騒音計の指示値と測定値は違う
今回は定常騒音のレベルを比較します。
今回も前回と同様に、普通騒音計と精密騒音計、そして簡易騒音計の 3台構成にしました。 室条件により騒音計の指示値が揺れる環境で、普通騒音計と精密騒音計の指示値がぴったり同じ時、簡易騒音計の指示値は騒音計の誤差であると考えます。
定常騒音はレベルの大きさを変えた 6パターンで比較してみました。
(1)77dB 付近の定常騒音(掃除機)
(2)58dB 付近の定常騒音(空気清浄機の最強モード)
(3)52dB 付近の定常騒音(空気清浄機の強モード)
(4)45dB 付近の定常騒音(空気清浄機の中モード)
(5)37dB 付近の定常騒音(空気清浄機の弱モード)
(6)37dB 以下の定常騒音(暗騒音)
レベルの大きさで分けたのには理由があるのですが、先ずは結果をご覧ください。
項目 | 普通・精密騒音計 | 簡易騒音計 | レベル差 |
---|---|---|---|
(1)77dB 付近 | 76.7 | 76.0 | -0.8 |
(2)58dB 付近 | 58.6 | 55.9 | -2.7 |
(3)52dB 付近 | 51.7 | 48.4 | -3.3 |
(4)45dB 付近 | 45.0 | 40.7 | -4.3 |
(5)37dB 付近 | 37.3 | 30.7 | -6.7 |
(6)37dB 以下 | 37.0 | L-0.L | 測定不能 |
比較するレベル帯が小さくなる程、レベル差が大きくなる結果となりました。
レベル帯によって誤差が大きくなる状況から、レベル直線性偏差が推測できます。
計量法で定める特定計量器としての騒音計には、レベル直線性偏差といって、入力レベルに合わせた誤差が規定されています。 例えば精密騒音計(クラス1)の場合、 10dB 以内の変化に対しては ±0.3dB 以内、それ以上の場合でも ±0.8dB 以内です。 これは計量法が許容する偏差なので、実際の特定計量器は、この偏差を十分に下回ります。
特定計量器ではない騒音計(簡易騒音計)には、このような規定がありません。
テストした簡易騒音計の仕様では、測定精度は「±2.0dB」となっていますが、今回の実験で ±2.0dB 以内だったのは(1)77dB 付近の時だけでした。 音響校正器では基準音圧(94dB)の校正を行うのですが、レベル帯が近い 77dB 付近での誤差が小さいのはそれが理由だと思います。
簡易的な騒音計なので、ある程度のレベル誤差は仕方ないと思うのですが、やはり低レベル帯での誤差の大きさが気になってしまいます。
というのも、環境基準で定める室内騒音指針値は、昼間が 45dB以下、夜間が 40dB 以下であるからです。 つまり、室内騒音を測定しようと考えた時、誤差が大きすぎる気がするのですが。。
次回は総評を行いたいと思います。
以下に全ての実験データを置いておきます。
(1)77dB 付近の定常騒音(掃除機)
(2)58dB 付近の定常騒音(空気清浄機の最強モード)
(3)52dB 付近の定常騒音(空気清浄機の強モード)
(4)45dB 付近の定常騒音(空気清浄機の中モード)
(5)37dB 付近の定常騒音(空気清浄機の弱モード)
(6)37dB 以下の定常騒音(暗騒音)
37.1dB の時に 30.5dB と表示され、 37.0dB では L-0.L (測定不能)と表示されました。
測定範囲外なので測定不能と表示されるのは親切だと思うのですが、誤差の大きさを考えると、もう少し早い段階で測定不能と表示された方がよかったのかなと思いました。