーランスとは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、 自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と、定義が明確に記されています。
コンサルなどのいわゆる一人で仕事をしている「士業」の人や「個人事業主」、ライターやアーティストなどがフリーランスに当る人は大勢います。今回、私自身が認識を新たにしたのは、会社という形をとって社長という立場にあっても、従業員を雇用してない一人社長であるならば、フリーランスに当たるということ。この定義では、私もフリーランスという位置づけになるようです。「へえ、そうなんだ!」と思ってしまいました。
ガイドライン策定の目的は、既存の法律に則り、依頼主(発注事業者)が優越的な立場を利用して、不利益な契約や働き方をフリーランスに強要することは違反に当たるということを明らかにすることです。
フリーで働いたことのある人なら、依頼主から納得いかない扱いをされた経験は少なからずあるのではないでしょうか。私にも経験があります。仕事では依頼主との間に多少なりとも上下関係のようなものが生まれがち。また、こちらは仕事が欲しいという弱みがあるので、無理な要求や条件を受け入れてしまいます。
では、どんな具体的が示されているかを、ガイドライン・リーフレット (https:/http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/portal/new_workstyle/freelanceleaflet.pdf)に基づいて見ていきましょう。

フリーランスガイドライン

優越的立場を利用した不利益な事例とは


このガイドラインに関係する法律として、独占禁止法と動労基準法などの労働関係法令があります。労働基準法は納得ですが、独占禁止法? どんな関係があるのでしょうか。つまり、「優越的地位にある事業者が正常な商慣習に照らして、不当に不利益を与えることは公正な競争を阻害するおそれがある」という解釈です。
まず「支払いが遅い」「契約後に減額を要求してき」「依頼してきた価格が低すぎる」という報酬の問題があります。トラブルはお金に関するものが一番多いのではないでしょうか。依頼してきた額が低いと思っても、たいていは受けてしまいます。そもそも正当な報酬基準が分からないという場合もあります。
「準備を進めていたのに、一方的に発注を取り消された」「自分に責任がないのに、受領を拒否された」「購入した顧客から返品されたことを理由に返品された」などは契約違反そのものです。この間の労力と費用を考えると、どっと疲れます。
「やり直しを強要された」「契約の範囲外のサービス提供を求められた」「教育コストを理由に 不利な条件を提示された」「不要な商品の購入を取引継続の条件にされた」はまさに先方の一方的な要求。こちらのコストはどうしてくれるのかと納得できるものではありません。
「著作権などを取り上げられた」「自分が案件に携わったことを、一方的に公表してはいけないと言われた」というのは明らかに権利の侵害です。
挙げられた例はどれも「あるある」というもの。これに度対処していく方法はあるのでしょうか。

問題が起きた時、どこにどのように訴える?


フリーランスを守るガイドラインができたのは朗報です。ガイドラインを理解した依頼主が守ってくれれば何の問題もありません。しかし、現実はそう簡単ではありません。フリーランスがそれはおかしいと思っても、依頼主に直接伝えるのは難しい。
もしも、そのようなことが起きた場合、どこにどのように訴えたらいいのでしょう。
ガイドラインには訴える場として、第二東京弁護士会が運営する「フリーランス・トラブル110番」が案内されています。匿名での相談も可能なようです。
電話番号:0120-532-110 URL:https://freelance110.jp/
ただ、実際にフリーランスが訴えることは多くはないと思われます。まずは、依頼主となる企業などに、このようなガイドラインがあることを認識してもらい、その内容をきちんと理解するための告知やPRを国が積極的に進めるべきです。
そして、フリーランスの側もお役所任せにするだけでなく、業界基準の報酬や慣習などの情報を調べておく、仕事の仲間との協力関係を作っておくなど、自らを守る方法を身に着ける必要があると思います。
(完)

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有限会社アリア 代表取締役 松本すみ子
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