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西山道子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

海外で人種差別にあった時の対処法

西山道子

西山道子

テーマ:留学

今回は、今ニュースにも取り上げられている人種差別問題についてです。
実体験から学んだことを書きます。

海外に長年住むと避けられないことの一つが「人種差別問題」

人種差別には、大きく分けて2つあると思います。

1つは:
無意識差別→無意識に相手が傷つくことを言っているケース。言われた方はすごく嫌な気持ちになるけど、言っている方は実はあまり考えないで言っているだけ。
(日本のイジメ問題に似ている気がします)

2つ目は:
悪質な人種差別

それでは、私の実体験をもとにエピソードごとに分析してみます。

エピソード:

・留学中に知り合った日本人の友人が、毎日工事現場を通るたびに「ChinoChina!(中国人)」と」叫ばれて、もう外に出たくない、と泣いていた
→これは前者のケースだと思います。多少の侮辱や嫌がらせはあるかもしれません。

・クラスメイトの日本人が、道を歩いていたらお母さんと手をつないでいた子供が、指をさしてきて「China China!」と嫌なお顔をして叫んだそうです。親は何も注意をしませんでした。学校の先生に人種差別だ、と相談をしたら、「その子供はただあなたが中国人だと思って言っただけで、何も悪くないでしょ?むしろあなたが中国人に対して差別している」と言いました。
→個人的には、多少の侮辱心はあったかと思いますね・・指さして叫ぶことないでしょ。。他の人種でも同じことするかな?

・道を歩いていたら子供たちに石を投げられて、マフラーを引っ張られた
→これは、後者のケース

・寮でのこと
私の誕生日にケーキをプレゼントしてくれて、みんなで集合写真を撮り、後で見たら、後ろで写っている友達が、両手で目を細くつりあげていた・・・悲しかった
→これは前者のケース

日本人の男の子はひどいいたずらをされて、寮の食事の時に目を盗んでヨーグルトに塩を入れたり、水にお酢を入れたりされていた。
白人の男には絶対にやらないでしょ!と思いました。
それがまた、その男の子は優しいから大きなリアクションしちゃうし、笑ってごまかしちゃうから、余計面白がって色々やられてしまっていた・・・
ある時に、彼は、「もう毎日辛いから寮を出たい」と相談してきました。
私は、ギリシャ人でスペイン語も上手で年上で寮のみんなに信頼されているお姉さんに相談をしました。彼は泣いていました。
いつも笑顔で、何されても笑ってごまかしていた彼。本当に辛かったのでしょう。
そのギリシャ人も、まさか彼がこんなに傷ついていたとは知らなかったようで、みんなに注意喚起をしてくれました。そしたら、その後、みんなも優しくなりました。その彼と積極的に話したり、サッカーをしたりするようになりました。
→このケースは、まさに前者の無意識人種差別のケースだと思います。

暮らしていて良くあるのは、前者の方が圧倒的に多いと思います。
スペインやフランスで道を歩いていると、「Chino!!China!!」という声が飛び交います。
私は、やっぱり嫌な気持にはなりましたが、何より「もし親が遊びに来てこんな仕打ちを受けたら可哀そう」と思っていました。だから親には、スペインには来ないでいいよ、といつも言っていました。
(実際、その後、両親がパリ旅行をした際に「お父さんのことチノ!と叫ぶんだよ」、と笑い話をしていて安心しました」)
ある時は、私が傷ついて学校で泣いていると、スウェーデン人のクラスメイトが慰めてくれてこう言いました「僕だって差別を受けるよ、ビーチで座っていたら、そこの白人!白すぎる、国に帰れ!と言われたよ。でも全然気にしてないよ」
また、スペインではドイツ人を「cabeza cuadrada(頭の固い人)」と言います。
これも、言ってみたら差別的発言かもしれませんが、本人たちはまったく気にしていません。差別は、アジア人にだけではなかったのです。白人に対してもありました。

さて、色々なエピソードを目にして気づいたことは、人種差別の要因も2パターンあることです。

パターン1:差別が差別を呼ぶ
これは、ドイツに住んだ時に気づきました。
ドイツ人に差別された記憶はなく、ドイツに住んでいるトルコ人には良く侮辱されました。よく考えたら、ドイツに住んでいるトルコ人の多くは移民で、ひどい人種差別を受けています。
学んだことは、「世の中に、人種の違いがある以上、人種差別は永遠に存在すること」「大事なことは、自分がそれに対してどう立ち向かうか、どう対処すれば納得できるか」です。
これに懲りてしまってもう海外に行かない人もいるかもしれません。あるいは、大きく問題視して人種差別撲滅運動をする人もいるかもしれません。気にせず無視する人もいると思います。日本人はおとなしい方ですが、見ていると、他の国の人たちでもっと大げさに抗議している場面も見ました。

パターン2:教育や文化の違い
親が言えば子供も真似をして言います。親が、テレビでアジア系の人をみて「Chino」と表現すれば子供はそのまま覚えますし、外でも言います。
当事者は、それが差別だという意識もないかもしれません。
ただ、家庭や学校での教育で、「NG」とすれば子供はダメな行為なんだ、とわかっていきます。ドイツ人に差別された記憶がないのはきっと、ドイツでは差別に対してとても厳しく教育をされているからだと思います。ドイツでは本当に良く良く、ナチスの時代のドキュメンタリー番組が放映されています。それは、若い世代にも決して忘れてはならない問題だからだと思います。
また、少しずれますが、南米の方では赤ちゃんを「Chinito/a」と呼ぶそうです。
私は最初にそれを聞いたときにひどく反応してしまいましたが、本人たちには全く差別の意識はないのです。当たり前のように使います。それは文化の違い?と言いますかね。

長くなりましたので、そろそろまとめたいと思います。

海外に一歩出ると、楽しいことばかりではなく、このような経験もすることでしょう。繰り返しにはなりますが、大事なのは、そんなことに遭遇した時に「自分が納得いく行動をとること」だと思います。

自分なりの対処法はこうでした:
1、見知らぬ人に嫌なことを言われた場合
自分も差別されたり学校でいじめられたりして、腹いせにアジア人にあたっているのだろう、かわいそうだな、と思って無視する

2、学校や公共の場でされた場合
先生や偉い人に言いつける

3、友達や知り合いに言われた場合
冷静に話し合う
「そういうことを言われると傷つくからやめて」と本気で言う
笑ってごまかすのはやめましょう
(意外と悪気がない場合が多いので、わかってくれるはずです)

4、極めて悪質な場合(暴力あるいは言葉の暴力を受けた場合)
警察に言う

ぜひ、ご参考ください。

最後に、今回のサッカーフランス代表選手の人種差別問題は良くないことだと思います。ただ、彼らの謝罪文から思うのは、「彼らにはさほど人種差別の意識はない」ということです。しかし、今回メディアで大きく取り上げられたことにより、アジア人に対する差別問題を世界が問題視するようになれば、と願っています。
海外にいるアジア人がより快適にストレスなく過ごせることを祈っています。

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西山道子
専門家

西山道子(留学カウンセラー)

株式会社Student First

4カ国語を自在に操る語学力と、豊富な海外経験を生かし、的確なアドバイスとサポートを行う。一人一人の要望を丁寧にヒアリングし、学校やプログラムを提案。中でもドイツの大学への出願サポートを得意としている。

西山道子プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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