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西村恒男

出店戦略立案、商業施設出店に強い店舗開発コンサルタント

西村恒男(にしむらつねお) / 店舗開発コンサルタント

合同会社ネオ・フロンティア

コラム

【リアル店舗で成功する】  EC店舗の出店について

2022年12月27日

テーマ:EC店舗とリアル店舗

コラムカテゴリ:ビジネス

今回はEC店舗の出店についての相談です。
リアル店舗で成功するためのコンサルティング業務を進めている私にとっては対極の話ですが、
実は20年ほど前からECショップを運営しております。
私のお客様のカレーショップの通販サイトを運営しております。
https://topca.ocnk.net/

飲食店のECショップ

今回の相談は飲食店の方が自社のホームページで食品の通販を始める際の全体的なアドバイスと
もう1件、別事業から食品のECサイトの運営をお考えの企業からECに適した商品と適さない商品についての相談です。

リアル店舗で物販店を運営しておられる場合、ECサイトでの販売についても
販売行為を異なるチャンネルで行うということでわかりやすいのですが、
飲食店の場合は飲食をする食事と場所の提供になりますので
実際にはリアル店舗でしか成り立たないビジネスです。
しかし、食事をする場所やサービスの提供はできなくても
食事をしていただくメニューの商品そのものについては
テイクアウトという形で以前からお店の人気メニューを
お弁当やお惣菜をお持ち帰り可能にしているお店もあります。
特にコロナ過になってから1番影響を受けた飲食店が
テイクアウトメニューに力を入れたのが事実ですが、
テイクアウトメニューに関してはお客様との時間と距離が問題になります。
飲食店というのは作り立ての商品を温かいものは暖かいままで、
冷たいもの冷たいままで召し上がっていただきサービス業です。

ビジネス街でランチタイムで混みあう飲食店に待ち時間が惜しい多忙な人は
その飲食店の人気メニューのお弁当などを仕事場にテイクアウトする風景をよく見かけます。
例えばカレー専門店で出来立てのカレーを容器に入れてもらって
仕事場に持ち帰っても5分程度の距離なら暖かさも残っていますが、
10分以上離れていてはせっかくの出来立てのカレーも冷めてしまって
レンジで温め直さなくてはなりません。
飲食店の物販は簡単にできそうで悩ましい問題です。
最初からテイクアウトを想定して作られたファーストフードと違い
料理人がお客様にその場で楽しんでいただくための料理には難しい問題です。
私も経験から申し上げると
カレーショップの人気メニューを広く知っていただくために
デパ地下にイベント出店したことがあります。
この時はたまたまイートインコーナーが少しあって
その場で召し上がっていただくことができたのですが、
通常、デパ地下での催事出店はお持ち帰りが基本ですから
出来立ての商品を美味しく召し上がっていただくには
お持ち帰りいただいて、すぐに召し上がっていただくのが基本です。
このカレーショップの場合もイートインがあった関係で
食事をして美味しかったのでカレー弁当のお持ち帰りをしていただくわけですが、
今、食べたものを持ち帰って再び食べるというよりは
冷蔵庫に保存をしておいて翌日か翌々日に召し上がるということが想定できます。
ビジネスとして考えた場合、
お客様が食べたい時にお客様の都合で食べることができる商品が望まれます。

飲食店と物販店の違い

物販店の場合、食品でも物販を基本に商品を開発、製造しているわけで
賞味期限を長くするために熱処理や保存料を入れたりするわけですが、
そうやって作られた味が物販の食品の味であり風味ですので
お客様も納得して購入して召し上がるわけです。
1番わかりやすい事例としてはレトルト食品があります。
特にスパイスを多く使うカレーの場合、
レトルトカレーとして開発されたカレーは
製造したメーカーが研究開発して作ったものですので美味しい商品が多いです。
これに対してカレー専門店がお店のメニューをレトルトカレーにした場合、
お店とは違ったカレーができてしまいます。
これはカレーがスパイスをたくさん使うデリケートなメニューの為、
高温殺菌などのレトルト加工の際に風味を損なってしまうために
お店の味や香りを再現できないのです。
これはカレー専門店の職人さんたちからよく聞くお話です。
カレー以外にも賞味期限を延ばすために加工処理して
お店とは異なる商品になってしまうものもあると思います。
これは別にレトルト食品を否定するものではなくて
店舗で作る料理と日持ちさせるために工場で作る料理という
比較対照するものがあるため製造工程や環境での違いが生ずるものだと思われます。

販路を拡げるためには

ここで相談内容に戻るのですが、
やはり飲食店がECを始めたいというのは「広く販路を拡げたい」という課題があるからです。
美味しいものがあればわざわざ遠方から食べに来る方もいらっしゃいますが、
遠方の場合、そう簡単に来店することができません。
そうなるとこちらからお届けするということになりますので
ECショップの出店ということになります。
飲食店とECショップの別業態を運営することはなかなか大変です。
物販店の場合は仕入れた商品をその場で販売するか、
宅配業者に集荷に来てもらうかの違いですが、
飲食店の場合、
別のビジネスで考えないと
飲食店舗の中でテイクアウト用のお弁当を作るのとは大きな違いがあります。
私もお客様のカレーショップが飲食店と同じ場所でEC販売ができませんので
私がカレーショップのEC部門を運営しております。
販売する商品もカレーショップとは別の場所で製造してます。
https://topca.ocnk.net/

また、100%お店の味を再現できるわけではありませんが、
最近、注目を浴びている冷凍加工が食品のEC販売には適していると思います。
スイーツのケーキなどは代表的な例で製造した商品を冷凍して発送し
届いた商品を解凍して召し上がるというパターンです。
デパ地下などできれいな冷蔵ショーケースに並んでいるケーキなどの生菓子は
工場で製造した商品を冷凍して百貨店などの現場に届け、
自然解凍して販売して事例が多いです。
クリスマスケーキなどは代表的な例で
クリスマスの1日に集中して販売する商品ですから
1ケーキ屋さんでは1日に作れるケーキの量に限界があります。
大手のメーカーはクリスマスの随分前からクリスマスケーキを製造して冷凍保管してます。

冷凍技術の進化

現在の優れた冷凍技術のおかげで新鮮な魚の刺身を山奥でも食べることができます。
カレーの場合もお店と同じ製法で製造して瞬間冷凍をかけると
保存料を入れたり高温殺菌処理をしてませんので
お店に近い味をご家庭で味わっていただくことができます。
これからもっと冷凍技術が進化していくものと思われますが、
現段階では繊細な味付けの商品はECには向かないと思いますが、
大抵の商品はECで販売されており、
遠方の店舗には行けない人でもご家庭で味わうことができます。

ビジネスはオムニチャネル化


私のサポートするカレーショップも東京にしか店舗がないのですが、
北海道や沖縄の方にも召し上がっていただいてます。
また、通販で知りえたお店のメニューをたまたま店舗の近くまで来た時に
そのお店に出向くということもあります。

飲食店がECショップを出店するというのはなかなか大変なのですが、
ECショップ来店動機となってお店の売上や知名度にも貢献します。
私は人と人の身近なコミュニケーションの取れるリアル店舗を重要に考えてますが、
リアル店舗を支えるためのEC店舗も重要だと思ってます。

  1. ご相談はこちらまで。
  2. neoftinfo@store-location.jp

この記事を書いたプロ

西村恒男

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西村恒男(合同会社ネオ・フロンティア)

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