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佐久間大輔

経営戦略としてのメンタルヘルス対策に尽力する弁護士

佐久間大輔(さくまだいすけ)

つまこい法律事務所

コラム

職場のハラスメント対策

2019年1月11日

テーマ:労働法務

 日本が資本主義社会に到達してから長時間労働が解消されたときはないと言っても過言ではありません。しかし、それでも21世紀に至るまでは、年間の自殺者が3万人を超えることが何年も続いたり(警察庁調べ)、精神障害等の労災請求件数が継続的に千件を優に超えたり(厚生労働省調べ)するといった事態には至りませんでした。

 著名な電通過労自殺事件の最高裁判決では長時間労働がクローズアップされましたが、実は上司のいじめが絡んでいました。ハラスメントの問題は、近年先進諸国で「流行病的レベル」で急増していると言われており、日本も例外ではありません。それを象徴するかのように、職場のハラスメントが原因となった自殺を労災認定する司法判断が相次いでいます。

 この今日的な職場の問題は、長時間労働もさることながら、「努力-報酬不均衡」と「職場の人間関係の悪化」が原因であるように思われます。短期的な利益の追求や成果主義的賃金制度の導入などによって周囲のサポート態勢がなくなり、働きに見合った収入を得られていないという現状が見受けられます。組織的でありながらも、個人の合理性や効率性が要求されるアメリカ文明の商業社会のグローバル化が、集団で労働集約型の水田耕作を営み、勤勉が美徳された「農本社会」に生きてきた日本人にとって、必然的に強い精神的ストレスを生み出しており、これがハラスメントを誘発しているのかもしれません。

 各種調査では、在職精神障害者が急増しているというのが実態であり、心の病で1か月以上休む労働者の比率は0.5%前後、約47万人に上り、賃金ベースの損失は年約1兆円と推定する調査報告があります。アメリカ企業は、この「損失」を解消すべく、心の健康保持に力を入れています。日本の企業も、心の健康に対する費用を増加し、「損失」を削減しなければならないのです。

 職場のハラスメントに特効薬があるわけではありません。成果主義的賃金制度の見直しなど労働条件の改善はもちろんですが、まずは集団での情報の共有が必要です。

 労働安全衛生法上、衛生管理者は、毎週1回作業場等を巡視し、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。また、衛生委員会の調査審議事項として、労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立があります。これらの規定から、衛生管理者が職場巡視をして、ハラスメントの実態を把握し、衛生委員会においてこの情報を開示することにより、職場全体で情報を共有することが促されます。そして、衛生委員会が、ハラスメント対策を年間または月間の重点課題として樹立し、また、衛生管理者が中心となって、ハラスメントによる心の健康の悪化を防止するための必要な措置を講じることが重要です。衛生委員会のメンバーでもある産業医との連携も必要です。

 しかし、防止対策を樹立しても、これを運用する側が心の健康に関する知識を有しなければ、制度は機能不全に陥ります。経営者や管理職がまず意識を向上させ、そして部下を教育していくことが肝要でしょう。


 弁護士佐久間大輔がは、企業向けに「パワーハラスメント防止対策リーガルサポートサービス」を提供しています。詳しくは以下の公式ウェブサイトをご覧ください。
https://mentalhealth-tsumakoilaw.com/legal-support-service/power-harrasment-prevention

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